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すべての生きとし生けるモノ達へ  作者: みゃ~むら
オニカド編

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海上の初陣 sideアレン(part21)

急いで階段を駆け上がり、甲板へと辿り着いた先。


先ほどまでの暗がりとは打って変わり、陽は登っていた。空の半分以上が澄み渡るような青色に染め上げられ、白い雲が自由な形を描きながら風に身を任せて流れている。

潮風も先ほどの肌に刺さるような冷たさはすっかり消え、程よく肌に心地よい暖かさを孕んでいた。

羽織ったジャケットが嬉しそうに優しくたなびいている。

爽やかな朝方の海という、また違った美しい風景が見られるかと思っていたのだが――眼前に広がっていたのは、全く相容れない異様な光景だった。


「な、なんだ……こいつらは……!?」


そこには思わず目を疑うような光景が広がっていた。

金属の光沢が冷たく輝く甲板の上に、見たこともない「水の塊」のような魔獣がウヨウヨと土足で上がり込んでいたのだ。

床から楕円を描くようにして形成された、海水そのものをゼリーの様に凝固させた半透明なボディ。

その中央には二つの虚ろな眼光が浮かび、こちらをじっと見つめている。体高は俺たちの腰ほど。そこから伸びる二本の腕らしき触手が、ウネウネと不気味に揺れていた。

体内に骨のようなものは視認できず、形状を維持するのが困難なのか、移動するたびに身体を不快に左右に揺らしている。


しかも、異質なのはその見た目だけではない。異常なまでの「数」だ。

パッと見ただけで十体以上はいる。船底から手すりを這うようにしてウネウネと登ってくる個体が次々と姿を現していた。中には海面から驚異的な跳躍を見せ、「べちゃ!」という聞くのも不快な着地音と共に甲板へ降り立つモノまでいる。その風貌からは生命体でない事は確かだろう。

しかし海に住まう魔獣というのは、こういうものなのだろうか。

どうやら俺が一番乗りのようだが、悠長に観察している暇などない。こいつらにどう仕掛けたものか決めあぐねていたその時、背後の通路から激しい足音がこだましてきた。


「遅くなった……って、なにこいつら!? こわい!」

「数が多いな……!」


それぞれの武器を手にしたセシルとフェリクセン、そしてセツナさんが矢継ぎ早に到着する。セシルは不気味な水の魔獣を前に一瞬だけ顔をひきつらせ、フェリクセンは愛銃を握り直しながら素早く敵の数をカウントしていた。

「セツナさん、こいつらに見覚えは?」

「いえ、初対面です。……ですが、無礼な乗船者には下船いただく他ありませんね」

そう言い捨てると、セツナさんは腰に携えた鞘から『シュラッ』と澄んだ音を立てて刀を抜いた。その長い刀身をまるで身体の一部のように洗練された手つきで扱い、柄頭を右の側頭部へ寄せる高位の構えを取る。

その隙のない所作に合わせるように、俺たちも彼女を囲む陣形を取り、それぞれの武器を構えた。

『――四人とも聞こえるか? こちらエデンだ』

武器を鋭く構え、互いに間合いを測りながら睨み合っている緊緊迫した空気の中、エデンさんの船内放送らしき音声が船全体に駆け巡った。

『この船に追突したと思われる巨大な熱源体は、未だ姿を現してはいない。くれぐれも油断するな。この船もそこまでヤワではないが……セツナ殿の棍棒による打撃は、船体破壊に繋がりかねん。極力避けてもらえると助かる』

「承知いたしました。今回は刀のみで対応いたしましょう」

「なんかゼリーみたいだな」

フェリクセンが苦笑いを浮かべながら冗談混じりに呟く。やはりその感想に行き着くのは俺だけではない様だ。

「ちょっとやめて! ゼリー食べられなくなるでしょ!?」

激昂する様に、フェリクセンの言葉を否定する。

「こいつら、剣とか銃の攻撃が通ればいいんだけど……」

見た目は完全に海水そのものを半固形に固めたような奴らなのだ。果たしてこの常識離れした相手に俺たちの物理的な攻撃が通用するのだろうか。

「物は試しですね」

短く、そして今まで聞いたことがないほど冷ややかに響くセツナさんの声。

横目でちらりと見るとその瞳は静かに据わっており、味方であるはずの俺までが一瞬で背筋を凍らせるほどの恐ろしい気迫が漂っていた。


――次の瞬間、セツナさんの姿が視界から消えた。

打ち寄せる波の音を置き去りにし、彼女は一番近くでこちらを伺っていた二体目掛け、白銀の閃光のごとき太刀筋を横一文字に振るっていた。

まさに一刀両断。

美しい弧を描いて二つに分かたれた水魔人どもは、「グォォオ……」と低く濁った断末魔をあげ、一気に形を崩していく。液体だった身体は甲板を濡らすことなく、次第に黒い魔素へと昇華し、海風の中に消えていった。

だが、俺が驚いたのはそっちではない。セツナさんの方だ。


今の速さをまともに視認すらできなかった。気づけば俺たちの元から離れ、あっという間に3体を切り伏せていたのだ。

これが戦場での鬼の――いや、セツナさんの本気の速度か。やはり今日までの訓練の時は、手を抜いてくれていたらしい。

「やはり魔素を纏った攻撃は通るみたいですね。動きもそう早くはない様です……」

セツナさんがそう言って横目に次の集団へ飛びかかろうとした、その時だった。

「セツナさん! 後ろです!」

「アレン、こっちも来るよ!」

セツナさんの後方にいた魔物たちのボディが蠢き、無数の鋭い水弾があらゆる方向へ向かって射出された。彼女目掛け弾雨のごとく飛び交う。

別の集団もそれに合わせ、俺たちへ向けて礫のような水弾を無数に飛ばしてきた。

四人がそれぞれ瞬時に回避行動をとる。俺は襲い来る水弾を身を翻して躱すと同時に、地面を蹴って奴らへ向けて一気に急接近した。飛ばされてくる水弾の速度は決して遅くはない。


だが――。

(訓練の時の、エデンさんやセツナさんの方が圧倒的に早かった……!)

あの二人の壮絶な特訓のおかげで、体は自然と反応し、目もしっかりと追いついている。間違いなく自分の中に成果が結実しているのを全身で実感した。

甲板を疾駆し、魔獣の集団の懐へ潜り込む。近づいてしまえば、もはやこちらのものだ。

俊敏さに欠ける奴らは、ただのトロい木偶の坊に過ぎない。

俺は機械剣を閃かせ、手当たり次第にすれ違いざま撫で斬りにしていく。俺の突進に追従するように、セシルも長槍を払ってダイナミックに敵の群れを薙ぎ倒していく。後方ではフェリクセンが精密な射撃で敵の牽制を行い、セツナさんの隙を完璧にカバーしていた。

時折飛んでくる水弾を剣の腹でいなしながら、近い奴らから確実に切り伏せていく。これなら用意された新兵器をわざわざ使うまでもなさそうだ。


しかし、一向に数が減らない。海面から這い出てくるように、不気味な水の塊がどんどんと押し寄せてくる。

「まだまだやる気ですね……!」

「数が多すぎてキリがないな!」

「う〜ん、どうしたら……うわっ!?」

その時、先ほど船底を打ったものと同じ激しい衝撃と揺れが、再び巨大な船体を襲った。

「くっ……!」

俺たちは甲板から投げ出されないよう、姿勢を極限まで低くして無我夢中で床の金属フレームにしがみついた。甲板が不気味に軋み、船体が大きく傾く。

「おいおい……なんだよ、あれ……」

フェリクセンの引きつった声につられ、しがみついた姿勢のまま視界の端を仰ぎ見た。

そこにいたのは、海から這い出してきた「モノ」。

今までの雑魚とは比べものにならない膨大な質量の海水で形成された、まさにこいつらの親玉らしき巨大な海の化け物が、二つのギラついた不気味な眼光でこちらを見下ろしていた。

どうも&初めまして。

みゃ~むら、です!

お読みいただき、誠にありがとうございました。


今日も暑いですね。

アイス片手に小説を書いていたら、思いっきりテーブルにこぼしました。

シミにならないといいなぁ…。

皆さま、アイスクリームは何がお好き?

私は王道のソフトクリーム(バニラorミルク)なんですよねぇ。

色々な味を今迄食べてきましたが、やっぱり王道なんです。

チョコにフルーツ系、ミントなど味が楽しめるアイスクリームの魅力ですよね。

だがしかし、王道には抗えない…っ!


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