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7億円で、潰れかけのクラブを買いました ~数字しか見えない俺は、誰も数えない選手を集める~  作者: 猫の飼い主
第五章 招待 ―― 客が、帰らない

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第61話 【朗報】うちの公式、なんか良くなってきた【広報】

【B.ONE】潮見ブルーホエールズ 応援スレ Part71


701 名無しの潮見サポ

最近、うちの公式、変わったよな


702 名無しの潮見サポ

>>701 変わった

前は、試合の告知しかしてなかった

今、町の話ばっかりしてる


703 名無しの潮見サポ

焼き鳥屋の記事、読んだやついる?


704 名無しの潮見サポ

>>703 読んだ

最初、「なんで焼き鳥屋?」って思ったけど

最後まで読んだら、なんか、うるっときた


705 名無しの他クラブサポ

おじゃま

あの記事、うちのサポの間でも、ちょっと話題になってたぞ

「潮見の公式、なんか文章うまい」って

バズってはないけど、刺さってる感じ


706 名無しの潮見サポ

手ぬぐい、買ったわ

鍬形さんの暖簾のやつ

屋台で焼き鳥買うとき、つい


707 名無しの潮見サポ

>>706 それな

Tシャツは、正直、いらんかったけど

手ぬぐいは、なんか、欲しくなった

うまく言えんけど


708 名無しの解説役

横から

これ、うまいんだよな

"クラブのロゴ"じゃなくて"町の物語"を売ってる

負けてるクラブのロゴって、正直、着たくないだろ

でも、町の話なら、金出せる


709 名無しの潮見サポ

>>708 言われてみれば

痩せた鯨のTシャツ、あれ、売れてなかったよな


710 名無しの潮見サポ

木札に、うちの子の名前入れて、壁に掛けてきた

去年の、商店街の札と、並べて

なんか、俺らも、クラブの一部になった気がする


711 名無しの古参

Part1から見てる古参だけどな

去年から、ずっと思ってたこと、ある

このクラブ、金の無いとこは、金で殴らない

屋台。東。トレーナー。今度は、物語だ

"持ってるのに、誰も値付けしてなかったもの"を、拾ってくる


712 名無しの潮見サポ

>>711 それ、去年の東のときも言ってたな


713 名無しの古参

言ってた

そして、たいてい、当たる


714 名無しの潮見サポ

つーか、観客、また増えてない?

この前、二千五百、入ってたぞ


715 名無しの潮見サポ

>>714 増えてる

守り勝ちも続いてるし

飯うまいし、記事は刺さるし、手ぬぐいは欲しいし

そりゃ、来るわ


716 名無しの潮見サポ

去年の今頃、俺ら、何の話してたっけ


717 名無しの潮見サポ

>>716 「畳むだろ」って話してた


718 名無しの潮見サポ

>>717 www

一年で、変わりすぎだろ


━━━━━━━━━━━━



「観客、二千五百を、超える日が出てきました」


浜口が事務室で言った。


「佐伯さんの記事と、手ぬぐいと、守り勝ち。……この三つで、また、増えてます」


要はその数字を見た。


二千百が二千五百になっていた。


悪くない。だが四千にはまだ千五百足りない。



「浜口さん」


「はい」


「今、来てるのは、どういう人ですか」


浜口は少し考えた。


「……もともと、バスケが好きだった人。商店街の人。あとは、記事を読んで、来てくれた人ですかね」


「元から、うちに、興味があった人たちです」


要は言った。


浜口が顔を上げた。


「増やせるだけ、増やしました。……でも、この人たちだけじゃ、四千には、届かない」


要は窓の外を見た。


四千人。


そのためには、一度も来たことのない人間を、連れてこなければならない。バスケに興味の無い人間を。



要の目が止まった。


体育館の外で、子どもが数人、ボールをついていた。リングの無い、ひび割れた駐車場で。


去年も、同じ景色を見た。


あのとき、要にはまだ絵が無かった。


今は、少しだけ見え始めていた。

――最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

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