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盾にされた私、異世界ではただの猫です  作者: 蛇目菊 欲狐
第1章
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47-開戦の号令

夜が明けた。


出陣前の様子を、アンネリーゼとセラフィーネ様と共に見に来ていた。


防壁前には、騎士と冒険者たちが集まり、

それぞれに緊張の面持ちを浮かべている。


「皆、この魔物討伐への参加、感謝する」


壇上に立ったレオンハルト様が、静かに声を上げた。


その一言で、場が引き締まる。


「……此度の討伐は、ただの討伐ではない」


「あの禍々しく渦巻く雲――そこに、穢れが集まっている」


「何かが起こる前兆と見ている。

その量からして、発生してからでは取り返しのつかない事態になるだろう」


淡々とした語り口。

だが、その言葉の重さに、誰もが息を呑む。


「だからこそ――」


「事が起こる前に、雲の麓に集まる魔物を討伐し、

最悪の事態を未然に防ぐ」


静寂の中、言葉だけが響く。


「……今までにない、不測の事態だ」


「不安や恐怖を抱えている者も多いだろう」


一瞬、場に張り詰めた空気が広がる。


だが――


「だが、我々が止めねばならない」


「この領地は、この国の防波堤だ」


「ここが崩れれば、この領地だけではない。

王都すら脅かされることになる」


その言葉に、空気が変わる。


ただの“討伐”ではない。


守るための戦いだと、全員が理解する。


「……我々が止めねば、家族を失う」


レオンハルト様は、ゆっくりと周囲を見渡した。


「私もまた、この辺境伯領の領主であり――一人の父だ」


「ようやく病から回復した妻。

王都の学園で学ぶ息子」


「そして、魔法の才を持ち、この街に尽くそうとしてくれた娘」


「……誰一人、失うわけにはいかない」


その言葉は、誰に向けたものでもあり――

同時に、全員の胸に突き刺さった。


「皆にも、大切な者がいるはずだ」


「守りたいものがあるはずだ」


「――そのために、共に戦ってくれ!」


その瞬間。


空気が、変わった。


不安も、恐怖も――


すべてを押し流すように、声が上がる。


応えるように、騎士も冒険者も、声を張り上げた。


そこにあったのは、先程までの張り詰めた緊張ではない。


滾るような、熱意だった。


「さぁ――時間だ」


「皆、覚悟はいいな!」


レオンハルト様の声が響く。


それに応えるように、

空気が震えるほどの声が返された。


――防壁の扉が、開く。


その先に待つのは、戦場。


「――行くぞ!」


――大規模な魔物討伐作戦が、今、開始された。

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