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異世界税関の日々  作者: あかべこ


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9/14

すごいぞ!カタッポ号!

夏場のある日、今日も俺とカタちゃんは入国検査エリアを巡回する。


色んなもふもふ系男女が入国検査を受けるために椅子に座って待ってる横で、カタちゃんが1人の獣人女性の体臭をクンクンと嗅ぎ回る。


その人は人間に近い容姿だが髪の毛は黒い部分と白い部分に分かれていて、白と黒の毛並みが混ざる立派な尻尾を腰の横から前の方へと流している。足元にはナップザックのような皮袋が置かれている。


強めの体臭は昔動物園で嗅いだスカンクの匂いに似てる。


フンフンと嗅ぎ回っていたカタちゃんがすっとお座りをした、と言うことは彼女は禁止薬物の持ち込みを行ってる可能性がある。


執拗に嗅ぎ回ってるときは黄色信号だけど、こうして座ったと言うことはほぼ赤だろう。


とは言ってもここは入国検査エリアなのでここでは行えない。


「K9反応あり、検査のため誘導します」


コソッと通信機に声をかけると「了解です」と返事が来る。今のは三角さんかな。


『申し訳ありませんが、検査のためご同行願えますか?』


異世界税関に移る前に叩き込んだ決まりの言葉を告げるとポカンとしたような顔で『はあ』と同意した。


彼女を3階の税関エリアに誘導すると、三角さんが詳細検査用個室で待ち受けている。


『それでは手荷物開けさせていただきますね』


三角さんが女性の荷物を開封すると、ひとつひとつをじっくり確認する。


持っていた手荷物を全部カバンから取り出すと、三角さんはナップザックを突然裏返すと裏地に大きな縫い目を見つける。


不自然な四角い膨らみは誰の目にも明らかだ。


『ここ切っていいですか?』


『それはちょっと……』


拒否感を示した彼女に『でしたら軽く拭いて検査機器にかけます』と言って、濾紙でナップザックを拭うと部屋を出ていった。


監視カメラはあるが逃げ出さないように俺の方で扉を塞いでおくと、すぐに丸山さんが来た。


(大陸標準語に強い丸山さんが来たってことがクロかな)


決まり文句を丸暗記してるだけの俺たちより、彼女がいた方がコミュニケーションがスムーズなのだ。


『先程の女性から引き継ぎましたが、あなたの背負い袋から日本に持ち込めないものが見つかりました。この後別の担当者に引き継ぎますので、しばらくお待ち下さい』


サラッと彼女に語りかけると、俺の方を向いて「あとは私が見張るから戻っていいって」と告げる。


「ん、わかった」


部屋を出てから俺はカタちゃんに向き合う。




「カタちゃんよく出来たねー!さすが天才!」




お馴染みのおやつ(危険薬物の匂いの元を見つけたらおやつが貰えると言う刷り込みのため)を渡しつつヨシヨシと褒めちぎる。


おやつとナデナデを受け取るカタちゃんは、ドヤッと言いたげな顔で尻尾を振っていた。


「さ、次行こう!」

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