45-灯すのは、ひとりの力じゃない
ドームの中心に辿り着くと、
私は石材と鉄くずを使い、簡易的な暖炉を作り上げた。
「暖炉……ですか?」
アンネリーゼが首を傾げる。
「ですが、それでは一部しか暖まりませんし……
薪もそれほど入らないのでは……」
その言葉に答えるように、
私は水晶のくず石を取り出した。
「……水晶? ですが、それでは……」
言い終わる前に、さらに水晶を取り出し、
土魔法で圧縮・精製していく。
不純物を削ぎ落とし、
ひとつの球体へとまとめ上げる。
「なっ……合成!?
それは熟練のドワーフにしか……!」
周囲がざわめく。
構わず、私は風魔法を水晶に込める。
ある程度で止め、アンネリーゼの前へと浮かせる。
「……私も、ですか?」
こくりと頷く。
恐る恐る触れた彼女の魔力が、
自然に水晶へと吸い込まれていく。
「……勝手に、調整されて……?」
戸惑う彼女の前で、
水晶は“風の魔法石”へと変化した。
「普通は……こんなに簡単ではありません……」
カトレアが呆然と呟く。
「魔力量の調整も、水晶への負荷も……必要なはずなのに……」
私は内心で首を傾げる。
――そんなに難しいことだったの?
だが考えている暇はない。
次に火の魔法石を作り始める。
すると――
「私もお手伝いします」
カトレアが前に出た。
「少しでも負担を減らさせてください」
「俺もやる!」
「私も!」
次々と声が上がる。
気づけば、人々が並び、
順番に魔力を水晶へと込めていく光景ができていた。
「……皆、大変だからこそ、協力するのです」
アンネリーゼが微笑む。
「恩猫様、あなた一人に無茶をさせたくなかった」
「だから……一緒にやらせてください」
胸が熱くなる。
言葉にならない何かが込み上げてきて、
私はただ、静かに頷いた。
――
やがて完成した魔法石を暖炉へと入れる。
起動。
ふわりと、暖かな風が広がった。
「……温風……?」
「ですが、外気で冷えるのでは……」
「いいえ」
カトレアが周囲を見渡す。
「ここには、外の風が入ってきていない」
そう。
このドームは、外気を遮断し、
内部の空気を循環させるよう作ってある。
暖かさは、逃げない。
「……また、とんでもないことをされますね」
アンネリーゼが苦笑する。
その頭を、そっと撫でる。
――違うよ。
一人じゃできなかった。
あなたがいたから、皆が動いた。
だから。
ありがとう。
言葉の代わりに、
私は優しく撫で続けた。




