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盾にされた私、異世界ではただの猫です  作者: 蛇目菊 欲狐
第1章
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43-まだできること

とりあえず――少しは力になれそうで、よかったな……。


翌日。街を歩きながら、ふっと息を吐く。

あの魔法石が、どこまで助けになるのかは分からない。


……それでも。


まだ、私にできることはないだろうか。



「おや、猫様じゃないかい!」


遠くから、串焼き屋の女性が声をかけてきた。


「隣は……アンネリーゼ様かい!随分大きくなったねぇ!」


今日はアンネリーゼとカトレアさんに付き添ってもらっている。


「時々、ブラムやテオドール様と一緒に来てくれてたよねぇ。懐かしいね。

今日はテオドール様はどうしたんだい?」


「テオ兄様は、お母様が回復されたので、学園へ復学なさいましたわ」


テオドールは、母の回復をきっかけに学園へ戻った。

元々優秀だったことに加え、課題も送られていたらしく、遅れはほとんどないらしい。


――よかった。


もう少し遅ければ、彼もこの街から出られなくなっていたかもしれない。


「そりゃあ良かった。安全な場所にいるなら安心だねぇ」


女性も同じことを思ったのか、柔らかく笑う。


「できればアンネリーゼ様にも避難してほしかったけどね……」


「……いえ、私は残ります」


アンネリーゼは、迷いなく言い切った。


「兄のように戦うことはできません。でも……街の支援くらいなら、未熟な私でも出来ることがあると思います」


アンネリーゼは魔術師を目指している。

夜な夜な勉強している姿を、私は知っている。


……こっそり窓から覗いていたら見つかって、一緒に勉強することになったのだけど。


そのおかげで、この世界の魔法の基礎も学べた。


彼女は攻撃魔法は得意ではない。

けれど、支援系の魔法には適性がある。


だからこそ――こうして、自分にできることを探しているのだろう。


……どこか、似ている。


けれど、決定的に違う。


彼女の瞳は、まっすぐ前を見ていた。


諦めてしまった私とは違う、光を宿して。


……眩しいな。


思わず、目を細めてしまう。


――でも。


私も、負けていられない。


この街に救われたのは、私だ。

だから今度は、私が。


そう思い直した、その時。


串焼き屋の女性が、ふと困ったように唸った。


「そうだねぇ……中心地や協会に集まるのはいいんだけど、設備を整えるのに時間がかかっててね」


「……申し訳ありません」


アンネリーゼが少し俯く。


「皆さんを守るため、光の魔法石で結界を張る必要があり……どうしても集まっていただく形になってしまって」


「分かってるよ。それで、女や子供、年寄りは協会へ。男たちは広場で待機、って話だろ?」


女性は肩をすくめる。


「でもねぇ……この時期は暖かいとはいえ、夜は冷えるんだよ。

テントや毛布はあっても、野営みたいなもんだからさ」


「ギルドの場所も借りてはいるけどね……もう少し何とかなると助かるんだけど」


「そうですね……」


アンネリーゼも悩ましげに頷く。


「無理をお願いしている以上、少しでも負担は減らしたいのですが……」


――でも。


私は、その話を聞きながら。


少しだけ、首を傾げていた。


……あれ?


それって――


魔法で、どうにかできるんじゃないかな……?


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