第103話
ファルマータ編第6話。
リーゼロッテはカイト達と共に街中を歩いていた。
「エミリアちゃんとアラタさんとレオニーさん、用事が出来たって言ってましたが、大丈夫でしょうか?」
「あぁ、大丈夫大丈夫。あの3人なら心配ないから」
「あの3人だって、いつまでも子供じゃないんだし、リゼちゃんも安心していいよ」
「シャーリーさん…。はい、そうですね。私も少々神経質になってたそうです」
「そう言う事だから、僕達も僕達で楽しもう」
「はい!」
そしてリーゼロッテもカイトの手を取って、笑顔で足を軽やかに進める。
(…彼女の事は僕達に任せて、あの3人に勝って来てよ)
レオニーVSミオ
レオニーのサーベルとミオの刀の鍔競り合いとなり、周囲に衝撃波を出していた。
レオニーがミオを押し出して横薙ぎ、ミオも刀を逆さに立てて防ぐ。
そこからミオは受け流して姿勢を低くし、すれ違いざまに斬り付けるが、レオニーも紙一重で躱す。
「中身ガキなのに、中々やるじゃねぇか…!」
「へへ~ん!ミオ、刀史郎おじちゃんに稽古付けて貰ってたからね~!」
「Sランクの1人、東方の剣聖か…」
「おじちゃんってば、いつまで経ってもミオの事子供扱いで、本気で相手してくれなくてね。それでミオ、すぐにおじちゃんに追いつきたくて、組織で大人の身体にして貰ったんだ~!だと言うのに、中々おじちゃんに会えなくて、これまで戦った人達も皆弱いしで、本当つまんなくて~!」
「…何か1年前のアタシを見てるみたいで腹が立つな。でもって、そんな方法、剣聖だって認めないと思うぜ」
「何だよそれ~!?まぁいいや!お姉さん強いし、ミオともっと遊んでよ~!」
そこからミオは連撃で刀を振り、レオニーも全て躱していく。
レオニーも銃を取り出して発砲。
ミオはそれを躱し、その隙にレオニーはサーベルを振り、ミオも防ぐ。
「誰も剣だけの勝負だなんて言ってねぇぞ」
そしてレオニーは左手に魔力を込めて振り下ろし、ミオもそれを跳躍で躱す。
ミオが着地する中、レオニーは見えてしまったミオのスカートの中に関する思考をしていた。
(あんまり目立ってなかったが、あれは子供サイズのアレだ…。って事はベースは少年って事か…)
「む~、お姉ちゃん、銃と魔法を使うだなんて。ミオは剣術とこれくらいしか出来ないのに~!」
と、ミオが思い切り刀を振るうと、地面に大きな亀裂が入り、それを見たレオニーも冷や汗をかいた。
「何て馬鹿力だ。どこにそんな力が…?」
「何かレーナお姉ちゃんの話だとね、ミオのこの力って、ミオの筋力がおっぱいに凝縮されて、おっぱいの大きさの分だけパワーが出せるみたいなんだ~!」
「成程。双性者としての特殊能力はちゃんとあるってか…」
「ミオもこのおっぱい邪魔だな~って思ったけど、お姉さんの見た目なら子供と遊び続けられるし、戦ってくれそうなおじさん達とか寄って来てくれるし、何も困ってないよ~!」
「こっちもあんまり遊びに付き合う気はないんでね。お仕置きさせて貰うぜ、坊主」
リオンVSヴァーリ&ファム
ヴァーリが辺り一帯に風の刃の雨を降らせ、リオンもそれを躱していく。
その後にファムがかかと落としをするが、リオンもナイフで防いで弾く。
間髪入れずヴァーリが接近して、籠手の刃を振るい、リオンも全ていなす。
その横からファムが飛び蹴り、リオンもすぐに受け身を取る。
「驚いたよ。僕達のジャブにここまで着いて来れるだなんて」
「ただのメイドにしてはやるじゃない」
「お生憎様、私も城に仕えるメイドとして、これくらいは当然ですので」
「それじゃあ、こっちもそろそろ本気を出そうかな!」
「あいよ!」
そう言って2人はオーラを解放。
ファムはリオンの周辺に炎の竜巻を出す。
リオンも間一髪でちょっと焦げた状態で脱出。
そこを狙ってヴァーリが巨大な風の刃を飛ばす。
リオンは何とか防ぐが、その反動で転がる。
そこにヴァーリも無数の風の回転刃を飛ばしていく。
しかし急に周囲の気温が下がり、回転刃もその場で凍り付いた。
「これは…!?」
「やれやれ、戦闘の気配を感じて来てみれば、貴方方でしたか」
そしてその場にゼシカとデュークが現れた。
「デューク、彼女を安全な場所へ」
「はっ!」
デュークもすぐさまリオンを抱き上げ、近くの木にもたれ掛からせる。
「リオンさん、後は私達に任せて休んでいて下さい」
「はい、お願いします…」
「フィルビアのお姫様、この前アタシ1人相手でも苦戦したのに、2人纏めて相手しようっての?」
「あらあら、軽く見られたものですね。私達だって、あの時のままでいる訳ないのに」
エミリア&アラタVSベアトリス&レーナ
ベアトリスが魔力弾の弾幕を放ち、その余波で土煙が舞う。
土煙の中からエミリアがベアトリスを膝蹴りで弾き飛ばし、アラタも剣を振るってレーナも避ける。
エミリアの連撃をベアトリスは杖でいなしていき、そしてエミリアは光の斬撃を出す。
爆煙の中からベアトリスはバックステップで脱出。
エミリアも突きを繰り出し、ベアトリスも杖で防ぐ。
「近接攻撃に対するこの対応、魔法職としては優秀な方の様ね」
「お生憎様。私だって双性者の1人ですもの。これくらい当然よ」
レーナは魔力弾を連続で放ち、アラタも周囲を駆け回って回避。
そしてアラタが接近して斬り付けるが、レーナも低空浮遊で後ろに回り、ナイフを突き出す。
アラタも剣で防いで滑らせ、レーナを殴り飛ばし、空中へと放っていく。
アラタは炎の斬撃を放ち、レーナもそれを障壁で防いで着地する。
「子供の成りとは言え双性者と言う事か…」
「そう言う事。そっちこそ、ちゃんと落ち着いているじゃない」
「姉さん!こっちも本気出した方がいいんじゃないの!?」
「そうだね。そうしようか」
そう言ってベアトリスは白いオーラを、レーナは水色のオーラを解放する。
「エミリア、俺達も!」
「えぇ!」
そしてエミリアとアラタもオーラを解放する。
街のあちこちを歩き回って疲れたリーゼロッテはベンチで休み、他の者達も彼女の事をカイトに任せて、近くの店でユフィの買い物に付き合っていた。
「調子の方はどう?」
「はい、大丈夫です…。ありがとうございます、カイトさん」
「そっか。でも、何かあったらちゃんと言ってね?僕に任せてくれた人達にも申し訳が立たないから」
「はい、そうします。…あの、所でカイトさん」
「え?何?」
「カイトさんは、剣士なんですよね?どうして剣を嗜んでおいでなのですか?」
「あぁ、僕の実家は剣の名家でね。昔からよく剣の稽古を付けられていたんだ。それで上の兄はアルテミシア城の国王軍1番隊隊長で、下の兄は家出してたんだけど、1年前に父と和解した。そして僕も、そんな2人に追いつきたくて、今じゃあAランク冒険者だ。とてもじゃないが、まだまだ2人には及ばない」
「そうなのですね。素敵だと思いますわ。あっ、剣と言えば、エミリアちゃんも魔法剣士だった様な…。」
「えっ、あぁ…!どうやらエミリア様、子供の頃から膨大な魔力を持っていた様でね。それが7年前の事件のきっかけにもなったみたいなんだ。それで魔法を活かして、接近戦も出来る魔法剣士を目指す様になったんだよ」
「成程。それでエミリアちゃんも努力したのですね」
「そうだね。あはは…」
「…やっぱり寂しくなりますね」
「えっ?」
「昔のエミリアちゃんは、勉強熱心だけど、女の子らしい遊びが好きで、本を読む事にも夢中になって、それでいて明るく振る舞う、インドアで社交的で陽だまりの様な女の子らしい子でしたわ。けど今は、冒険者として名を馳せて、文武両道で、しかも恋人まで作って…。今のエミリアちゃんは、すっかり別人みたくなっちゃって、遠くの人みたく感じていますの」
「…リゼさん、それは、その…!」
と、その時、カイトとリーゼロッテが黒いベールで覆われていく。
「これは…!?」
「リゼさん、僕から離れないで!」
と、カイトはリーゼロッテを抱いて、2人はベールに包まれる。
そしてその場から2人が消える事となり、2人は黒い空間に放り込まれる事となった。
「これは、結界!?」
「一体何が!?」
「私が招いたんだよ~!」
と、2人の前にフェミンが姿を現す。
「フェミン…!」
「ヤッホー、カイト君~!」
レオニーの方も、ミオの手によってボロボロになり、肩で息をしている状態だった。
「はぁ、はぁ…」
「お姉さん、中々強かったけど、もうここまでかな~?これ以上はお姉ちゃんに怒られるし、もう終わりにしよっか!」
そう言ってミオが駆け出して刀を振るうが、刀はゼインの剣に止められる事となった。
「ゼイン王子…!?」
「レシアン、彼女を安全な場所へ」
「はっ!」
と、レシアンがすぐさまレオニーを連れて下がり、ゼインもミオと向き合う。
「お兄さん、強そうだね~!お兄さんもミオと遊んでくれるの~!?」
「何だこいつ?大人の成りだが、中身は丸っきり子供のそれじゃないか?まぁいい。お前もエミリア王女達の隠し事に関わっているのだろう?これからお前を倒して、彼女達にも問い詰めさせて貰う」
「わーい、やったー!じゃあ、尋常に勝負!」
こうして、ゼインがバトンタッチして、ミオと対峙する事となる。
ここから戦いが更に激しくなっていくだろう。
戦いは加速する。




