第40話 『星崩の大魔宮』㉚ グランドダンジョン踏破と驚愕の報酬
今回はリザルトとなり、少し短いです。
後、エピローグ的な話を挟み……第一章終了となります!
盛大に発動した『星崩』の余波もようやく収まり、辺り一帯には不気味なほどの静寂が立ち込めていた。
つい先ほどまで、超高密度の魔力が炸裂し、凄まじい光と轟音に包まれていたとは思えないほどだ。
「……やっと終わった……のかな?」
俺は周囲を見渡しながら、恐る恐る呟いた。
先ほどまで『星崩』の爆心地に立っていたアルカイドの姿は、跡形もなく消え去っている。
周囲には、激しい戦闘の爪痕だけが残されていた。
あれだけの攻撃をまともに受けたんだ。
いくら『統率者』といえど、これで倒れていないなんてことは、さすがにないだろう。
ということは……
「恐らく、これで終わりのはずです」
清十郎さんが周囲を確認しながら答える。
「ええ、恐らく問題ないでしょう。後はダンジョン踏破の特典報酬が贈呈されるはずですわ!」
セイラさんも、いつもの調子を取り戻しながらそう告げた。
「ああ、そうだった」
ダンジョンを攻略し、ボスを討伐すれば、踏破者には特典報酬が与えられる。
以前、Sランクダンジョンを踏破した時でさえ、目玉が飛び出るほどの報酬を受け取った。
それが今回は、普通のSランクダンジョンとは比較にならない最難関――グランドダンジョンだ。
一体、どれほどの報酬が用意されているのだろうか。
正直なところ、まったく想像がつかない。
ただ、どう考えても、とんでもないことになるという予感だけはしていた。
そんなことを考えていると――
『おめでとうございます! 現時刻をもちまして、グランドダンジョン『星崩の大魔宮』が踏破されました!』
突然、周囲に大音量のアナウンスが響き渡った。
『今回の踏破者は、「アイリーン・スカーレット」、「草薙ハヤト」、「星羅・バーンシュタイン」、「轟清十郎」の四名となります!』
「……おお」
思わず声が漏れる。
やっぱり、本当に踏破したんだ。
俺たちはグランドダンジョンを攻略した。
しかも、あの『七星王・セプテントリオン・アルカイド』を倒して。
そう実感した瞬間、戦闘中には感じる余裕もなかった達成感が、じわじわと込み上げてくる。
俺たち……本当にやったんだな。
そんな感慨に浸っていると、間髪入れずに次のアナウンスが流れ始めた。
『それでは、これより『星崩の大魔宮』踏破者への特典報酬の贈呈に入ります!』
来た。
いよいよ報酬発表だ。
俺たちは自然とアナウンスへ耳を傾ける。
『踏破者――アイリーン・スカーレット』
『獲得経験値――一〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇』
『※レベル上限に達しているため、経験値は蓄積されます』
『獲得金額――一〇〇〇〇〇〇〇〇〇円』
『獲得アイテム――』
『【毒蛇槍・バジリスク】』
『【魔猿の双爪】』
『【双獣牙・デュアルファング】』
『【星光衣・ペルセウス】』
『【ラストエリクサー】×五』
「……」
いきなり凄まじい報酬が並んだ。
いや、待て、獲得金だけでも一億円だぞ?
しかも、聞いたこともないような武器や防具が大量に並んでいる。
だが、まだ一人目だ。
俺は続くアナウンスに耳を傾ける。
『踏破者――草薙ハヤト』
『獲得経験値――一〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇』
『※レベル上限に達しているため、経験値は蓄積されます』
『獲得金額――一〇〇〇〇〇〇〇〇〇円』
『獲得アイテム――』
『【黒蜘蛛の忍刀】』
『【星纏衣・アルタイル】』
『【ラストエリクサー】×五』
「……俺も一億円?」
思わず呟いてしまう。
いや、嬉しい。
嬉しいんだけど、それ以上に情報量が多すぎる。
そして、さりげなく「レベル上限に達している」と言われた気がする。
……俺、いつの間にかレベルカンストしてたんだよな。
『踏破者――星羅・バーンシュタイン』
『獲得経験値――一〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇』
『※レベル上限に達しているため、経験値は蓄積されます』
『獲得金額――一〇〇〇〇〇〇〇〇〇円』
『獲得アイテム――』
『【重断剣・グラビティ】』
『【星輝珠・シリウス】』
『【ラストエリクサー】×五』
『踏破者――轟清十郎』
『獲得経験値――一〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇』
『※レベル上限に達しているため、経験値は蓄積されます』
『獲得金額――一〇〇〇〇〇〇〇〇〇円』
『獲得アイテム――』
『【星炎龍の牙】』
『【星明鎧・ベガ】』
『【ラストエリクサー】×五』
次々と発表されていく報酬。
それぞれが凄まじい内容なのだが、あまりにも桁違いすぎて、途中から俺の頭が完全についていかなくなってきた。
そして――。
最後に、とんでもないアナウンスが流れた。
『MVP報酬対象者――草薙ハヤト』
「……え?」
俺?
『ダンジョンボス「セプテントリオン・アルカイド」戦において、最も大きなダメージを与え、討伐に多大な貢献をしたことを評価し、MVP報酬を授与します』
『獲得アイテム――』
『最高位神器』
『【七星剣・セプテントリオン】』
「…………」
思考が止まった。
最高位神器。
グランドレガリア。
それだけでも十分にヤバい。
なのに、よりにもよって俺に与えられるのが『七星剣・セプテントリオン』。
ついさっきまで俺たちが死ぬ気で戦っていた、あの『七星』の名を冠した神器だ。
……いや、ダメだろ。
配信者にそんな物騒な代物を背負わせちゃダメだろ!
俺は戦闘職ですらないんだぞ!?
『以上をもちまして、グランドダンジョン『星崩の大魔宮』踏破報酬の贈呈を終了します』
「……はい」
頭が完全に追いついていない。
だが、アナウンスは俺の混乱など一切お構いなしに、さらなる情報を叩き込んできた。
『……また、今回の踏破をもちまして、グランドダンジョン踏破数が六となりました』
「……ん?」
グランドダンジョン踏破数が……六?
その言葉の意味を理解するよりも早く、最後のアナウンスが流れる。
『【ファイナルダンジョン開放】まで、残りグランドダンジョン踏破数――――六』
「…………何だって?」
最後の最後に、あり得ない情報をぶち込んできた。
いや、待て。
今、何て言った?
ファイナルダンジョン?
そんなものがあるのか?
俺の頭の中で、さっきまで発表されていた報酬の情報が一気に吹き飛んでいく。
いやいや、そもそも普通の討伐報酬だけでも凄まじかったんだ。
獲得経験値一〇〇万。
しかも俺はレベル上限に到達しているから、その経験値が蓄積される。
獲得金額は一億円。
さらに大量のレアアイテム。
そして俺に至っては、MVP報酬として最高位神器『七星剣・セプテントリオン』まで貰ってしまった。
これだけでも、俺の人生がひっくり返るほどの大事件だ。
なのに、それだけでは終わらなかった。
グランドダンジョンは、これまでに六つも踏破されている。
そして、さらに六つのグランドダンジョンを踏破すれば――。
『ファイナルダンジョン』が開放される。
……最高位を意味する『グランド』の、そのさらに上。
『ファイナル』。
そんなものが存在するなんて、俺は今の今まで知らなかった。
そもそも、グランドダンジョンですら世界最高峰の難易度を誇るダンジョンだ。
それより上のダンジョンがあるということは、一体どれほどの難易度になるんだ?
想像するだけで頭が痛くなってくる。
「……」
俺はしばらく、何も言えずに立ち尽くしていた。
自分の人生を大きく変えてしまうほどの報酬。
そして、世界中の誰も知らなかったであろう、とんでもない新情報。
それらを一気に叩き込まれたことで、頭の中は完全にパンク寸前だった。
だが、俺は、そこでふとあることに気が付いた。
……そういえば。
俺たちは、今まで何をしていた?
『星崩の大魔宮』に潜入してから、ここまでの戦闘。
俺はずっとカメラを回していた。
アイリーンさんたちの戦闘も。
アルカイドとの死闘も。
『星崩』の完成も。
俺自身がアルカイドへ突っ込んだところも。
そして、ついさっきの大爆発までの全てを最初から最後まで、俺はずっと配信していた。
「…………」
嫌な予感がする。
俺は恐る恐る、手元の配信機器へ視線を落とした。
当然のように、配信は現在も継続中。
画面には大量のコメントが高速で流れ続けている。
そして、その画面の隅に表示されていた数字を見た瞬間――
俺の思考が、再び停止した。
『同時接続数:一〇〇万人』
「…………あっ」
完全に忘れていた。
これ……全部、配信しちゃってるわ、俺。
グランドダンジョンの攻略。
『七星王・セプテントリオン・アルカイド』との戦闘。
最高位神器『七星剣・セプテントリオン』。
そして、『ファイナルダンジョン』の存在。
世界中に向けて、余すところなく配信してしまっている。
「…………」
俺は何も言えなかった。
どうやら俺は、グランドダンジョンを攻略しただけではなかったらしい。
世界中を巻き込む、とんでもない情報まで配信してしまったようだ。
そしてこの瞬間から――俺たち四人の名前と、『星崩の大魔宮』で起きた出来事は、世界中の人々に知られることになった。
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