薪炭供与令の厳格化
史実ではこの時期の幕府の方針は、薪炭と食料はやるからさっさと出ていけ、ということでした
これを薪炭供与令と言います
幕末になって、異国船打払令を出しますが、実際にはこの頃から鎖国政策の限界が現れています
島本屋和右衛門、長崎から帰って思案中
「表門を広げると言う考え方は、間違っちゃいない。」
「問題は、それをどう認めさせるかだ。」
「それにほっとくと、裏門が勝手に大きくなる。」
思案が付いたか、和右衛門一通の書状を認めた
高田屋嘉兵衛の屋敷の応接間
和右衛門が切り出す
「定期船の荷動きも活発になった。」
「それは良いのだが、怪しい荷も増えた。」
「特に国後や、道東から流れてくる荷は注意が必要だ。」
「そこでこんな事を考えた。」
高田屋に書状を差し出す
読み終えた高田屋嘉兵衛、ニヤリと笑って
「流石、島本屋さんだ。」
「二重、三重に手を打ってある。」
後日、箱館と周辺の廻船問屋が集められた
仕切っているのは、高田屋嘉兵衛だ
「皆の衆、大きな声では言えないが国後あたりで抜け荷が増えているのは承知かい?」
問屋衆
黙ってうなづく
嘉兵衛
「このまま黙っていて、こちらに嫌疑がかかっても困る。」
「連名で取り締まりの強化を、お願いしたいと思っている。」
問屋衆
黙ってうなづく
嘉兵衛
「ついてはこんな文章でどうだろう。」
一つ 抜け荷が国後方面で行われているように見える
二つ この連名に署名している問屋には、そんな無法者はいない
三つ ついてはお上のご威光を持って、抜け荷の取り締まり強化をお願いしたい
四つ 抜け荷の言い訳に、お上の方針に沿って薪炭と食料を渡しただけと言い訳する
ついては、薪炭と食料を異国船に渡す港を限定して欲しい
五つ 渡した薪炭と食料については、市中相場での代金受け取りを許可願いたい
当然その金額は、運上費の計算に入れていただいて構わない
嘉兵衛
「これで問題ないと思うなら、署名しちゃもらえないかい。」
「署名が集まったら、小樽代官所の酒井一之進様を通して、蝦夷地奉行所に提出する」
その書状には、すでに高田屋と島本屋の署名があった
集まった問屋衆のほとんどが、署名をして帰っていった
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