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ALMA -とある魔女のお話-  作者: ROBO
第三章 アウシュラの戦い

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第27話:空を飛ぼう

古くから魔女と言えば箒で空を飛ぶ……

なんてイメージがある。私自身も昔は

憧れていて、両親に尋ねたことがあったが

返ってきた答えは意外なものだった。


「あれは飛行魔法の適性がなければ

 出来ないよ。少なくともドレインの

 魔法とは全く違う場所にあるものだから」


そんな高度な飛行魔法をメロディが

扱えるのだろうか?


「空を飛ぶのは適正がないと出来ないって

 昔言われたよ?」

「そんなの知ってるわよ。でもやってみないと

 わからないでしょ!」


メロディは家の裏手へ向かい、

使い古された箒を持ってきた。


「それを使うの!? もう大分傷んで

 ボロボロのやつだよ?」

「だってほかに無いじゃない!

 新しい箒では魔力が宿らないっていうし……」

「でも大きさだって小さいし……」


そう言いかけた時、あるアイデアが頭に浮かんだ。


「もっと良い箒があるかも。大きくて立派で

 でもずっと使われてきたやつが……」


    ◇


「シダ帚を売って欲しい?」


私たちは以前バイコーンと出くわした

あの村を訪れていた。

確かここの集会所にはとても立派なシダ帚が

いくつも置いてあったはずだ。


「はい。出来れば一番大きくて、

 ずっと使ってきたような……」

「それならいくつかあると思うけど

 売るようなものじゃないから、

 タダで差し上げますよ」


村長の娘さん……名前はヘスターと言うらしい。

そのヘスターさんがわざわざ集会所まで

私たちを先導してくれた。


村にはその後バイコーンが現れることはなく、

村民も平和に暮らしているそうだ。

ただ、ヴァーノンの話を聞いて以来、

ここの人々には何か妙な引っ掛かりを感じる。


「あの、ここでの出来事について

 あの後誰かに話しました?」


私は思い切って聞いてみた。


「うーん……どうだったかな。

 話していないと思いますよ」

「そうですか……あ、村長さんは

 まだ戻っていないんですか?」

「ええ、一体どこへ行ったのか……」


ヘスターの返事はどこか他人事で

感情がこもっていないように聞こえた。


この人は初めて会ったとき以来、

ずっと私たちに敬語を使っている。

子ども相手にもやけに腰が低く、

そこに対しても常に違和感があった。


この村がヴァーノンや王都と

繋がっていることは恐らく間違いない。

でもなぜ? こんな小さな村に

一体何があるというのだろう。

普通とは違う変わった点といえば

バイコーンが現れたことぐらい……


「着きましたよ。どうぞ、好きなものを

 取っていってください」


物思いにふけっている暇もなく、

私たちは集会所の裏手に到着した。

そこには多少色あせてはいるものの、

大きくて立派なシダ箒が何本も並んでいた。


柄に使われた白樺の木には

深い飴色の光沢があり、手入れが

行き届いていることを証明している。


私とメロディは互いに箒を見比べながら

一番大きく、良く飛びそうで、

長年使い込まれている一本を探した。


「そういえば……二人で一本の箒に乗るの?」

「当たり前でしょ?

 私一人じゃ飛べないんだから、

 二人で乗るしかないじゃない」


それはそうだが、箒に二人で跨る魔女なんて

聞いたことがない。私は何だか急に

恥ずかしくなってきた。


「これなんかいいんじゃない?」


メロディが手に取ったのは偶然にも

バイコーンと戦ったあの日に

私が抱えていた箒だった。

柄の部分に目のような木目があるので

覚えていたのだ。


「うん、大きさもそれが一番かも」

「ヘスターさん! これをください!」

「どうぞどうぞ。でも突然箒が欲しいなんて

 お掃除でもするんですか?」

「それは……」


メロディが答えようとしたので

私は急いで間に入った。


「そうなんです、たまには大掃除でも

 しようかと思って!」


この人はどこと繋がっているかわからない。

余計なことは話さない方が良い気がした。


「そうですか……また必要なら

 言ってくださいね」

「本当にありがとうございました!」


私たちはヘスターに御礼を述べると

さっさと村から離れ、帰路を急いだ。


「ねぇ、さっきどうして止めたの?」

「あの人、ひょっとしたら

 ヴァーノンって人と

 繋がっているかもしれない。

 村長の件もよくわからないし、

 ちょっと怪しいから……」

「ふ~ん……確かにね」


家に戻ると私たちはスグに二人で

箒に跨り、その姿勢のまま固まった。

私はいつでも魔力を与えられるよう、

メロディの腰に手を回す。


「……」


運転手であるメロディは

先ほどの魔法の時のように

意識を集中させているようだが、

身体が浮き上がるような感覚は一切ない。

私はワクワクしながら尋ねた。


「どうやって飛ぶの?」


メロディがゆっくり目を開いたが、

問いに答える素振りはない。


「……」

「魔導書に書いてあったの?」

「あれには炸裂魔法のことしか書かれてないわ」

「え! じゃあやり方もわからないの?」

「うるさいなぁ。だってやってみたかったんだもん!

 あんたの魔力が切れたんじゃないの?

 それかこの箒が悪いとか……」


呆れた私は箒を跨いで下り、

地面に腰を下ろした。


「あ! ちょっと!」

「何もわからないのに出来るわけないでしょ?

 時間の無駄だよ」

「ふん、あんたナシだってやってやるわよ!」


メロディはその後も諦めずに

箒に跨って唸っていたが、

何も変化が起きないまま時間だけが過ぎていった。

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