第104話
ファルマータ編第7話。
ゼシカ&デュークVSヴァーリ&ファム
ゼシカは足に氷のスケートシューズを作って、スケートの要領で滑っていく。
そして辺り一帯を駆け回って氷の刃を繰り出し、ヴァーリとファムも冷静に防いでいく。
その隙にデュークがファムを斬り付け、ファムも片足を上げて防ぎ、ゼシカもヴァーリを氷の刃で包囲するが、ヴァーリも風で吹き飛ばす。
デュークの剣とファムの炎を纏ったグリーブの打ち合う音が響き、ファムがデュークの頭目掛けて足を振るうが、デュークも仰け反り、そして懐に潜り込んで剣の柄尻をファムの腹に打ち込む。
ヴァーリも籠手の刃を振るい、それをゼシカは躱していく。
そしてゼシカははヴァーリの周りを円を描く様に滑り、ヴァーリの足元から氷柱を突き出す。
氷の中に閉じ込められたヴァーリも氷を砕いて両腕を振るい、ゼシカ目掛けて風の刃を十字で飛ばすが、ゼシカも氷の剣でそれを弾く。
「まぁ確かに、あの時よりは腕を上げたみたいだね。でも、この程度で調子に乗らない方がいいよ。ヴァーリ!こっちも合体して分からせるよ!」
「あぁ!」
そう言って2人は合流、ヴェルナンデへの合体を果たす。
『さぁフィルビアのお姫様!アタシ/僕達がお前達を叩きのめしてやるよ!』
「…成程、それが貴方方の真の力ですか。デューク、こちらも本腰を入れますよ!」
「はっ!」
そう言ってゼシカは極寒の戦姫と青色のオーラを、デュークは緑色のオーラを解放する。
ヴェルナンデもオーラを解放して足元から風を出して突進、炎を纏った籠手の刃を振り下ろす。
それをデュークが防いで押し退け、風の刃の散弾、ヴェルナンデも手足を振るって落としていく。
ゼシカもその隙にヴェルナンデを氷のドームに閉じ込めるが、すぐに溶かして脱出。
蒸気に視界が奪われている中、ヴェルナンデも極太の炎のレーザーを放つ。
『魔力探知で位置はバレバレ!これで2人共黒焦げに…っ!?』
しかし、レーザーは巨大な氷の壁に防がれる事となった。
『どういう事だ!?アタシの炎を僕の風で増幅させたのよ!?』
「これは私の氷にデュークが真空の層を作ったのです。それによって、炎もある程度防ぐ事の出来る氷の壁が出来上がったのですよ」
「ゼシカ様、そろそろ決めましょう」
「えぇ」
そしてヴェルナンデの飛び蹴りを避けて、すれ違い様に彼女の脚を凍らせ、その背中に真空の層の入った極太の氷の柱を突き出して、ヴェルナンデを押し出しながら、その身体を凍らせていった。
『クソ!まさかアタシ/僕達が!?』
「さて、どうします?大人しく捕虜となるか、生きたまま氷のオブジェとなるか」
『どっちもお断りだ/よ!』
そう言ってヴェルナンデは転移結晶を使ってその場を離脱。
それを見届けたゼシカも鎧を脱いで、2人はオーラを解除した。
「また取り逃がしてしまいましたね」
「でも、会議場を守れたので、これで良しとしましょう。それに、私も次までに極寒の戦姫を更に発展させておきましょう」
こうして、2人もリオンを介抱しながら宮殿に戻るのだった。
カイトもリーゼロッテを自身の背後に隠して、フェミンと対峙していた。
「おやおや、カイト君ってば、すっかりお姫様を守るナイトみたいになっちゃってるね~?」
「フェミン、一体どういうつもりだ!?お前も会議場を襲撃しに来たんじゃないのか!?」
「カイトさん…?」
「ううん、私は個人的な用事で会いに来ただけ~。そう、そこのお姫様に。貴方、アルテミシアの同盟国の王女なだけじゃなく、エミリア王女の幼馴染なんだって?だったら丁度いいし、貴方の立場、私に頂戴」
「…っ!まさか彼女に乗り移る気か!?」
「そう言う事~。そうすればリリネット王国を乗っ取る為の手引きが出来るだけじゃなく、アルテミシア王国に対して不意打ちする事だって出来るからね~」
「その様な話、私だって貴方の様な悪人に国を渡す気はありません!エミリアちゃんに、私の友達に危害を加えさせたりはしませんからね!」
「ふーん、まだ知らないんだ~?そのエミリアちゃんは…」
と、その時、カイトがすぐさま剣を振り下ろし、フェミンも障壁を出して防ぐ。
「余計な事を喋るな。僕も君を殺しかねないぞ…!」
「あはは、ムキになっちゃって~」
そこから流れる様にフェミンはカイトに耳打ちをする。
「どうせなら、融合でカイト君をリーゼロッテちゃんに成り代わらせてあげようか?お姉さんとお揃いになれるよ?」
「黙れ!」
カイトが力任せに振った剣を、フェミンはバックステップで躱す。
それと同時にフェミンは魔力弾をカイトの下から打ち上げて食らわせ、その場が煙幕に覆われる。
リーゼロッテの背後に回ったフェミンが手を伸ばすが、すぐさまカイトがフェミンの頭目掛けて突きを繰り出し、フェミンもすぐに飛び退いて、カイトはリーゼロッテを抱き寄せる。
「へぇー、流石カイト君。あの一瞬でオーラを出して変わり身だなんて。それにカイト君、すっかりお姫様を守るナイトになっちゃって、何か妬けるな~。まぁ、流石に独断の事は上にバレたくないし、ここで帰らせて貰うね~」
そして3人は元の場所に戻り、フェミンも転移結晶を使ってその場から消えて行った。
「…カイトさん、彼女は一体?」
「アイツは"天の笛"の1人のフェミン。この世界の裏で暗躍している組織の一員だよ。そして、7年前のアルテミシア城での事件と関わっている」
「まさか、そんな事が…!?」
「そう、だから僕達も連中を野放しにする事は出来ないんだ。それと、この事は極秘の案件と言う事で。何処に組織の人間がいるのか分からないから」
「…分かりました。私もちゃんと秘密にしておきます」
「助かるよ」
そして、店から出て来た皆と共に、2人は宮殿へ帰るのだった。
ゼインVSミオ
2人の得物の打ち合う音が響き合い、遂に鍔競り合いを迎えた。
そしてゼインがミオの刀を寝かせてミオの腹に拳を入れ、怯んでいる隙に大剣を振り下ろす。
ミオもすぐに横に転がって回避。
そしてその姿勢のまま刀を斬り上げ、ゼインもすぐに防いだ。
「お兄さんやるね~。刀史郎おじちゃんの時から、久しぶりに楽しめそうだよ~」
「東方の剣聖か…。だが、俺もそろそろ本気で行かせて貰うぞ」
ミオを押し退けたゼインは赤いオーラを解放する。
「それがお兄さんの本気?わーい!ミオ、楽しみ~!そんじゃあ、行っくよ~!」
そう言ったミオは一瞬で間合いを詰め、連続で刀を振り下ろし、ゼインもそれをいなしていく。
そしてミオがゼインの大剣を地面に向けて弾き、刺さった所をミオは跳躍、真向斬りを繰り出す。
刀が届きそうになった瞬間、ゼインの大剣が火を吹いて地面を抉り、土煙と共にミオを吹き飛ばす。
そうして地面を数回転がったミオ目掛けて炎を纏った大剣が振り下ろされ、ミオは炎に包まれる。
そして炎が晴れて、全身に火傷を負ったミオにオーラを消したゼインは歩み寄る。
「…勝負は着いた。大人しく拘束されて貰うぞ」
「…へへっ、負けちゃった。お兄さん強いね。ミオ、悔しいや…」
と、その時、ミオの足元から魔法陣が出て、彼女は消える事となった。
「…緊急用転移結晶。持ち主の生命反応等で自動的に発動するタイプ。事前に持たされていたか」
「ゼイン様、こちらも応急処置が終わりました」
と、レシアンが上から降りて報告して来る。
「分かった。こちらも彼女を連れて戻るぞ」
「はっ!」
と、2人もレオニーを連れて宮殿へ戻る事にした。
エミリア&アラタVSベアトリス&レーナ
ベアトリスが光のボールを出してカーブを付けながら飛ばし、エミリアもアクロバットに回避。
そして周囲に炎の斬撃を飛ばして一掃、光の斬撃の3連撃を飛ばしていく。
ベアトリスも障壁で防ぐが、エミリアも風の斬撃をカーブを付けて飛ばし、ベアトリスも回避。
そして極太の光のレーザーを出すが、エミリアも極太の水のレーザーを出して打ち消し、それを食らったベアトリスはびしょぬれになりながら転がっていく。
「光なら、乱反射によって水で打ち消す事が可能なのよ」
「成程。でも、私だって簡単にやられるつもりはないわよ!」
そう言って立ち上がったベアトリスは頭上に発射台を出して、空一面に覆われたそれらが発射される瞬間、エミリアが巨大な光の刀身を出して、一振りで一掃する。
そしてベアトリスが怯んでいる隙にエミリアは影の触手で拘束、剣を鞘に収めて腰を低くする。
そこから雷を纏ったエミリアは前に出した足を踏み抜き、居合斬りでベアトリスを斬り伏せた。
「椿に教えてもらった居合斬り、上手くいって良かったわ」
レーナも水の槍を出して次々とアラタ目掛けて飛ばし、アラタも斬り裂いていく。
そうして飛び散った水がアラタに纏わり着き、拘束。
そこから渦の中に飲まれてしまう。
「水魔法は本来凡庸性に優れていてね。使い方次第でいくらでも化けられるのよ!」
その時、アラタの身体が高温となって、彼の周りの水は蒸発していき、辺り一面霧に覆われる。
そしてレーナの足元から土の棘が飛び出し、レーナを閉じ込める檻が完成され、アラタは霧を晴らす。
「俺もエミリアも、全属性と言うアドバンテージを活かす為に、あらゆる勉強はちゃんとやってる。自然現象でも化学でも何でもな」
「ぐぅ…舐めるなぁ!」
そう言ってレーナは檻を破壊して距離を取り、頭上に巨大な水の竜を出す。
そして水の竜が突撃し、アラタもその口の中に入り、内側から斬り裂いていく。
その光景にレーナが呆気を取られている中、アラタもすぐに雷を纏い、構えを取って突進。
空中からの居合斬りでレーナを斬り伏せ、彼女も倒れる。
「俺も、刀史郎さんから居合斬りを習っといて良かったよ」
そして2人もオーラを解除、アラタの傍にエミリアが駆け寄る。
「アラタ、そっちも終わった様ね」
「あぁ、これからこの2人を…」
と、その時、レーナとベアトリスの足元に魔法陣が現れ、2人の姿は消えて行った。
「自動発動の緊急用転移結晶か」
「これを持たせたのはジルティナね。本当に抜け目ない」
「こればかりは仕方ない。俺達も戻るぞ」
「えぇ」
そう言って2人も、宮殿に戻る事となった。
そして夕方、宮殿に戻った一同は、憩いの場でゼインとレシアン、リーゼロッテに色々話す事となった。
「成程、大体分かった。何処に敵が潜んでいるのか分からないから喋れなかったと言う事も。だが、俺達だって知ってしまった以上、この件に関わらせて貰うぞ」
「エミリアちゃん、私だって貴方の事、本当に友達だと思っているんですよ?だと言うのに、何も言ってくれないだなんて。それ程までに私の事、信用出来ないのですか?」
「リゼ…。そうね、ちゃんと信じてあげなくちゃね。それじゃあ改めて、ゼイン王子、リゼ、貴方達も私達に協力してくれる?」
「勿論だ」
「はい!」
「では、取り敢えず、ブレジアンとリリネットでも伝説の武具や異世界由来の伝承や言い伝え等が存在しないか、そこら辺の確認を行う所からお願いします。フィルビアの方でもそうしていますので」
「ゼシカ王女…。そうだな。俺も国に帰ったら、書庫に通わせて貰うとするか」
「私の方でも、情報集め、何とか頑張って見せますわ」
「それじゃあ、そっちも組織のスパイに気を付けながら、情報を集めておいてね」
「話がまとまった所で、それぞれの国の側に戻っておきましょう。心配を掛けない様に」
「それもそうだな」
「では、私はこれで」
「えぇ。そっちも気を付けてね」
こうして、一旦お開きとなり、それぞれの客室へ戻って行った。
そして3日目の会議も問題なく終わり、この3日間に渡る会議は無事終了となった。
それから皆帰り支度に入り、エミリア達が宮殿の玄関に出た所で、リーゼロッテが駆け寄って来る。
「エミリアちゃ~ん!皆さ~ん!」
「リゼ、一体どうしたの?」
「あの、この3日間、私に付き合ってくれてありがとうございました!それで私の方でもお父様達に頼んで、またお互いの国に遊びに行ける様、取り計らっておきます!」
「それもそうね。私達もこれからもリリネットとはいい関係でいたいわ」
「はい!…あの、それで、カイトさん…」
と、リーゼロッテはカイトの前に立って、顔を赤らめてもじもじする。
「あの、よろしければ今後とも、私とも個人的な交流をして貰えませんか?お互い、ただの1人の人間として…。それで、その…」
「うん、僕は別に構わないよ。これからも仲良くしていこう」
「…はい!それでは、私もここで失礼します」
カイトの言葉に顔を綻ばせたリーゼロッテは、早足でその場を去って行った。
そしてカイトが振り返ると、一同はニヤついた顔を浮かべていた。
「ちょっ、どうしたの皆?そんな顔して」
「別に~」
「カイトも罪な男だね~」
「エミリアとアラタのお陰で、そこら辺のハードルも下がってるし、いいんじゃねぇの?」
「お姉ちゃんも構わないよ」
「私はお兄ちゃんの行く末が心配です」
「ねぇ、ちょっと、何の話?」
そしてエミリアとアルフォードもカイトの肩に手を置く。
「カイト、俺も兄として言わせて貰うが、女を泣かせる様な真似はするなよ?」
「そう言う訳だから、頑張んなさい」
「だから兄さんと姉さんまで何の話~!?」
「ほらほら、早くしないと列車に遅れるぞ!」
アルベルトの掛け声に一同もすぐに馬車に乗って駅へ向かう。
こうして、ファルマータでの3日間は終わりを迎えるのであった。
ファルマータ編、終了。




