表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雉白書屋短編集  作者: 雉白書屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
19/709

閃きはある日突然に     :約1000文字

 とあるアパートの一室で、一人の男が原稿用紙を睨んでいた。

 男は作家で、現在執筆中。……と言いたいところだが、スランプに陥っており、アイデアがまったく浮かばない。締め切りは迫っているが、ペンは一向に進まない。今夜も徹夜で考えるつもりなのに、何一つ閃かないのだ。

 男は深いため息をついて立ち上がると、窓を開け、空を見上げた。

 夜空には星々が煌めいている。この広大な空に比べて、俺の頭はなんて狭いんだ……。

 そんな自虐的な思いに囚われていると、その視界に流れ星が飛び込んできた。


「アイデア……ああ、どうか俺にアイデアを……。頭からあふれんばかりのアイデアをくれ!」


 男は流れ星に向かって願いをかけた。もちろん、ただの現実逃避に過ぎない。

 だが、次の瞬間、どうしたことだろう。頭が冴え渡り、次々に面白いアイデアが湧き上がってくるではないか。

 男は興奮で鼻息を荒くしながら再びペンを手に取り、原稿用紙に向かって走らせた。

 一枚、また一枚……。勢いの乗る筆先。想像の源泉が尽きる気配はない。


「はははははは!」


 男は高らかに笑い声を上げた。傍から見れば気が触れたように見えただろうが、男は神が舞い降りたと確信していた。

 その間も、頭の中では物語が怒涛のように展開していく。それも一つだけではない。二つ、三つ、四つと、同時に新しい物語が生まれ続けるのだ。急いでペンを走らせるが、到底追いつけない速度だ。

 次第に男の顔は真っ赤に染まっていき、頭は風船のように膨らんでいった。

 膨張は限界を迎え、そして――


 轟音とともに男の頭が爆発した。

 揺れるアパート、割れる窓ガラス。原稿用紙が羽を生やしたように部屋中を舞った。

 そして、男の頭からあふれ出た無数のアイデアたちは、割れた窓から夜風に乗り、発明家や音楽家、芸術家といった、あらゆる悩める人々の家へするりと入り込み、彼らの耳から頭の中へと溶け込んでいった。


 すると、彼らの顔に歓喜の表情が浮かんだ。頭は冴え渡り、興奮で震え口々にこう叫んだ。


「やった! 天からアイデアが降りてきた!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ