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『紅蓮の魔女』と『神速の配信者』  作者: 我王 華純
第一章 誕生『神速の配信者』
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第12話 『星崩の大魔宮』② 地龍の魔眼

 とうとう、グランドダンジョン『星崩の大魔宮』に突入した。


 扉を潜った内部は異空間のような作りになっていた。

 まるで宇宙のような幻想的な光景が目の前に広がっており、パズルの様に入り組んだ光の回廊がどこまでも伸びており、迷宮を模っていた。

 俺たちはこの光の通路を足場として迷宮を進んで行くことになるらしい。

 色とりどりの星々が浮かぶ宇宙空間の中に様々な色の光の回廊が入り乱れている光景はとても幻想的であり、ダンジョンの中にこんな空間が存在しているとはとても思えなかった。

 

 「へえ……綺麗な景色ですわ、清十郎もそう思うでしょ?」

 「ええ、お嬢様」


 セイラさん達は全く緊張を感じさせない余裕の出で立ちを見せている。


 それに対して俺は、さっきから緊張で足場震えっぱなしだ。

 そんな俺でもやらなければならないことがある。

 

 ……もちろん配信だ。


 『神式配信セット』を取り出し、セッティングを行う。

 ドローンを飛ばし、ヘッドセットを装着する。


 「皆さん、今から配信を開始しますけど大丈夫ですか?」

 「はい、お願いします」

 「こちらも問題ございませんわよ、ねえ清十郎?」

 「はい、大丈夫です」


 他の皆の許可を得た上で配信を開始することにした。


 タイトルは【グランドダンジョン攻略!『星崩の大魔宮』突入!!!】に設定する。


 配信を開始した瞬間に、一気に同時接続数のカウンターが跳ね上がる。

 一番最初に表示された接続数は既に10万人を超えていた。


 「うわぁ……」


 見たこともない数値に自分でも驚いてしまう。

 配信開始時点でこの数字ということが何を表すのか?

 このグランドダンジョン攻略はかなりの長丁場となる。

 恐らくグランドダンジョン攻略が配信されるのは世界初、俺の予測では同時接続者数はまだまだ増えるはずだった。


 ……一体最終的にはどこまで数字が伸びるんだ?


 少し背筋に悪寒を感じながらも配信を開始することにした。


 「こ、こんにちわ、【『紅蓮の魔女』と『神速の配信者』】がお送りする生配信が始まりました。今回はグランドダンジョン『星崩の大魔宮』の攻略となります」


 〈待ってました!!!〉

 〈もう朝からずっとモニターの前で待機してたよ!〉

 〈ていうか何その景色!?めちゃくちゃ綺麗じゃね?〉

 〈うわぁ、何か感動的ですらあるな〉

 〈一度で良いからこの目で見てみたいな〉


 コメント欄はとりあえず目の前の幻想的な光景に対しての賛辞で溢れている。

 

 「そして、今回はいつもと違って僕たち二人以外にも、セイラさんと清十郎さんと一緒に攻略したいと思います」


 〈うおおお!本当にいるじゃん!〉

 〈『蒼氷の聖女』、かわいい!!!〉

 〈清十郎さんもかっこいい!!!〉

 〈俺はやっぱりアイリーンさん一筋だな!〉

 〈『神速』さんも負けるなよ!〉


 セイラさんと清十郎さんを紹介すると、さらにコメント欄が活性化した。

 それぞれへの応援コメントが入り乱れているようだ。


 「へえ、配信ってこんな感じなんですね、もう皆さま、わたくしたちのことをご覧になってらっしゃるんですの?」

 「ああ、はい、もう皆さんからの応援コメントもどしどし入ってきています」

 「そうなんですね!皆さま、応援ありがとうございます。頑張りますので最後まで応援よろしくお願いしますね」


 〈うおおおおおおおおおおおお!!!!〉

 〈やっぱり『聖女』は『聖女』だったぜ!!!!〉

 〈いや、俺にはアイリーンさんが……いや、でも……なあ?〉

 〈くっそぉ!!!可愛すぎるじゃないか!!!〉


 セイラさんが礼儀正しくドローンのカメラを通してギャラリーたちにコメントの述べると、またまたコメント欄が凄まじい勢いで盛り上がる。


 いや予想はしてたが、こいつらって……


 「それでは、そろそろ進みましょうか?」

 「はい、ええと、それではグランドダンジョン『星崩の大魔宮』の攻略を開始したいと思います。出来る限り配信に集中したいと思いますが、初めての経験でもありますので不手際などあったら、先に謝っておきますね」


 〈おう!配信は任せたぞ!〉

 〈この光景を見れてるだけで『神速』さんのお陰だからな!〉

 〈アイリーンさんを頼むぞ!〉

 〈なぁに、この面子だったら大船に乗った気持ちで大丈夫だろう!〉

 〈とにかく、命だけは気を付けて頑張ってくれよ!!!〉


 グランドダンジョン挑戦が開始となり、コメント欄も更なる盛り上がりを見せる。


 とりあえず俺たちは目の前の光の回廊を進んでいくことにする。

 このダンジョンは様々な形状の回廊や階段が入り乱れて迷路のようになっている。

 パッと視線を向けるだけでも、そこら中に回廊が伸びているのだ。


 「ええと、それじゃあ清十郎、お願いしますわ」

 「はい、わかりましたお嬢様」


 突然、清十郎さんが瞼を閉じて集中を始める。


 「……わかりました、皆様、こちらです」


 そう言いながら清十郎さんが先頭を歩き始める。


 「あ、あの……今のは?」

 「ああ、清十郎のスキル『極限感知』の効果でこの迷路の行先を感知してもらいました。以前『地龍ベルベイル』討伐の報酬として入手したSランク神器『地龍の魔眼』が齎すスキルです」

 「す、すごいですね!それじゃあもう絶対に迷わないじゃないですか!」

 「そうなりますね、とにかく行先は清十郎に任せてついていきましょう」


 〈『地龍の魔眼』……すごい効果だな〉

 〈これならもう攻略は確定じゃないか〉

 〈清十郎さん、強いだけじゃなくてそんなスキルまで持ってるのか〉

 〈『極限感知』って戦闘にも使えるのかな?〉

 〈間違いなく使えるだろう。相手の攻撃とか読めるんじゃね?〉

 〈だとしたら無敵じゃん!ていか反則じゃん!!!〉

 〈やっぱりこの四人組ってもう異次元の組み合わせだよな……〉


 俺たちは清十郎さんの後について先に進んでいく。


 すると、向こうの方から何かが向かってくるのが見える。

 羽根を羽ばたかせ槍を持つ魔族のようなモンスターが複数体向かってくる。


 「……あれは『ナイトメア・マスター』ですね、10体程いるでしょうか」


 清十郎さんがそう言いながら腰の刀に手を伸ばす。


 〈『ナイトメア・マスター』って『悪夢の古城』のボスだよな?〉

 〈うん、Aランクダンジョンの……〉

 〈俺たち瞬殺されたけどな……1体だけに〉

 〈そんなのが10体もいるのかよ〉

 〈しかも入った直後にだぜ?〉

 〈グランドダンジョン半端ないな〉


 このダンジョンのファーストバトルはこいつらか……


 『ナイトメア・マスター』の集団は真っ直ぐにこっちに向かってくる。


 「とりあえずわたくしにお任せ下さい」


 セイラさんが一歩前に進み出るとアイリーンさんが持っているのと同じくらいのサイズの杖を頭上に掲げる。


 「ヘル・スノーストーム!!!」


 セイラさんがそう叫んだ瞬間だった。


 周囲に猛吹雪が吹き荒れ『ナイトメア・マスター』たちを包んでいく。

 

 俺は必死にカメラを掲げるが、吹雪で視界を奪われ全く何が起こっているかわからなくなった。


 「くっ……!」


 アイリーンさんの魔法ほどではないが、こちらの方にも容赦なく冷気が迫って来るため、巻き込まれないように『神速』を使用し安全圏まで移動する。


 やがて吹雪が止んだ頃には『ナイトメア・マスター』たちは一匹残らず全滅していた。


 ある者は全身を凍結され、異空間の底へ向かって墜落していき。

 ある者は凍結した体を回廊にぶつけ、粉々に砕け散った。


 やはりセイラさんもSランク冒険者、アイリーンさん同様に化け物だった。


 〈すげえええええ!!!〉

 〈さすが『蒼氷の聖女』だな〉

 〈『ナイトメア・マスター』10体を一瞬で……〉

 〈わかってたけどレベルが違い過ぎるよ〉


 「さて、皆さま先に進みましょうか」


 セイラさんが前へ向き直り、先に進み出す。



 ……すごいな、やっぱりアイリーンさんと互角か。


 

 俺はこんな実力者が複数味方にいることに頼もしさを感じつつも、巻き込まれないように細心の注意を払おうと、改めて気合を入れるのだった。


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