49-託された力と進軍
【第1騎士団ローガン団長視点】
「問題はその強化個体ですか。このままでは、奥地に辿り着く前に消耗する可能性があります」
カイが懸念を口にする。
中堅の騎士や冒険者が十人がかりでも、無傷で勝つのは難しい相手。それが複数現れれば、戦力の消耗は避けられない。
私も判断を巡らせた、その時だった。
「……どうにかなるんじゃねぇか?」
ブラムがぽつりと呟く。
「どういう意味ですか」
「いやな。前までは魔力も少ねぇし、操作も下手で、一発撃って終わりみたいな戦い方しかできなかったんだが――」
「恩猫様が教えてくれたんだよ。俺みたいなのでも使える魔法のやり方をな」
ブラムは拳を握る。
「それがよ、思った以上に使えてな。前よりずっと楽に戦える気がすんだ」
「……ブラムさんだけではありません」
マティアスが続く。
「騎士団の者は皆、恩猫様の指導で魔法操作が格段に向上しています。戦い方そのものが変わったと言ってもいい」
後方の騎士達も静かに頷く。
それは私自身も実感していた。
「恩猫様の影響は、計り知れませんね……」
カイの呟きに、誰も否定しない。
「……ブラム達が言うのだ。問題なかろう」
レオンハルト様が静かに告げる。
「いざとなれば、切り札もある」
「切り札……ですか?」
思わず問い返す。
「恩猫様より頂いた魔法石だ。全属性付与、かつ莫大な魔力を内包している」
そう言って取り出されたのは――虹色に輝く球体。
「……これは……」
言葉を失う。
「ある程度の魔物であれば、一掃できるだろう」
「……本当に、とんでもないですね」
誰かが呟いたその言葉が、全てを物語っていた。
「懸念は残るが、打開策はある。このまま作戦通り進む」
レオンハルト様の言葉に、全員が頷く。
――そして。
私達は、中層へと足を踏み入れた。




