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高田屋嘉兵衛登場

高田屋嘉兵衛。史実でも大物ですが、本作ではさらに大活躍します。

高田屋嘉兵衛登場

嘉兵衛は、箱館湾の一角に建てられ始めた囲いに目を向けた

「どうやら船を作るようだが、なぜ囲っているのだ?」

近年、択捉、国後間の航路を開発し、幕府の覚えもめでたく、昇竜の勢いの嘉兵衛だが、その囲いの中で計画されている事は聞かされてなかった


商圏の近くで船を作ろうと、箱館でも名の通った船大工に訪問した

「高田屋さんのお噂は予々聞いております。」

「仕事をお受けしたいのですが、当分手は開きそうにありません。」

「またの機会に、よろしくお願いします。」

丁寧な口調だが、それ以上は聞いてくれるなと言う態度だった。


店に戻ると、番頭が

「補修につかう帆布が足りません。」

「大阪から仕入れても良いですか?」

「帆布なら、島本屋さんが扱ってなかったかい?」

「あそこも品切れって事です。」


なんかあると思って、嘉兵衛島本屋を訪れる

島本屋は、嘉兵衛の店の競合でも、仕入れ先でもあった。

嘉兵衛とは違い、島本屋は東北から蝦夷地の商いを長く続けた店だった

信用という面では、新興の高田屋よりも優っている


「高田屋さん、最近は大分ご発展のようで」

「いえいえ、島本屋さんも色々新商品をお出しと伺っております。」

「で、今日は何のご用で。」

「帆布がなくて困っております、島本屋さんなら何とかなるかと」


島本屋、少し警戒した様子

「私どもも、困っております。」

「お役に立てませんで申し訳ありません。」

「ところで私どもも、根室に支店を出そうかと思っておりまして、相談に乗っていただければ」


嘉兵衛の心の声

(露骨に話を逸らしてきたが、これ以上は踏み込むなということか)


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