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りんの日常

時代の激変にも関わらず、りんの日常は平和でした

でも、運命はもう動き始めていました

文化四年、突然ロシア艦隊は引き上げた

皇帝が、自分の裁可なしに動いた事を咎めたためだった

無論、幕閣はそんな事は知らない

対外政策は、強硬論に振れていった


もしこの時、幕閣がレザノフへの対応をうまくこなしていれば、徳川幕府は後百年続いていたかもしれない


りんは、今充実した生活を送っている

ゆいとの朝の薙刀稽古は、もうすぐ一人になってしまうが続けるつもりだ。

やめると、ゆいとの繋がりが切れてしまう様に思えるからだ。


親の仕事を手伝ってから、子供達がやってくる。

近くのコタンからくる子も増えた。

アイヌが文字を持たない事を良いことに、悪どい商売をする商人が、トォレとスズが文字と算術ができると知ると寄り付かない様になった。

結果、駆け引きはしても嘘をつかない商人だけが、コタンを訪れる様になった。

それを見て、和人の教えを受ける事への反発が少なくなって来た。


ゆいは今風に言えば、徳内学園初等科教諭と言う事になる。


昼過ぎから夕方までは、ふでと新しく来たゆきと一緒に帳簿付けだ。

村が発展して来て、仕事量も増えている。


夜は、滝川先生と翻訳作業。

こちらはむしろ仕事が増えすぎて、断る事も多くなっている。


りん、寝床に入って呟く

「今日も忙しかったけど、この生活がづっと続くと良いな。」



ふでは、和右衛門経由で送られてきた大月良庵の手紙を前に考えこんでる。

りんの父親の手紙と、形見の件だ。


大月良庵とは、りんが来たばかりの頃、時々寝言で泣きながら呟いた「良庵先生」の事だろう。

形見も手紙も、運良く箱館の大火に合わなかったそうだ


「いっそ燃えちまってくれれば楽だったのにね。」


ふでは呟いた


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