新たな剣 sideアレン(part13)
避けるなと言われても、この至近距離で撃たれた弾幕を、寝起きで身体の重い俺が躱しきれるわけがない。俺は半ば条件反射で、左腕の機構を盾にするようにして、前方へと突き出した。
その瞬間――ガキィィン! と激しい機械音が響き、デバイスから半透明な魔素シールドが一瞬で展開された。
直後、撃ち込まれた光弾がシールドに接触し、激しい爆発光を炸裂させる。
「うっ……!」
着弾時の直接的な衝撃はシールドによってほぼ完璧に無効化されていたが、巻き起こった爆風の勢いは凄まじかった。何より、展開されたシールドの有効面積が想像以上に大きかったため、風圧をまともに受けて後ろへ押し倒されそうになる。俺はグッと足元を踏みしめ、前のめりになってその風圧に耐えた。
ようやく爆風が収まり、周囲を満たしていた硝煙が薄れていく。俺がホッと息を吐き、シールドの展開を収めた、まさにその刹那。
「ぼさっとしちゃダメだよ!」
「えっ!?」
煙の向こうから、デンドロビウムさんが驚異的な踏み込みで猪突猛進してきた。彼女の両袖からは、鋭利な実体ブレードがシャキインと飛び出しており、容赦なく俺の首元を狙って切り掛かってくる。
「マ、ジか……っ!?」
その超スピードに、俺は思考よりも先に身体を反応させ、再び左腕の機構を敵の刃に向けて押し出した。
ガチャリ、と小気味いい金属音が鳴る。
すると今度は、濃紺の筐体から眩い魔素のエネルギーサーベルが勢いよく伸長した。彼女の携える実体ブレードよりも一回り大きく、直視できないほどの輝きを放つその刃からは、空間を歪ませるほどの凄まじい熱量と火力が感じられた。
ギギギギ、と互いのエネルギーと金属が激しくぶつかり合い、火花を散らす。
「おぉ〜、素晴らしい! 変形テストも大成功だね」
「……へ?」
デンドロビウムさんが満足そうに声をあげると同時に、俺の刃を押し付けていた力がふっと抜けた。
互いの武器が離れると、彼女のブレードは吸い込まれるように袖口の中へと消えていく。それに呼応するように、俺の左腕の機構もまた、ガチャガチャと元のシンプルな長方形へと戻っていった。
咄嗟のことだったが、今のシールドとブレードの切り替えは、本当に俺が自分の意志で起動させたのだろうか。じっと見つめる視線の先で、濃紺のデバイスは何も語らない。ただ、先ほどと変わらない静かで安定した稼働音を、頼もしく響かせているだけだった。
「うんうん、いい感じ! やっぱり自分のイメージ通りに、それ以上の速度でシステムが動いてくれると気持ちがいいね!」
「……俺、切り替えの操作とか何もしてないのに、まるで頭で考えた通りに自動で動いたような……」
「ふっふ〜、すごいでしょ! どうよどうよ、最新鋭の使い心地は?」
ニヤニヤと口角を上げながら、彼女は口元を大きな袖で隠して自慢げに胸を張る。本人は至極満足そうな様子だ。
だが実際、彼女がやってのけたことは常軌を逸している。昨日のお昼頃の段階では、ただのホログラムの設計図でしかなかったはずの概念を、たったの一晩で、実戦に耐えうるここまでの形に落とし込んでしまうなんて。改めて、機械国の技術力、そしてデンドロビウムという技術者の恐ろしさを思い知らされた。
「シールドとブレードの展開は……俺の脳波か、あるいは筋肉の動きを自動で感知して切り替えている、ということですか?」
「大正解! あとは君の視線と、外部の脅威の接近速度に合わせて、一番最適な形態がコンマ数秒でオート展開されるように調整してあるよ」
「すごいですね……本当に」
俺はもう一度、左腕の武器をまじまじと見つめた。
作ってもらったばかりの、まだ名もなき試作兵装。けれど、俺の胸には、先ほどよりもさらに確かな、熱い高揚感が満ち満ちていた。
これがあれば、もっと強く戦える。ただ守られるだけの存在じゃなくなる。
明日の鬼島への出撃、そして強大な敵であるユーグとの接触を前に、これほど心強い相棒はいない。
セシルたちを、みんなの背中を、より確実に守れるようになる。その確信が、俺の掌にじわりとした熱い実感となって伝わってきた。
「どうする? 今日はあんまり身体を動かすなって上から言われてるみたいだけど……もうちょっとだけ、この子を馴染ませるための模擬戦、やってく? もちろん、出力は落とすけどさ」
デンドロビウムさんが楽しそうにブラスターのモードを切り替えながら、悪戯っぽく微笑む。
「いいんですか? 今日の分の調整とか、他の機神の方々の手伝いとか……」
「大まかなシステム出力のチェックは今ので終わったから大丈夫! あとは君の戦闘データを取りたいし、何より君自身がこの感覚を身体に染み込ませておいた方がいいでしょ?」
彼女の言う通りだ。この驚異的なレスポンスに身体を慣らしておかなければ、いざという時に振り回されてしまう。
それに、この湧き上がる高揚感をそのままに、もっとこの武器を動かしてみたかった。
「……じゃあ、お言葉に甘えて。もう一回、お願いします!」
俺は新しい相棒を構え、まだ少し痛む身体のことも忘れて、満面の笑みでデンドロビウムさんに向き直った。訓練室の照明が激しく明滅し、次なるホログラムの標的が展開される中、俺たちの早朝の秘密特訓はさらに熱を帯びていくのだった。
どうも&初めまして。
みゃ~むら、です!
本日も誠にありがとうございました。
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う~ん、今日は暑いからあなたがごはん!(意味不明)




