自然の中で
現在 6人対11人。開始早々に現れた一人に、気付いた三夜子がカウンターで返り討ちにした。
「思ってたより相手に技術があるな、こりゃ油断してかかるとすぐ全滅の恐れがあるぜ」
確かに少しなめていたかもしれない、中学生がまさか身を潜ませる術を持っているなんて。自然の中で遊んでいて見に付く技術でもないような気もするが、山の中でかくれんぼでもしていたら自然に隠れる術は覚えるのかもな。
「よし、早いとここの辺りの地理を覚えるか」
まず月乃を先頭に山の地理を把握。別に全体ではなく社のある中腹から少し降りたこの場所から一周した辺りまでをおぼえてからは三手に別れて、三か所から旗を狙う、というものだ。
「山を歩く途中に出会った相手はなるべく倒しておこう。後々楽になるからな」
声で気付かれないようになるべく会話を少なくしながら山の中を歩いていく。
数分ほど行ったところで、
「……いたぞ」
一早く早山が見つけた。そちらには3人の中学生が辺りを見回している。
「こっちにもいるわ」
月乃も発見、こちらは2人だけ、早山が見つけた3人とは逆方向だ。
「よし、気付かれてない内に奇襲をかける。月乃、三夜子、押川は2人の方を頼む」
「はい」
「俺達は3人の方を叩く」
「分かりました」
「皆、無事でいような」
それは少し大げさな気が……
「よし……行くぞ!」
俺達は前、三夜子達は逆方向にいる中学生へ奇襲をかけた。
3人の構成は男子2人と女子1人、その中の男子が俺達の接近に気付いたが、
「はっ!」
パァン!
その1人に大和先生が剣を降り下ろし、見事ヒットした。
その間に残り2人が気付いて攻撃動作後の大和先生を狙うが、俺と早山が間に入り攻撃を防ぐ。俺達は後ろへ後退して間合いを開けると中学生2人が前へ、俺と早山はお互いの正面にいる相手を迎え撃つ体制を取る。
俺は降り下ろされた剣を受け止め、一気に弾く、すると相手の剣はあっさりと横に飛ばされた。その隙をつき、面の要領で降り下ろす。
パァン!
外れることなく紙風船に当たった。
中学生が降参を示すように両手を上げたのを確認後早山の方を見ると、勝負はまだついてなかったいなかった。
やはり持っている剣が短くて簡単に頭には届かないのか、相手、女子中学生の剣を防いだり避けたりしている。俺や大和先生が加勢に出ようとするが、下手な事をしたら早山をピンチにしてしまうと思って俺と大和先生は動けなかった。
などと考えていると早山は自分はもちろん相手の剣も届かない距離を開くと、
「……ここなら届くか」
何か呟き、剣を持つ右手を左肩へ持っていった。
次の瞬間、
ビシュ!
パァン!
早山の投げた剣が相手の紙風船の中心を貫いた。
「えぇ!?」
相手の中学生も驚きの表情だ。無理もない、まさかそんな方法を使う人がいるなんて思わないだろう。
「ルールに、投げてはいけないとはなかったからな」
そりゃそうだが、そんなのするの早山くらいだ。
紙風船を割られた中学生達は山の上、社の方へと走っていった。
「どうやらそっちも終わったようね」
早山が投げた剣を回収していると月乃達が戻ってきた。誰も紙風船は割られていない。
「今ので5人ってことはコレで相手は後6人、こちらと並んだわね」
「そろそろ旗を狙ってみるか?」
「なら三組に別れましょう。緋鳴達を分散出来れば勝ち目が上がります」
月乃を中心に、俺達は作戦を立て始めた。
……side 珀露
「さすがは高校生……もう半分もやられるなんて」
紙風船を割られて戻ってきた皆の報告を受けて、緋鳴は呟いた。
こちらはもう僕達を含めて6人。全員が旗を中心に集まっている。
「月乃先輩もいるし、多分攻めにでるわね。もういつ来てもおかしく無いわ、皆油断しないでね」
最早暗黙の了解になったそれに頷く者はいず、
「お〜!」
緑羽だけが一人武器を上げて答えた。
「それで、どうやって守るの?」
緑羽が緋鳴に訊ねると、
「それは、えっと……」
緋鳴はうんうんと唸り、
「うっ……は、珀露なら、どうする?」
僕に委ねてきた。
まぁ分かってた。緋鳴の方が勉強出来て頭が良いけど、この場合だけは緋鳴が攻めのリーダー役で、僕が頭脳労働なんだ。
「多分……」
僕は社の辺りを見回して、旗を中心に見て、攻めやすそうな場所……
「2人一組で三ヵ所から一辺に来るかも。こっちも2人一組で守った方がいいかな」
「じゃあ、あたしと珀露と緑羽に一人ずつ付いて」
僕達は皆さんが攻めやすそうな場所を前に見て旗を囲うように立って襲撃を待った。
すると、
「!? 来たよ!」
緑羽がいち早く気付いた次の瞬間、ほとんど予想通りの三方向から現れた。
「行くわよ皆!」
僕達も前に出て、相手に立ち塞がる。
「緋鳴、アンタの望みを叶えてあげるわ」
「月乃先輩!」
「やっぱりこうなったか」
緋鳴達の前には月乃先輩と武川さんが、
「負けないからね!」
「……コッチこそ」
「道を開けてもらう」
緑羽達の前には早山さんと七ヶ橋さんが、
そして僕達の前には、
「おぉ、まさかの要注意に当たったな」
大和先生と、
「負けないよ、ハクロウくん!」
押川さんが立った。
「珀露ですってば……」
すごくやりにくい相手に、当たってしまった……




