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第101話

ファルマータ編第4話。

 エミリア達が入浴を終えて客室に戻る途中、レオニーが思い出した様に口を開く。


「あっ、忘れてた。そう言えば、あの変態メイドも来てるって話だったよな?入浴中、アイツの姿が見えなかったけど、一体どうしたんだ?アイツの事だから、風呂場でアタシらの裸を舐め回す様に見るだけじゃなく、ベタベタ触ってくる筈だったと言うのに」


「あぁ、リオンなら、私が部屋で縛り付けておいたわよ。あの子がいると、落ち着いて入れないし」


 その当の本人は、自分の部屋のベッドの上で簀巻きにされ、磔にされていた。


「あぁ~、そんなご無体なぁあああ!エミリア様達の美しい裸体を前にして、お預けを喰らうだなんてぇえええ!どうか…!どうか私にその美しいお身体をご鑑賞させて下さぁあああい!」


 リオンの絶叫はあまりにもうるさかった為、エミリアがリオンの頭にかかと落としを入れて気絶させる事となった。




 部屋に戻ったオズワルドは、アルベルトと共に話をしていた。


「先程はエミリア達の前だから、聞かずにいましたが、今の内に聞いておきます。7年前、我が城で起きた事件、何か言及する者はいましたか?」


「いや、皆何も言って来なかったが…?それが一体どうしたと言うのだ?」


「"天の笛"なら、あの時、本物のエミリアは殺されて、今のエミリアは影武者だって話はスポンサーに通していてもおかしくない。だからその事をネタにして、我が国に揺さぶりを掛けるくらいはしてもいい筈です」


「考えられる事はいくつかある。先ず1つ、何も聞かされていないか。組織と言うのも一枚岩じゃないからな。利害だけで手を取ってる奴らはお互いを信用していない節がある。それに、組織と言う物は肥大化すると、一部の者が不満を持って謀反を企てたり、権力を使って自分の都合のいい様に立場や方便等を理由にして乗っ取ろうと企てりもする。実際、あの事件も我が城の内部の者が手引きした事だからな。次に、奴らが言いあぐねているか。明確な証拠が無い事に変わりはないからな。向こうもどういう方法でスレイをエミリアの姿に変えたのか把握していないのが幸いだ。こう言った事を踏まえるなら、連中もスポンサーにそこまで教える義理を持ち合わせておらず、あくまで利害での協力関係でしかない為、エミリアの事を教える事はしていないと言う事だな」


「兎に角、そこら辺を言及されずに済むなら何よりです」


「そうだな。周りが何と言おうと、あの子は我々の家族のエミリアである事に変わりはないのだ。だから私達も1人の父と長子として、何としても守り抜くぞ」


「はっ!」


 こうして、夜の密会も過ぎていくのだった。




 翌日、憩いの場

 エミリア達が中に入ると、先にリリネット王国側が入っていて、ユフィもリーゼロッテに抱きつく。


「お久しぶりです、リゼさん!」


「お久しぶりですわね、ユフィ。貴方も随分大きくなられて」


「リゼ、エミリアから話は聞いてたが、君も綺麗になったな」


「お褒めの言葉ありがとうございます、アルベルト様。貴方の妹に比べたらまだまだです」


「リーゼロッテ姫、今までこちらの事情で会えずじまいで、本当にすまなかった」


 と、オズワルドもリーゼロッテに頭を下げる。


「頭を上げて下さい、オズワルド王!あんな事件が起きた以上、仕方のない事だったんですから!」


 そこで何かを思いついた様に、リリネット国王がリーゼロッテに話しかける。


「折角だ。リゼ、今日はエミリア姫達と1日過ごして来なさい」


「お父様?」


「お前だって、この7年間の空いた時間を、ちゃんと埋めておきたいだろう?私もこれから会議の続きがある以上、お前に寂しい思いをさせてしまう事になる。だから今日1日中、エミリア姫達と一緒に遊んで来なさい。大丈夫、彼女達は強いんだ。ちゃんとお前の事を守ってくれるさ」


「えぇ、そうですわね。では、私もエミリアちゃん達と一緒にいます」


「そうしなさい。では、我々も行こうか」


「あぁ」


 と、2人の王も、護衛の者達と共に会議場へ向かう事となった。


「それでリゼ、今日はどうしたい?」


「今日も街に出たいです。ほら、昨日はコソコソしながらだったから、今日はそのせいで見れなかった所を見て回りたくて、よろしいですか?」


「えぇ、構わないわ」


「ありがとうございます!…それで、そのぉ…」


 と、リーゼロッテはカイトに寄り添い、その袖を掴む。


「カイトさん、よろしければ、私の傍にいてもらえないでしょうか?」


「え?別にいいけど?」


 リーゼロッテの顔を赤らめてもじもじしている姿に、ハルトマリー達は何かを察する。


「これ、あれだよね?」


「あれだね」


「あれだな」


「あれですね」


「あれだね~」


 そしてエミリアもカイトの肩を叩き、耳打ちで囁く。


「カイト、貴方もリゼに気に入られるだなんて、中々やるじゃない?」


「え?姉さん、何の話?」


「…?」




 "天の笛"本部、ジルティナの部屋

 ジルティナは現在、ラフィニアの治療を受けながら、リハビリに努めていた。


「本気に成り切れていなかったとは言え、貴方がやられるだなんてね」


「私も彼女を見誤っていたのは事実です。次こそは私が勝ちます」


「全く、急に呼び出された私の身にもなってよね。それで、活動の方はどうするの?」


「私も療養中は動けませんが、問題ありません。今、ファルマータでは各国の王達が集まっています。それでファルマータに彼女達を向かわせる事にしました」




 ファルマータ、自然地帯

 そこにある1本の木にしがみついている人影が何かを取ると、木を降りて行った。


「よっしゃー!オオカブトとオオクワガタ、ダブルでゲットー!」


 と、焦げ茶色の腰を覆う程のストレートロングと、白のTシャツと黒のミニスカート、グレーのパーカーと背中に長い刀を背負った、グラマラスな肢体の長身美女が、手に持ったカブトムシとクワガタムシを掲げた。


「ちょっとミオ。アンタ、またこんな所で虫取りしてたの?」


 と、若葉色のポニーテールと黒のコートが特徴的な眼鏡の幼女が声を掛ける。


「あっ、レーナお姉ちゃん!だってこんなに広い森なんだよ!だったらカブトムシもクワガタムシもいっぱいだし、今の内に大量ゲットしなくちゃ!」


「アンタねぇ…。もう少し自分のなりを考えなさいよ…」


「レーナ姉さ~ん!ミオちゃん見つかった~!?」


 と、そこに水色のストレートロングの前髪の一部分を三つ編みにした、赤いつり目と白のワンピースと黒のジャンバーの少女が駆けつける。


「おっ、ベアトリス。ミオならこの通り見つけたよ」


「リスお姉ちゃん、見て見て!オオカブトとオオクワガタ!」


「はいはい。ミオちゃん、私達は仕事で此処に来た事を忘れないでね」


「え~、つまんな~い!」


「で、今回は宮殿に用があるんだっけ?」


「えぇ。今、この国では各国の王達が集まって会議を開いているの。そこを狙って襲撃に向かえってジルティナ隊長が言ってたわ」


「全く、隊長も人使いが荒いんだから」


「仕方ないわよ。隊長は手を抜いていたとは言え、エミリア王女にやられちゃって今療養中だし、ラフィニアさんも今隊長に付きっ切りで看病してるし、ラーナちゃんもアイドル活動で忙しいし、ケールさんも情報収集に出てるしで、私達姉妹が行く事になったんだから」


「ねぇねぇリスお姉ちゃん!そのお姫様、ミオと遊んでくれるかな!?」


「余計な事しちゃ駄目よ、ミオちゃん」


「そうだぞ。この前だってアンタが勝手な事したせいで、更に苦労する事になったんだから」


「え~、何だよ、お姉ちゃん達!ミオ退屈だったんだも~ん!剣の相手くらい良いでしょ~!?それに、刀史郎おじちゃんと稽古したいのに、あれから全然会ってないんだもん!」


「そうだったね。あの人の剣にすぐに追いつきたくて、大人の身体と融合したんだっけね。私も年を取ると才能の限界って奴を感じる様になったんで、それを更に引き伸ばす為に子供の身体と融合したのよね。まぁ、そのお陰で年齢制限とか引っかかって、酒とかも出来なくなったけど」


「兎に角!私達もこれから仕事に向かって、とっとと片付けるわよ!特にミオちゃん!貴方も寄り道とかせずに、ちゃんと付いてくる様に!」


「は~い…」


「ほら、とっとと行くよ、妹達」


 この様な話を済ませた3姉妹も街に向かって足を進める。

 今回もまた、この地で大波乱が起きる事だろう。

新たな事件へ。

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