異世界税関と試練の日3
膨大な荷物の目視検査を終えて一息ついた頃、ついに私たちの試練の日が来た。
『国王殿下一行が先ほど上野にご到着なされました!』
そう、異世界の王の訪日当日である。
事務所のテレビ速報と同時に全員が全員がバッと動き出す。
「予定通り旅具通関は4人体制、一般を2人体制で回します。三つ葉さんは留守をお願いしますね」
「はーい」
そんな訳で私も旅具通関カウンターへ引きずり出されることになる。
1階で入国審査を終えた北の国の御一行様がぞろぞろと上がってくるのを見た時、先ほどテレビでちらりと見た通りの北欧系美男子たちが勢ぞろいしている事に目を見は得る。
地球じゃあり得ないような髪色の人々が仕立ての良い服を着てメイドや騎士をぞろぞろ連れて来ているのが、いかにも異世界人ご一行という印象になる。
『最初に皆様にはこちらの機械に通して手荷物に危険物がない事を確認させてください』
そう言って誘導に動くのは在金羊国大使館の真柴さんだ。と言うかあの人また働かされてるんだ……金羊国に戻ってきたばかりなのに可哀想に……。
『機械に通すだけで分かるのか?』
『透視する機械で触れずに衣服や手荷物に怪しいものがない事を確認できます。ここで問題なく通れば怪しいものを持ち込んでいないと公に証明されますので、ご協力お願いします』
簡単な説明を受けると『そういう事なら仕方ないな』と鷹揚に北欧系銀髪イケメン国王殿下が答えた。
国王付きらしいメイドさんがこちらを見たので、私はメイドさんたちを手荷物検査用小型のエックス線装置の方を指し示す。
『手荷物はこちらの白い籠に乗せてください、検査が終わればお返ししますので』
荷物持ちをさせられていた従者さんが手荷物を籠に乗せていくが、幸い問題のありそうなものは出てこなかった。
「事前申請の時点から薄々察してたけど刀剣類ホンマに多いな……」
手荷物検査担当の三角さんがボソッと呟くがこれは仕方ない部分がある。
「警備担当騎士にとっては最も使い慣れた武具ですからね」
真柴さんの報告書類でも最も一般的に使われてる武器は刀剣類だというし、未知数の部分が多い異世界で現地調達した慣れない武器を使う気になれないのだろう。
三角さんが手荷物検査に追われている間にも、大曲・菱刈コンビが担当する金属探知機ゲートは手ぶらの王侯貴族たちがどんどん通過していく。
騎士の人たちの刀剣は引っかかるが、全部事前申請済みのものなのでトラブルの要素はなさそうだ。
真柴さんは防疫所のほうへ誘導していってるお陰で混雑が起きてないのもありがたい。
「お願いします」
「はい、」
最後に大使館の真柴さんと木栖さんの手荷物も検査すれば、大仕事はひと段落だ。
というか木栖さんほんとにデカかったな、道端によくある自販機よりデカそう。
「御一行様の旅具通関はこれで終わりだね、休憩にしよう」
大曲さんがそう声をかけるとてんでバラバラに休憩を取りに行く。
私も行きがけに買ったいちごのカルピスをグイッと飲めば、疲れた体に甘酸っぱさが染みわたる。
カルピスは炭酸ない方が美味いねやっぱ(※個人の意見です)
「これ来週もあるんかと思うと憂鬱やなあ……」
「思い出させないで欲しいですわ」
うん、私も思い出したくなかったな。その事実。




