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第90話

前回の後日談。

 出張から帰ってきてから翌日、エミリア達は冒険者ギルドで報告していた。


「成程~。"天の笛"との戦闘と言うトラブルが起きたけど、こうして無事、エミリアちゃんは聖剣エクスカリバーに選ばれて、敵を退けたと。アラタ君に続いて新しい聖剣所持者が現れた訳だよ~」


「まぁ、こちらもそのお陰で私も新しい力を得て、敵の戦力を拡大させずに済みましたけどね」


「そうだね~。取り敢えず、皆お疲れ様~。後の諸々の処理はやっとくから、ゆっくり休んでね~。別途報酬もちゃんと振り込んでおくから」


「ありがとうございます。ではこちらも、修繕したドレスを受け取りに行きます」


「あぁ、だからエミリアちゃん、前のドレスで報告に来てたんだ~?」


「はい、では失礼します」


「俺はもう少し話しておくから、また後でな」


 そう言ってエミリア達は退室し、アラタとミザリーの2人切りになる。


「…アンタ、さてはこうなる事を見越していただろう?」


「あっ、分かっちゃう?そうだよ~。エミリアちゃんなら出来る筈だと思って」


「食えない女だ…」


「褒めてくれてありがとう」




 アルテミシア学園、家庭科室

 エミリアは修繕して貰ったドレスをティティアから受け取っていた。


「はい、駄目になった箇所を新しい生地に取り替えて、強度も上げておきましたよ」


「ありがとう、ティティア」


「けど、駄目じゃないですか、身体に傷を付けるだなんて!身体も顔も髪も女の子にとっては傷付けたくない箇所でもあるんですからね!特に王女の身体に一生消えない傷を付けた場合、相手にも相応の罰を受けて貰う事にもなりかねませんよ!?」


「ご、ごめん。私の方でもちゃんと気を付けておくから…」


「全く…!髪の方も金髪ロングのサラサラヘアーをキチンとケアしながら守っている様ですし、顔や身体のケアや体形の管理や維持等も怠らずにやってる様なので、あんまり文句は言いませんけど…!」


「そこら辺も、貴方みたいな人達に散々言い聞かされて来てるものだから…」


「それにしても、私の方でも身体を見せて貰いましたけど、本当に傷跡1つ残ってないだなんて。エクスカリバーの鞘の力による不死身にも納得です」


「とは言っても、こっちもあまり頼るつもりはないけどね」


「エミリア様ならそう言いますよね。でも、服の方はそうはいかない事を忘れないで下さいよ!直す手間だってあるんですから!」


 ドレスを受け取ったエミリアも退室するのだった。




 それから週末は明けて、2年1組の教室でレオニーとアリアとも仕事の話をしていた。


「へぇー、聖剣エクスカリバーねぇ…。またとんでもない物を手に入れたな」


「アラタさんの方も、まさかあの剣がデュランダルだったなんて」


「確かに、この2本の剣の力は強大であるから、助けになる事は間違いないわ」


「しっかし、この世界でも神話の武具の話が出るだなんてな」


「どういう事?」


「エクスカリバーとデュランダル、どっちもアタシ達の世界でも神話やおとぎ話に出てくる剣なんだよ」


「エクスカリバーは中世の円卓の騎士の騎士道物語『アーサー王伝説』に、デュランダルはフランスの叙事詩『ローランの歌』に登場する伝説の聖剣なんです」


「その話の影響か、漫画やアニメやゲームでも、それらを基にした武具や技とかが出てくるんだ。オリジナルをベースにしたり、独自の解釈等を混ぜ込んだりとかな。まぁ、名前だけ借りたキャラや魔法等の名前もあるけど」


「しかし、本物のファンタジー世界でもあるこの世界に同じ名前と能力の武具があるとなると、これも卵が先か鶏が先かの理論の1つとして挙げられるんですよね」


「そうだな。別の世界で聞いた話を向こうの奴らが話の創作の為に出したのか、それとも、向こうの世界の話からそれぞれの世界で誕生する事になったのか」


「そこら辺は確かめようが無いわね。まぁ、私が会った女神様の様子から、前者の可能性はあるけど。その口振りだと、もしかして他にもあったりする?」


「はい。今言った2本の剣の様にあらゆる神話やおとぎ話から数多くの武具が出ています。勿論、剣だけでなく、槍に斧に魔法の杖に本、鎧に盾等、種類毎にも数多く存在します」


「しかし、そうなると、今度はどんな武具に出会う事になるのやら。それにしてもエミリア、お前は運が良かったよ。エクスカリバーは神話の武具の中で最も有名な奴で、最強クラスの剣なんだから。お陰でアタシらの戦力も大幅に増強される事になった」


「だからって、安心していい理由にはならないわ。"天の笛"の所に、どんな武具があるのかも分からない以上は」


「言われてみれば…。エミリアとアラタさんだけじゃあ手一杯になりそうだし、他の武具も探してみようか?」


「けど見つけたとしても、資格がなくちゃ使えないのは皆同じでしょう?」


「そうなんだよね~。でも、僕達も手に出来たら助かるのは事実だし…」


「それについては冒険者ギルドや城の情報網も使って、調べておくしかないわね。…それにしても、転移者や転生者だけでなく、伝説の武具まで探さなくちゃならないだなんて、更に苦労するわね」


「そう言うな。これだって必要な事だ」


「お~い、お前ら席に着け!」


 と、マシューが教室に入ってきた為、HRに入るのだった。




 夜、女子寮エミリアの部屋

 エミリアは現在、ゼシカと通信していた。


「…と言う訳で、フィルビアの方でも伝説の武具の調査をして欲しいのだけど」


<分かりました。こちらでも調査をしておきます>


「ありがとう」


<しかし、エクスカリバーの鞘の不老不死の加護ですか…。それってつまり、その世の中のお姫様と言う理想を詰め込んだ様な絶世の美少女お姫様としての容姿も、いつまでも保っていられるって事ですよね?私も年頃の乙女ですし、正直羨ましい限りです>


「それ嫌味のつもり?私だって、人間を辞めるつもりはないわよ。ちゃんとエクスカリバーを手放して、普通の人間に戻って、愛する人と共に死ねる様になるんだから」


<これは失礼。そうですよね。貴方だって独りぼっちは嫌な筈ですよね。まぁ折角ですし、私も伝説の武具の所有者を目指してみます。では、おやすみなさい>


「えぇ、おやすみなさい」


 そう言ってゼシカとの通信を終える事となった。


「…絶世の美少女お姫様か」


 エミリアも何かを思って、姿見の前に立つ。


「背中もお尻も覆い隠せる程までに伸ばしたサラサラの金髪ロング。サファイアの様な青い瞳に、アイドルをやらせてもお釣りが出る程の可愛らしい顔立ち。高過ぎず低過ぎない程よい身長に、細く均整な身体付きに白い肌。蜂の様な細いくびれに、同年代と比べて明らかに大きい方の胸と尻。そして白魚の様な白い手に細い腕、あまりにも美し過ぎる美脚。確かにゼシカ王女の評価も尤もな所もあるわね。前の身体の時は、こう言った姿に、欲情や劣情は抱いていたかもしれないけど、今はそんな事思ってない。寧ろ自慢と誇りに思っている。これも、私の心が本当に女に染まって来ているからなのかしら?」


「そうね~。アンタにも、そこら辺の自覚が出来ているって事よね~」


 と、フィーナもエミリアの頭上まで飛んでくる。


「しかも容姿だけじゃなく、マナーも礼儀作法も全て完璧にこなしているし、王族に必要な教養は全て高水準を満たしている。見た目だけでなく、中身までもが理想のお姫様を詰め込んでいるときた。しかも、そこから武芸までもがSランク冒険者にまで届く程だから尚更ね」


「そうね。それに私も家庭的な面まで持ってるものだから、お嫁さんにしたいって声もかなり集めちゃってるしね。まぁ、それについては仕方ないし、私も割り切ってはいるわ」


「アンタならそうよね~。そんじゃあ、一応頑張んなさいよ~」


「言われなくてもそのつもりよ。私も絶対に王族の責務を果たして見せるんだから!」


 そう言う会話をしながら、夜の時間を過ごしていく。

 こうして、エミリア達の安らぎのひと時は過ぎていくのだった。

ちゃんと休まりました。

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