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盾にされた私、異世界ではただの猫です  作者: 蛇目菊 欲狐
第2章
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9-神域への招待

その後、褒賞の話へ戻ったのだけれど――正直、それどころではなかった。


次から次へと起こる出来事に、頭が完全に追いついていなかったのだ。


私はただ、

「これからも辺境伯領に居させてほしい」

とだけお願いした。


だが、それでは褒賞にならないと言われてしまい。


困り果てた末、最終的にはレオンハルト様へ丸投げする形になってしまった。


そして。


混乱した頭を落ち着かせる間もなく、恩猫様としての公表は滞りなく終わり――


気づけば私は、国王陛下に抱えられたまま神殿へと連れて来られていた。


神殿には、先ほど謁見の間にいた神殿長の姿もある。


「これは国王陛下、そして恩猫様。ようこそお越しくださいました」


「先程ぶりだな、神殿長殿」


陛下が静かに応じる。


「力については先程も確認させていただきましたが……恩猫様のお力を、より詳細に調べさせて頂きたく」


そう言って、陛下は私をそっと床へ降ろした。


「準備は整っております。恩猫様、どうぞこちらへ」


神殿長に案内され、神殿の奥へ進んでいく。


そこには――巨大な女神像があった。


荘厳で、神々しく。


見る者を圧倒するほど美しい像。


長く波打つ髪を持つ女性の姿を模しており、静かに佇むその姿には、不思議と目を奪われた。


「……こちらが、ルミナリア神様の像でございます」


神殿長に促され、私は像の前へ立つ。


――この世界の神様。


私を、この世界へ招いた存在。


そう思うと、自然と胸がざわついた。


「それでは、始めさせていただきます」


神殿長の声と共に、周囲の神官たちが一斉に祈りを捧げ始める。


厳かな詠唱が神殿内へ響き渡った。


途端、再び胸の奥が不安でいっぱいになる。


……もし、何か問題があったら。


……もし、これでこの力が危険だと判断されたら。


そんな考えが頭をよぎる。


ぎゅっと目を閉じた――その時だった。


――ふふっ。


小さな笑い声が聞こえた気がした。


この場の誰のものでもない。


けれど、その声には聞き覚えがある。


……この声は。


思わず目を見開く。


次の瞬間。


ルミナリア神の像が、眩く光り始めた。


「神殿長! 測定ができません!」


「なっ……能力値が全て測定不能になっています!」


神官たちの動揺した声が響く。


「……このような現象、見たことがありませぬぞ……」


神殿長の震える声。


周囲は騒然としていた。


けれど、私は。


光り輝く像から、目を離すことができなかった。


やがて光はさらに強まり――


思わず目を閉じる。


そして。


しん、と世界が静まり返った。


「――いらっしゃい、志乃鈴」


優しく響く声。


その声に導かれるように、ゆっくりと目を開ける。


そこに立っていたのは。


先程まで像だったはずの、美しい女性。


虹色に揺らめく長い髪。


神々しい光を宿した瞳。


彼女は柔らかく微笑み――


「ようやく会えたわね、志乃鈴」


そう告げた。

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