食後はゆっくりしよーねっ♪
姉さんとサイテンには謝ってもらいました。以上、終わりっ!
せっかくの豪勢なお食事だからね。楽しくしないとねっ。
というわけで、笑顔で夕飯を食べたよ。ふっふっふっふっふ。今日は憧れのキッシュでしたのよ、奥さん。それもほうれん草とベーコンのキッシュでございますわ。すごいでしょー。……なんてね。あ、キッシュってのは、言ってみればパイなんだけど、んー、まぁ、なんていうか、残念なことにサイテンはキッシュって料理すら知らなかったよ。でも、すっごい喜んでくれたんだ。嬉しいね。姉さんもお酒が進んだみたいだし、ボクも食べたかったし、最高だねっ。
それに、カルパッチョとかも好評だったよ。いいね、いいね。みんなニコニコで。ちょっとしたパーティは成功したってことだね。もりもりとよく食べてくれるから、作りがいがありますなー。でも、コンビニのおつまみは少し傷ついたなぁ。まるで、そっちの方がいいって言われてるみたいで。食べれないように一品増やすか……? お酒の進みそうな肉料理? いやいや、ここはチーズ系統で攻めるべきか。それとも煮物か。なんにせよ、おつまみ、高いからねぇ。姉さん、コンビニで買って帰るし。……おっと。ダメだ、ダメだ。邪な気持ちでお料理したらおいしくなくなるんだよねぇ。ここは、もっとおいしいものを食べてもらおう、という気持ちに切り替えなければ。
さて。そんなこんなで。今、リビングにサイテンと一緒にいるよ。姉さんはお風呂。アレだけ飲んでお風呂とか、ちょっと怖いよね。酔いが回っちゃうよ? もう少し、お腹を落ち着かせてからでもいいと思うんだけど、まぁ、それも含めて楽しんでるみたいだし。「酔ってない? 大丈夫?」って声かけしたら、しっかりとした返事もきたし。いざとなったら、サイテンもいるしね。助かるなぁ。
ボクはリビングのテーブルで、オレンジページって雑誌を読んでる。洗い物も終わったしね。ひと段落ついたって形だ。んで、今のページはオレンジポストのコーナーだよ。投稿者さんは主婦さんたちなんだけどさ、これがまたいろんな人がいるんだねぇ。家族に関するお話が多くてさ、お子さんのお話とか、可愛らしくて思わず笑っちゃうよ。
サイテンはコッチをみて微笑んでる。帰ってくるなり、ずっとこの調子だ。
「んー? なんかあったー?」
ボクは顔を上げた。
やっぱり笑ってる。
「そうですね。目の前にカオルさんがいます」
「ふふっ。それがどうしたのさー?」
「嬉しいなあ、と」
「ふーん。楽しそうだねー」
「ええ。楽しいですよ。キッシュって料理も初めて知りましたし」
「へぇ。意外と知らないもんなんだねぇ」
「私などからしたら、なんで知ってるんだろう、と思うんですよ。勉強家ですねぇ。それに、見た目もそうですけど、何よりおいしいですから」
ふっふっふ。
すごいでしょう。お弁当のときも星型チーズに感激してたし、今度、型抜きでくりぬいた焼きパンをコーンスープにひたして、驚かしてやろうっと。どんな顔するかなー。楽しみだ。でもそれだけじゃなくて、やっぱり、お料理って、見た目もお料理のうちに入るからね。見て楽しんで、食べて楽しまないと。おいしい食事は生活の活力です。
「そんなことないよー。食べたいから、作ってるだけだしねー」
ホント、これ。
おいしいもの、食べたいよね。
「いいえ。素晴らしいですよ。お皿にもこだわっているみたいですし」
「おっ。そこに気が付いた? おおー。すごい、すごい。そうやって、いろんなことにコメントくれるのって、嬉しいねー」
「カオルさん、限定ですけどね」
「はいはい」
何言ってるんだか。
「でもさ、すごいね。サイテンは」
「何かありましたっけ?」
「んー? お話してて楽しいよ」
「カオルさん……」
「はいはい。でも、お仕事で疲れてるでしょ? ゆっくりしてていいんだよ?」
営業だしね。
精神的に参るって聞いたし、そんなに気を使わなくても。
「サイテンのことが心配だからさ」
「そんな」
「サイテンの好きにしていいんだよ……?」
……うん?
サイテンがフリーズした。
ゴクリって、喉を鳴らしたよね、今。
あれ? サイテン、目が血走ってない?
なんか、頑張って何かを必死に堪えているような顔してるけど……。
ボクは、トテトテと隣のイスに移動した。じーっと見つめる。
「どうしたの? 大丈夫? お腹痛いの?」
下腹部を押さえてるし。
「い、いえ……。そんなことは。少し酔ってしまったみたいです」
「ボクにできることがあったら、なんでもするから、ね」
……ありゃ?
顔が赤いよ?
酔ってるってのは本当みたいだね。
「で、では。マッサージをお願いできますか?」
「いいよー。それぐらいなら。肩でも凝ってるの?」
「あ、いや、その。硬くなってる場所はあるのですが、肩ではありませんよ」
「そうなの? どこどこ? 揉んであげるよ?」
「え、本当にいいんですか?」
「いいよー。実はボク、得意なんだー」
「得意、なんです、か……?」
「すぐに気持ちよくしてあげるからねー」
「キモチよく……ッ」
「うんうん」
「で、では。ここを揉んで下さい」
サイテンは指をさした。
雄雄しく反り立つ、テントに向かって。
「……はぁ?」
「口でしてくださると、もっと嬉しいです」
「なぁッ!?」
こ、こら!
ボクの反応で大きくするなっ!
「なんでもしてくれるって」
「ばっかじゃないっ!」
人が、心配してんのにさっ!




