箱館職人五人衆 それぞれの今
箱館の発展に伴い、職人五人衆もそれぞれに悩みを抱えてます
独立するものも、出てきました
船大工の豊治
豊治は、本業の拡大に伴い職人の確保に追われていた
改良弁才船の注文
西洋船の新規造船
既存の船の修理と、改修
どれひとつとして、簡単な事ではなかった
小型四輪車の注文まで入り、この仕事を誰かに任せられないかと思っている
仏壇屋の春次
春次は、親方でもある父の前で畏っていた
よりによって、長男の自分が独立したいと告げたためだ
父から、後継はどうすると詰問された
春次は、元から決めていた事を口にした
「弟の秋吉は、腕も帳面付けも達者です。」
「仏壇屋の後は、あいつに任せてやってください。」
父
「お前はどうするんだ。」
春次
「ご迷惑はかけません。」
「旗信号や、四輪車の仕事があります、これは仏壇屋とは被りません。」
「家業の邪魔をすることはしませんので、どうぞ独り立ちを許してください。」
父
「……」
「ダメだと言っても、出て行く気だろう。」
「許してやるが、うちからの援助はないと思えよ。」
後の、「カラクリ春次」の誕生の瞬間だった
石工の近吉
煉瓦を積みながら、金吉はぼやいていた
「最近は大工でもないのに、小屋や家ばかり作ってる。」
「いっそ、こっちを本業にするべきか?」
「とはいえ、屋根づくりなどは俺一人じゃ無理だ。」
「大工の弁蔵と相談してみるか。」
彼が、建築業を本業にするには、もう少しキッカケが必要だった
そして、それは意外と早くやってきた
大工の弁蔵
弁蔵は、もともと器用な人間だった
そのためか、無理な注文をこなす腕利きと評判だった
目下の悩みは、木造の住宅の依頼は少ないのに、
四輪車や旗信号の注文ばかり入ることだった
「大工の弟子以外に、カラクリ作りの弟子もとるか?」
「片手間ではできないし、かといって専業になるわけにもいかないし……」
「ついつい、春次が持ってくる話に乗ってしまう。」
「実物にする方法を考えるのが、やはり好きなんだな。」
結局、大工以外の弟子を彼は取ることにした
左官屋の太一
「いつの間にか、煉瓦積みの仕事が増えた。」
「小手を使う作業とはいえ、やはり壁塗りとは違う。」
「豊治の依頼で作る、三和土の仕事も増えた。」
「しかし、刷毛を使う使う作業は、やはり技術が違う。」
「だが、豊治や春次の話では、今後ますます増えそうな仕事だ。」
太一の頭の中に、弟を塗師として独立させてはという考えが浮かんだ
「とりあえず、親父と相談だな。」
「仕事が増えたとは言え、左官で暖簾分けするにはまだ足りない。」
蝦夷地の発展に伴い、本業も副業も忙しくなってきた5人集
事業拡大のため、それぞれ思慮を巡らしていた
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