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定期航路の拡大

定期航路が、東回り廻船との中継地野辺地まで伸びました

この影響は徐々に広がっていきます

野辺地の廻船問屋、伊勢屋の主人

「先代までは、手堅い商売ばかりしてた、島本屋が、箱館に本店を移してから、羽ぶりが良いらしい。」


「箱館自体、景気が良いからかもな。」


「久しぶりに、箱館に行ってみるかな。」


箱館の港に降りた伊勢屋は、戸惑った

まるで様子が違うからだ

船の上から見た風景が、そもそも違っていた

明らかに倉庫の数が増えている

しかも、野辺地ではまず見かけない煉瓦造りの倉庫まで立ち並んでいる


道幅も広く整えられている

荷車のすれ違いも、楽々だ

舟と倉庫の行き交いも、滑らかになるよう工夫されている


島本屋の間口は変わってないが、奥行きはだいぶ広くなっている

それにもまして驚きは、多くの手代が帳面付けをしている

番頭衆が確認したものを、大番頭と六右衛門が裁量している


六右衛門に案内され、奥座敷に通された

思わず言葉が漏れた


「野辺地の頃の倍じゃすまないぞ。」


当主の和右衛門が入ってきた

「伊勢屋さん、お久しぶりです。」


時候の挨拶などを交わし、本題に入った


伊勢屋

「セーターというのが野辺地でも評判でね。」

「島本屋さんの扱いだからと聞いたので、やって来た。」


和右衛門、見本を持って来させる

色違いの大小と、子供用がある


伊勢屋

「子供用もあるのかい!」


和右衛門

「今年からの売れ筋です。」

「可愛い子供に、寒い思いはさせたく無い親が多いですからね。」


種類と数量の話がついた


伊勢屋

「じゃあ、いつ頃送ってもらえるかな?」

「今の時期だと、昆布が送られてくる頃かい?」


和右衛門、ちょっと考えてから

「野辺地と箱館の間も、動いてる荷は多いですね。」

「明日、高田屋嘉兵衛さんに会ってみてもらえませんか?」


伊勢屋

「同じ廻船問屋に、商談でも無いのに?」


和右衛門

「嘉兵衛さんは、問屋をもうやめてます。」

「今は、定期船航路に力を入れてます。」


伊勢屋

「定期航路?」


和右衛門

「荷の多少に関わらず、決まった日時に船を出します。」


翌日、嘉兵衛のもとを訪ね、定期船の仕組みと、新工夫された船を見た


本当にここが昔来た箱館と、同じ場所かと思う伊勢屋だった


野辺地との提起航路が開設されたのは、翌年の事だった


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