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第三話 守護者

「いやあっ!いやあっ!!」


宙に放り出された瞬間、白雪はこれまでに出したことのないような甲高い悲鳴を上げた。あまりに突然のことで、何が起きているのか考える時間すらなく、彼女は砕けた壁の煉瓦とともに地面へと落ちていった。この高さから落ちれば、まず助かる見込みはない。だが、白雪は瞬時に受け止められた。角ばった縁の黒い眼鏡をかけた女であった。


白雪はまだ恐怖の渦の中にありながら、すぐに別のものに驚かされた。自分を抱きかかえる女の、眼鏡より下の肌がすべて灰白色で、髪はとても太く、まるで一本一本の銅パイプが後方へ伸びているかのようであった。最も恐ろしいのは、女がもともと大蛇の頸の下に張り付いていて、まるで同一の生物であるかのように身体がつながっていることであった。


「ひっ……ひっ……」


白雪は恐ろしさのあまり、しばらく一言も発することができず、唇は血の気を失って真っ白になり、身体は痙攣するように震えていた。


「ごきげんよう、私の小さな姫君。」


女は母親が赤子を抱くように白雪を自分の方へ引き寄せた。この距離で、白雪はその恐ろしい灰白色の肌をよりはっきりと見ることができ、そのおぞましい外貌に、極度の恐怖の混乱へと陥っていった。


女は白雪のこの怯えた表情を楽しむかのように、小さな生き物をもてあそぶようにして、その裸の肩を撫でた。しばらく少女を鑑賞したあと、微笑みを浮かべて尋ねた。


「ずいぶん怖がっているのね。装甲機を見るのは初めて?」


「そ……装甲機……?」


白雪は唇を震わせて、この初めて聞く名詞を繰り返した。女は続けた。


「そう、装甲機よ。あなたのおじい様もきっとあなたに残してくれたはずだわ。」


「お……おじい様が、私に……装甲機を?」


女の顔に、恐ろしい笑みが浮かんだ。


「そう、黒崎仁義が作った装甲機よ。さあ、おばさんに見せてちょうだい。」


白雪は一面の茫然とした。少女が多年のうちに黒崎仁義の名を聞くのは、これが初めてであった。五歳のときにおじい様が亡くなった日から、宮前家では誰一人として彼の名を口にしなかった。自分の母親さえも。


「お……おばさん……あなたは……亜希おばさん?」


白雪は信じられないというように女の顔を見つめた。灰白色に変わってはいても、その鼻と唇の形は確かに見覚えがあった。これは本当に、自分の継母である真城亜希なのか?


こうなっては、亜希ももう自分の身分を隠す必要はなかった。彼女は巨大な蛇の頭を誇らしげに揺らめかせ、真っ赤な目で手中の獲物をしっかりと見据えながら、柔らかい声で尋ねた。


「いいゆきちゃん、あなたはおばさんの可愛い娘よ。おばさんはあなたを傷つけたくないの。おとなしく出してくれるかしら?」


「私……おばさんが何を言っているのか、分かりません。」


白雪は見当もつかない様子で言った。この状況で、この少女がまだとぼけているのだとしたら、彼女はきっと最高の女優であろう。


黒崎仁義、あなたは自分の外孫に本当にそこまで冷酷なのか?試させてもらいましょう。


「そう。なら仕方ないわね。いいゆきちゃん、あなたはそんなにお母さんが恋しいのなら、おばさんがお母さんのところへ送ってあげる。」


そう言い終えると、亜希は白雪を抱えていた手を放し、少女はたちまち再び地面へ向かって落ちていった。


「いやあっ!」


しかし、身体に巻いていたバスタオルさえ風に煽られて飛んでいくそのとき、亜希はもう一度彼女を受け止めた。


「はあ……はあ……」


白雪は息を激しく喘いだ。これはバンジージャンプよりも恐ろしい体験であった。亜希は全身裸の少女を抱えて笑った。


「見て、うちの娘はなんて美しいのかしら。肌は本当に雪よりも白いわ。こんなに綺麗な娘が、このまま落ちて死ぬなんて、惜しすぎるでしょう?」


恐怖で涙を流していた白雪は、顔を上げて泣きながら言った。


「怖いです。私を降ろしてもらえますか?」


「降ろす?それなら、あなたがおとなしいかどうか次第ね。」


亜希は狡猾な表情を作った。そして白雪を降ろすどころか、かえってゆっくりと高度を上げ、アパートの屋根を越えていき、機械の全体が空中にその全貌を現した。大蛇の長さはおよそ六メートル、全身は金属の紫銀色で、一枚一枚の鱗がそれぞれ独立して蠢いていた。尾部は推進器に似た部品の集合体で、全体はこの部品によって空中に浮かんでいた。


「もうずいぶん高いわよ。東京の美しい夜景を眺めてみる気はない?いいゆきちゃん。」


亜希は一気に三十階建ての高さまで上昇した。空中の激しい冷風が白雪の肌を刺すように吹きつけ、加えて恐怖による心臓の鼓動もあり、少女は答えることなどできず、ただ死に物狂いで継母のぬめる腕を掴んで震えていた。


亜希はなおも止まらず、そのまま標高七千メートル以上まで飛び上がった。この高度では白雪も呼吸すら困難であり、ましてや冷風に刺される裸の身体は、少女をまるで氷の窟に落ちたかのように凍え震えさせた。


「も……もう耐えられません……おば……おばさん……お願いです……私を放してくれませんか……」


白雪はもうこのような責め苦に耐えられず、力なく懇願した。


「へへ、私に頼むのかい?これが最後のチャンスだ。教えておくれ、お前の装甲機はどこにある?」


亜希は最後通牒を発した。白雪はむせび泣きながら言った。


「私、本当に……装甲機なんて知りません……」


「ほう、まだ強がるのかい?ならうちのゆきちゃんは、まもなくどろどろの血の塊になるよ。」


「どうして私をこんな目に遭わせるんですか?」


白雪は涙を流して尋ねた。


「おかしいかい?あんたもずっと、この継母が嫌いだっただろう?」


「私……嫌いです。でも、それでも、私を殺す必要があるんですか?」


「へへ、よく言った。あんたが黒崎仁義の外孫でなければ、今日ここで死ぬこともなかっただろう。恨むなら、死に際までこんな遊びをするおじい様を恨むんだね!」


「お……おじい様?」


亜希は狡猾な笑みを浮かべて言った。


「そういえば、ゆきちゃんが生まれた日から、私は宮前家のそばにずっと張り付いていた。実の娘ではないにしても、それなりに情はある。もう一度チャンスをやろう。私をお母さんと呼びな。そうしたら見逃してやる。」


「え……?」


「何か問題でも?黒崎真子はとうに死んだ。今は宮前亜希が、あんたのお母さんだ。」


白雪は、亜希がまさかこんな条件で自分を脅すとは思ってもみなかった。一瞬、全身が呆然とした。数秒後、少女は歯を食いしばって断固として拒否した。


「黒崎真子以外、私は永遠に誰もお母さんとは呼びません!」


「ふふ、意気地のある娘だね。あんたのお母さんと同じくらい勇敢だ。ならば、母娘で立派に再会するといい。」


そう言い終えると亜希は手を放し、白雪は三度目の落下をした。しかし、今度は少女は悲鳴を上げなかった。母の名声を守ると決めた瞬間、白雪は死を選んでも、もうこの女に懇願することはなかった。


少女の身体は高空からまっすぐに突き落ちていき、激しい風のために白雪はまぶたを開けることすらできず、黙って死神の訪れを待ち、もう一度母の腕に戻ることを待った。


「お母さん、白雪はあなたのところへ帰ります……」


四千フィートの高さに達したころ、白雪はあまりの衝撃で空中で意識を失っていた。一人の少女の命がまさに終わろうとしたそのとき、もう一筋の光と影がその傍らへ飛んできて、気を失った白雪を胸に抱きかかえ、ゆっくりと地面に降り立った。


それは十歳そこそこに見える青年であった。彼は慎重に白雪をビルの屋上に寝かせ、頭を上げてその巨大な大蛇を見上げると、足をひと蹴りして、まっすぐに相手の方へ飛び去った。


「はは、ついに出てきたか。ミラの言った通りだ。この方法を使わなければ、獲物を引き出せないと思っていた!」


亜希は青年の登場に驚くどころか、かえって興奮していた。おそらくこれらすべては彼女の予測のうちであり、黒崎真子はやはり自分の娘を放っておかなかったのだ。黒崎家最強の装甲機は、ずっと宮前白雪の傍らにいた。


「来い!黒崎家の最強兵器を見せてみろ!」


正直に言えば、亜希はこの一戦に勝算など全くなかった。黒崎真子の作った装甲機がどれほど凄まじいか、想像できる者はいなかった。しかし、長年探し続けてついに願いが叶う興奮と、女の嫉妬心が、亜希の理性を覆い隠していた。


黒崎真子、私はあなたの夫を奪うだけでなく、あなたの装甲機さえも、私に捧げさせる!


青年は巨大な大蛇と同じ高さまで飛び上がり、ようやく亜希はこの宮前白雪の装甲機をはっきりと見ることができた。


「まさか人型だなんて。あのじいさんは本当に予想外だわ。」


亜希は、黒崎家の最強兵器として、白雪の装甲機はもっと巨大で迫力があるものだと思っていた。まさか、目立たない青年だとは思いもしなかった。


亜希は青年が自分を見つめているのを見て、心の中で思った。『自己意識を持つ、超AIを搭載した機体か。でも私には敵わない。持ち帰ってプログラムを少し書き換えれば、お前は私に忠実な僕になる。』


女は得意げに嬌笑した。


「どうしたの?お前の姫と合体せずに、私と戦うつもり?」


青年は無表情に答えた。


「戦うつもりはありません。私の務めは、姫を守ることだけです。」


「何?」


この答えは明らかに亜希の予測を超えていた。拒絶された怒りが、彼女を一瞬で発狂させた。


「ふざけるな!私がこれだけの手間をかけたのに、戦わないだと?」


そう言うと巨大な蛇の尾を振り、熱を放つ噴射器が正確に青年を捉え、彼を遠くへ激しく吹き飛ばし、ビルの壁に激しく叩きつけた。


「あ?」


あまりにも容易に当たったため、亜希も逆に意外に思った。黒崎真子が発明した装甲機が、まさかこれほど無能なはずがあるまい?


次の瞬間、亜希はもう一つのことに気づいた。光量子エネルギーの探知器が反応しないのである。


光量子エネルギーは、黒崎博士が発明した超エネルギーである。百ミリリットルの分量で、その爆発的な瞬間エネルギーは、すでに核弾よりも強力であった。


どの装甲機も光量子エネルギーで起動しなければならない。ゆえに今、その反応が探知されないことに、亜希は深く不審を抱いた。


「まさか……これは黒崎仁義の装甲機ではない?」


亜希は策があるのを恐れて、油断せずゆっくりと青年の前まで飛んだ。青年は肩から崩れ落ちた煉瓦のいくつかを振り払い、目をしっかりと亜希に向けた。


「繰り返します。私は戦うつもりはありません。私の務めは、姫を守ることだけです。」


「はは、戦わないと言えば戦わないのか?お前が今日私を殺さなければ、私がお前の姫を殺す!」


巨大な蛇の頭が狂ったように青年に襲いかかり、鋭い歯の並んだ口を開けて彼を飲み込もうとした。青年は手足で大蛇の口を支え、身を翻して大蛇の上顎に蹴りを放ち、その反動を利用して一回転し、別の方向へ躍り出た。


「くそっ!」


亜希は振り返りながら蛇の尾も一緒に振った。先ほどの経験があるため、今度は青年は尾の攻撃を避け、巨大な蛇の身体に沿って渦を巻くように回り、大蛇の円い部分まで回ると、また滑空するようにして弧を描いて身を翻した。


「ふふ、私とかくれんぼでもするつもり?」


青年の足裏に噴射エンジンなどの装置がないことから、亜希は彼が対空流の方式で飛翔していることを知った。この飛行方式には、流麗な線で滑空できるという利点がある。しかし欠点は、急停止や垂直角度での旋回ができないことである。相手の飛行習性さえ分かれば、その飛行軌跡の弧度を計算し、容易に捕捉できる。


しかし青年もまた自分の弱点を知っているようで、蛇の身体を囲んでさらに一周すると、蛇の頭を越えて直線で遠くへ飛び去った。


「おバカさん!速さで比べたら、どうして負けるものか!」


亜希はまるで思う壺とばかりに、蛇の尾を振ると、巨大な噴射器がたちまち灼熱の青い光を猛烈に噴き出し、先ほどの三倍の速度で追いかけていった。広がった距離は一瞬で追いつかれ、青年は逆転するように方向を変えたが、残念ながら先ほどの観察を経て、亜希はすでに彼の飛行弧度を計算していた。高熱を噴く蛇の尾を一振りし、旋回している相手を正確に捉えた。


「ゴウッ!」


一声の轟音とともに、青年は野球のバットで打たれたボールのように、蛇の尾で遠くへ弾き飛ばされた。亜希は満塁ホームランを打った勢いで容赦せず、噴射器がさらに青い光を噴き出し、青年の落ちていく方向へ突進し、蛇の頭で相手にさらにぶつかった。この一撃の威力はすさまじく、青年を向かいのビルまで吹き飛ばし、コンクリートの壁深くに埋め込んだ。


「弱すぎる!やはりこれは本当に装甲機ではなく、ただの普通のロボットだ!くそっ、私の時間を無駄にしやがって!」


目の前のものが自分の求めるものではないと知り、亜希は怒りに満ちた。大蛇は猛烈な勢いで壁に閉じ込められた青年に襲いかかり、まるで彼を無理やり解体しようとするかのように直接激突し、しかも一度ではなく、途切れることなく繰り返しぶつかり続けた。


「ゴウッ!ゴウッ!ゴウッ!」


それは杭打ち機のような威力で、ビル全体に穴を穿った。亜希はまだ手を止めず、一気に青年のすべての部品を破壊し尽くさなければ、心の怒りが収まらないかのようであった。


「死ね!死ね!死ね!死ね!黒崎家の奴らめ!」


「ゴウッ!ゴウッ!ゴウッ!」


一連の発散を経て、亜希はひとまず手を緩めた。彼女は自分が打ち込んで凹ませた穴の前に来ると、手を伸ばして完全に中に埋まってしまった青年を、瓦礫の中から無理やり掻き出した。


「どうだい?楽しかったか?では、ゲームはそろそろ終わりにしよう。」


亜希は鋭い爪の生えた手を伸ばして青年の首を握った。彼女は、ロボットが酸欠で死ぬことはないと知っていたが、亜希はこの方法で自分の敵を滅ぼすのが好きだった。自分の指で相手の首をねじ折ることが、彼女が勝利を享受する最大の楽しみであった。


「へへ、お前の顔はよくできている。私の好みのタイプだ。首をねじ折ったら、その頭は記念に取っておいてやる。」


しかし、勝利の美果を味わっているそのとき、亜希は一つのことに気づいた。自分の左右後方に、いつの間にか三人の人物が空中に浮かんで囲んでいたのである。


「ひっ!」


本能的に青年の首をねじる手を放し、亜希は機体を後退させ、突然現れた新たな敵を見定めた。三人の外貌は青年と非常に似ており、ほぼ一党であると断定できた。


「なるほど、真子が小娘に作ったロボットは一台だけではないのか。だが、それがどうした?装甲機を前にしては、こんなゴミはいくら増えても敵ではない!」


亜希は軽蔑の冷笑を発したが、次の瞬間、その笑みは硬直した。頭上の機器が警告の赤を点滅させていた。


何?どうして装甲機のエネルギーが少しずつ減っている?


これはあり得ないことだ。光量子エネルギーは消費されない永久的なエネルギーである。亜希は驚愕して顔を上げ、大蛇の口部の左右の唇の端から、いつの間にか絶えずピンク色の光の煙が流れ出ているのに気づいた。


光量子エネルギーだ!貴重な光量子エネルギーが、空中に漏れ出している。


この驚きは亜希にとって並々ならぬものであった。光量子エネルギーは炉心の中に収められている。装甲機の最重要部分であるため、設計者は炉心を敵が攻撃しにくい場所に設置する。亜希は、青年が先ほど手足で大蛇の口を支えたとき、喉の奥に隠された致命的な点を壊されていたとは、夢にも思わなかった。


「どうして?は……さすが真子のロボットだ。たった一秒で、弱点を見つけ出したのか……」


亜希はこのときようやく、青年の先ほどの追いかけっこが、実は自分の光量子エネルギーを消耗させるためであったことを知った。手を交えた最初の一撃で、すでに勝敗は決していたのである。


「私の負けだ、私の負けだ……」


一気に優勢から形勢が逆転し、亜希の戦意はたちまち消え沈み、万事休すという敗北感があった。


長年ともに働いたなかで、真子は亜希の心の中で、その父・黒崎仁義に劣らぬ天才であった。三十二歳の若さで超量子理論を完成させ、もし早く死ななければ、その功績は黒崎仁義さえ超えたかもしれない。


認めたくはないが、夫の前妻は、確かに自分よりも優れていた。


宮前秀次に近づき、さらには彼に嫁いで人の後妻となったのは、真城亜希が黒崎博士の研究の秘密を得るためであった。まさか秀次が、思っていたよりもはるかに腑抜けた男で、科学の研究では何の功績もなく、黒崎博士の研究についても全く知らなかった。妻の父である黒崎仁義の名声がなければ、彼は研究所に入る資格すらなかっただろう。


「半生の青春を費やして、結局は何も得られなかったのか?」


亜希はとても悔しかった。自分は黒崎家に最も近い女なのに、ほんの少しの利益も得られなかった。


装甲戦争で勝利を収めることによってのみ、自分の価値を証明できる。まさか光量子エネルギーを搭載した装甲機が、黒崎真子のただのロボットに負けるとは。


「私の負けだ。お前たちは、このまま私を殺せばいい。」


亜希は両手を垂らし、相手の処分に任せた。青年はゆっくりと彼女の前へ飛び、もう一度先ほどの言葉を繰り返した。


「私たちの務めは姫を守ることです。参戦者を殺すことではありません。」


「何?」


亜希は驚いた。心の中で思った。『なるほど、黒崎真子がこの数台のロボットを作ったのは、あの小娘を守るためか。あれほど娘を愛しているなら、白雪を戦争に巻き込みたくなど、そもそも思っていなかったのかもしれない。もしあの娘が先ほど演技をしていなかったのなら、彼女は装甲戦争のことを何も知らず、しかも彼女の性格からすれば、たとえ知っても参戦しない可能性が高い。』


真子の装甲機を手に入れられなかったのは少し残念だが、この最強の敵と対峙せずに済むのは、悪いことではない。光量子エネルギーの製造法は黒崎博士が握っており、その死まで他人に明かさなかったため、光量子エネルギーを複製することは不可能である。今や自分の残りの光量子エネルギーも多くはない。亜希は基本的に、もう装甲戦争で勝利することはできない。唯一の方法は、他人の手から光量子エネルギーを奪うことである。


「どうせ装甲戦争の勝者はただ一人。皆が傷つき合って弱ったところで、私が乗じて入り込めば遅くはない。」


亜希は心の中で算段し、態勢を組み直すことを決めると、目の前の青年に言った。


「よし、お前たちを信じよう。では、私はもうお前たちの姫には手を出さない。お前たちも私の邪魔をするな!」


そう言い終えると亜希は不満げに立ち去ろうとし、振り返って横たわる白雪を眺め、心の中で、いつか今日の仇を報いてやるとつぶやいた。


四人の青年も、言った通り彼女を制止せず、一緒にゆっくりと白雪の横たわる場所へと降りていった。


「私……どこに……?」


白雪はビルの屋上に横たわり、しばらくめまいがしていたが、寒さと震えの中で次第に意識を取り戻した。ずっと待ち続けていた四人の青年は、白雪が目を覚ましたのを見て、そろって片膝をついた。


「姫にお会いできて光栄です。お驚かせして申し訳ありません。ご無事ですか?」


「ひ……姫……?」


白雪はまだぼんやりとして完全には意識が戻っておらず、茫然として四人を見つめていた。そのとき一陣の冷たい風が吹き抜け、全身がひやりとした。少女は、死ぬことよりも恐ろしいことに気づいた。


裸だ。今の自分は全身裸で屋外に横たわっており、しかも四方を四人の男に囲まれている。


「う……うう……いやあっ!」


涙がこらえきれず、あふれ出した。続いて、悲鳴が上がる。この恥ずかしがり屋の少女は、人生で最も過酷な一夜を過ごしたのち、ようやく意識を取り戻したばかりだったのに、この打撃に耐えられず、そのまま気を失った。

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