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文武平等  作者: 風紙文
第二章
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秘密の方法

月乃に似ている他校の女子生徒、冬野の落とし物だという腕時計探しを始めて数十分、一向に見つかる気配は無かった。

「というか今さらだが、腕時計なんてどうやって落としたんだよ? 基本は腕に巻かれている物だろ」

「基本はね、でもアタシ鞄に巻いてたから知らぬ間に何処かに引っ掻けたみたいなのよ」

それでもそう簡単に外れる物じゃないと思うんだが、腕時計探しを続けながらも俺達は互いのことを話した。

冬野いわく、俺と三夜子はバイト仲間の2人に似ているらしい・

「例えば、どんなところがだ?」

「そうね、七ヶ橋が似てるのは時雨っていう年齢的にもバイト歴的にも後輩なんだけど、基本的に物静かなのよ。それに雰囲気も、そして基本無表情なところも」

「……」

それほとんどそっくりってことじゃないか。

七々橋みたいな奴が、もう一人居るとは……

「……何?」

「あ、いや……何でもない」

思わず三夜子の方を向いてしまっていたようだ。

「で、武川に似てるのは懐斗っていう他校の奴で、何て言うか……しゃべり方? とか、性格とかが似てるのよね」

「へぇ……しっかし、見当たらないな」

そろそろ大和先生達のところへ戻らないとマズイかもな。連絡のしようが無かったから何も言わずに来てしまった、でもこれだけ探しておいて見つからずじまいは何だか気分悪い。いっそこうなったら、大和先生達に事情を話して一緒に探してもらうか……て。

「見つかんないわね……いっそ時跳びして落とす直前に……て、その跳ぶ為の道具を落としてるんじゃない」

「そうだ、俺達だって用事があってここまで来たんじゃないか」

「用事?」

「三夜子の携帯電話を見に来たんだよ」

「へぇ、アンタ携帯持ってないんだ。今どき珍しいわね」

「……ん」

「向こうには携帯置いてる店が無いって聞いたことあるし……ん? ちょっと待って、携帯……あ! そうよ!」

冬野はパチン! と指を鳴らした。何かを思い付いたらしい。

「別に無理にアタシが行く必要は無いのよ。いやむしろアタシが行かない方がいいに決まってるじゃない、誰かに頼んでひとっ跳びしてもらえばすぐに見つかったじゃないのよ。なーんだ簡単なことだったんじゃない」

「一っ跳び?」

そういやさっき、時跳びとかなんとか言ってたような……時跳びってなんだ?

「あ、そこは気にしないで、こっちの事だから」

そう言いつつ、冬野は携帯電話を取り出して何処かへと着信。

「あ、もしもし懐斗? アタシよ、今どこに居んの? バイト先? じゃあいきなりで悪いんだけどちょっと一っ跳びしてくれないかしら? あのね、腕時計落としちゃってさ。うん、時間は覚えてるからアタシが落とした直前とかに跳んで持ってきてくれない? は? 何でそんなことしなくちゃいけないかって? 別に良いじゃない一っ跳び、ものの数分よ、数分」

何やら頼んでいるようだが数分して電話を切った。切り際に相手の大声が聞こえた……多分、相手は承諾してない。

「という訳で、手伝ってもらっておいてなんだけど、効率的な方法が見つかったからアタシは行ってくるわ、アンタ達も何か用事あったんでしょ?」

「そりゃまぁな、でも本当に良いのか?」

「大丈夫よ。アンタ達はアンタ達のやる事に戻りなさい、こっちはこっちで懐斗となんとかするから」

そして冬野は三夜子を正面に見て、

「良い携帯電話、見つけなさいよ」

「ん……ありがとう」

「どういたしまして、あ、ちょうど良いから武川の電話番号教えなさい」

「あぁ」

俺は携帯を開き、冬野に番号を教える。

「オッケ、七ヶ橋には携帯手に入れたら教えてあげて。じゃあね2人共、またどっかで会いましょ」

そう言い残して、冬野は去っていった。

「なんというか……」

「……?」

歩いていく冬野の後ろ姿を見ながらふと呟く。

「月乃と似た別人なのは分かってたけどな、ああして話した結果、ああいう性格との接し方が分かった気がするんだよな」

「……つまり?」

「つまり……もう少し落ち着いて月乃と話せるような気がするんだ。そしてハッキリと、部活に入れない理由を話してみようと思う」

「……頑張って」

「ああ、頑張ってみるよ」

こうして、俺は決心を胸に秘めて俺達は先生達と別れた場所に戻った。

するとそこには大和先生と押川が、

「……どれだけ買ったんですか」

「いやぁ……つい、な?」

「……大量?」

「うん! たっくさん買えたよみゃーさん!」

両手にレジ袋を持っていた。

その中身はもちろん。別名どう見たって玩具のオマケにお菓子の食玩、だった。





夏休みに入る前まで、それがタイムリミット。

それまでになんとしても後一人、男子を入れなくてはいけない。

……実際、ただ部活を作りたいだけなら、女子か、知り合いの男子に名前だけ借りればいいだけの事。

けど、それではダメ。アタシ達が部を作るのに必要なのは名前だけじゃない。ちゃんとした一人の男子。

それ以上もそれ以下もいらない……欲を言えば即戦力になる男子がいいから、こんな事になっている訳だけど……

いいえ、言い訳なんて言わない。

言い訳なんて、アタシが一番大ッキライな言葉よ。

言い訳なんて無用……だってアタシは、その一番イヤな事をしてまでこうしているのだから。

言い訳は無用、アタシはアタシで訳を創るだけ。

……そもそもアタシがこの学校に来たのは、中学の時部活で良い成績を残して、その推薦によるもの。だから必然的に高校でもその部活に入った。

本当なら皆と同じ高校に行きたかったけど、アタシはそこまで頭がよくなかったみたいだから……て、そんなのはどうでもいいのよ。

一番の親友も、なんかよく分からない学校に転校してっちゃったし。

だからアタシはこの推薦を利用した。そこで、知った。

この部活の強さの秘密と。強さの、意味を……

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