再開!感動と衝撃
2話目です。
拙い文ですが地道に頑張ろう。
ザザ・・・ザザァ・・・
心地よい日差しと、草木を揺らす穏やかな風のもとで目を覚ました。
知らない場所での目覚めというのは若干の不安を伴うものである。寝ぼけた頭でも徐々に自分の置かれた状態を理解し始める。
異世界転移したんでござった・・・。
ぼんやりとそれまでの経緯を思い出し辺りを見渡してみる。前方にはどこまでも続くような草原。切り立った山脈。そして後方には深々とした森林が広がる。草の背が若干高く、半蔵はその中に埋まるようにして寝ていた。
来ちゃったでござるなぁ。異世界。
妙に感慨深い気持ちになり、思わず心中で呟く。それと同時にあることを思い出した。
膝に抱えていたはずのミィがいない。
「ミィー?いないでござるかぁー?」
少し焦った様子で辺りに呼び掛けてみるが返事(鳴き声)はない。
「ミィ・・・?」
半蔵の顔がサーッと青ざめる。
(まさか拙者だけ成功してミィはただただ殺してきてしまったんでござろうか。・・・なんてことでござろう。ミィは拙者の話を信じてついて来ようとしてくれただけなのに・・・。)
ある程度の覚悟とともに臨んだはずではあった。しかしいざ現実的な失敗の可能性が出てくると、とてつもない焦りが押し寄せてくる。自分が失敗するならまだよかった。だがあろうことか自分のことを信じてついてきてくれたパートナーを殺してしまったかもしれないのだ。
これまでどんなに困難な任務の最中にも感じたことの無い、えもいわれぬ感情が半蔵を襲う。
同時に自分の行動を激しく悔いた。忍者の自分ならまだしも、ミィならただのネコとして向こうの世界で幸せに暮らすという選択があったんじゃなかろうか。たしかに強制はしなかった。だが長年一緒に苦楽を共にした自分にはついてきてくれるだろうという確信めいたものが心のどこかにはあった。
はたしてこれは本当にミィの意思だったんだろうか。じぶんのわがままに半ば無理やり付き合わせ、ミィを死なせてしまったかもしれないと思うと悔やんでも悔やみきれない。
その時、
ものすごくネガティブになった心中に
「んがっ」
っという異音が割り込んだ。
・・・近くに何かがいる。
普段は慎重に行動する半蔵であったが、このただならぬ精神状態の中ではその限りではなかった。周りの草を一心不乱にかき分けながらもう一度あたりを見渡す。
そしてよく見ると前方の草むらに不自然なくぼみを発見した。
自らの鼓動が早まるのが分かる。
手に汗を握りながら前進し、とうとうそのくぼみの地点まで到達した。
彼が最後の障壁である草を取り除いて目にした光景は、半蔵の思い描くものとは全く違うものだった。
そこでは全裸の少女がそれはそれは気持ちよさそうに寝息を立てていた。
「・・・。」
半蔵は言葉を失う。
仰向けに横たわる少女は14~15歳くらいであろうか。整った顔立ちで茶色がかった髪は風に吹かれてふわふわと揺れる。
少し鍛えているようで、細めの体には要所要所に必要な筋肉がついている。胸の主張もささやかであり、とても身軽な印象を受けた。
そしてこの少女、頭の上に獣の耳と、腰の部分を見ると尻尾が生えている。
突然のことに驚愕しつつも今は少女のことを観察している場合じゃない。気持ちよさそうに寝ているところを申し訳ないが今はミィを探す手がかりが欲しい。
「すまぬ・・・すまぬが起きてくれまいか。」
半蔵は少女の体をゆする。・・・まあ相手が全裸なので触れる面積は最小限にとどめてはいるが。
「・・・んぅ。」
目の前のケモミミ娘は小さく呻き声をあげるとゆっくりまぶたを上げる。
「んにゃ・・・。半蔵、おはよにゃ・・。」
むくりと起き上がって朝のあいさつ。
いい子でござる・・・。
それより、今ちょっと重大な何かを聞いた気がした。
「お主・・・今拙者の名前を・・・。」
「にゃう・・・ここは・・・おうちじゃないニャ・・・ッ!!」
そこまで言うと突然少女の目の色が変わり興奮気味に身を乗り出してくる。
「ニャァァ!これッ成功してるニャアアア!」
少女の突然の大声に近くの小鳥が飛び立つ。
ガバァッ
目の前の少女が唐突に抱きついてきた。
「やったニャ半蔵!!異世界ニャアアアアアア!」
「・・・」
半蔵も徐々に理解し始めた。この少女の正体を。
力いっぱいに少女の細い身体を抱きしめる。
「ゥエグッ・・・ウウッ・・・ミィッ!もう会えないかと思ったでござるぅぅぅ・・!!」
「ニャ?・・・ニャウ~♪今日の半蔵は甘えん坊なのニャ~♪」
一瞬よくわからないような顔をしたが、少女は納得したような顔で半蔵をなではじめる。
やっぱりよくわかってない。
異世界転移したミィはなんと人間の姿になっていた。とはいっても頭の上の耳や尻尾など普通の人間と違うところはあるが。
だがそんなトンデモ現象が気にならないくらいの安堵と喜びを半蔵とミィは噛みしめた。
ひとしきり再開と術の成功を喜び合った後、自分たちの置かれた状況を確認する。この世界に来る前から一応おおまかな計画はしていたのだが、ここに来て大きなイレギュラーがあったので再度確認する。
「拙者のリュックに着替えが入ってるでござる。とりあえずはそれを着るでござるよ。温暖な気候ではあるけどその恰好じゃ風邪ひくでござる。」
冷静になってちょっと目をそらしつつ、リュックのなかを漁り始める。
「ニャッ!?体がいつもと違くなってるニャ!!どうりで半蔵がいつもより小さいニャ。」
今気づいたでござるか・・・。
自分の普段着ている忍者装束を手渡す。さすがに女物の下着は持ってなかったので下着は着けないまま忍者装束を着用させる。
服なんて着たこともないミィの着替えに四苦八苦したが、ようやく標準の忍者装備になった。
次は物資の確認。
リュックには2日分はある水と、カンパンや兵糧丸をはじめとする小型の保存食が1週間分ほど入っている。
さらには手裏剣、撒きびし、クナイなどの武器がいくつか。服にも仕込んであるのだが手裏剣や撒きびしなんかは消耗品なので、リュックに替えを持ってきている。
撒きびしに関しては、天然のヒシの実を乾燥させるという方法で調達できるのだが、この世界にヒシの実があるのか分からない。
次に住居。
これに関しては寝袋が1つリュックに入っているだけである。まさかミィが人になるなんて思ってもみなかったので1つしか用意できなかった。
最期に衣服。
ミィに1着貸したこともあり、あと1着のみになってしまった。片方ずつ洗濯しながら回して着るしかない。
今の状態をざっくり整理するとこんな感じである。
「まずはこの世界の文明に接触するのがよさそうでござるな。今持っている物資はそれまでの繋ぎと考えるでござる。」
そう考えると今の自分たちにはあまり時間がない。
「じゃあとりあえず歩くニャ。」
「そうでござるな。」
目が覚めた時に後方に位置していた森の更に向こう。その方角からうっすら人の気配を感じる。ミィもそれは感じ取っていたようでお互い何も示し合わさずに同じ方向に向かって歩き始めた。
元居た日本においては人がここまでいない地域は珍しかった。しかも上からの指令が下される場所はだいたい割と都会の方だったので、この人口密度の低さは初めての経験である。
周りがここまで静かなのと、忍者としてのズバ抜けた五感により、数キロ離れた人々の気配も察知することができた。ただ、方角はわかっても距離がいまいち掴めないので、少しばかり不安な旅になりそうである。
そんなことを思いながら歩いていると、
「キャアアアアアアアアアアアアア!!!」
森の中から女性の悲鳴が聞こえてきた。
見てくださった皆様本当にありがとう。
感想やご指摘、アドバイス等くださいますととても助かります。




