女工場への第一歩
家内制手工業から、工場制手工業へ、蝦夷地の発展にまた新しい道が開きました
「お願いできますでしょうか?」
島本屋六右衛門が、頭を下げていたのは
八戸鮫湊の三六屋孝助だった
六右衛門は、父親の和右衛門から刺子と裂織を事業化するにあたって
三六屋に筋を通しておけと言われて、八戸まで来ていた
三六屋孝助
(これが、島本屋の靭いところか)
(こちらが仕入れてくれと言って、持っていった物を勝手に作ることもできる)
(しかし、それをやっては評判を落とすことになる)
六右衛門の持ってきた話は
製造の許可をくれと言う物ではなかった
刺子と裂織の職人を仲介してくれ
仲介料はもちろん払う
織り機などが必要ならば、それも三六屋から仕入れる
と言う物だった
(これを断ると、今度はこっちの了見が狭いことになる)
(この話には、乗るしかないか)
そこまで考えた時、三六屋の頭にひらめくものがあった
「頭を上げてください。」
「筋を通していただいて、ありがとうございます。」
「早速、良い職人がいないか探してみます。」
「それでと言うわけではございませんが。」
「身内の者に、蝦夷地での行商を学ばせたいと思います。」
「お手数ですが、先導をお願いできますでしょうか?」
島本屋六右衛門
(流石に小なりとは言え、一家を構える人だ)
(目先の利益だけではなく、将来のことまで考えている)
(蝦夷地にで店を出すにせよ、当地で行商を育てるにせよ)
(蝦夷地で実地に学ぶことは、損にはならない)
「ご了承いただきまして、ありがとうございます。」
「行商の件、人が決まり次第お知らせください。」
六右衛門は、今まで材料を各家まで持っていき
出来上がった物を回収して、手間賃を払う
その仕組みを、1箇所に集まってもらい、そこで作って貰う
そうすれば、一之進からの依頼にあった
若い娘を作り手として雇う事業がやりやすいと、工夫した
その為には、毛糸編みだけではなく、他の製品も必要だと考えた
刺子と、裂織はその先駆けだった
誤字・脱字の報告
コメントおねがします




