第100話
ファルマータ編第3話。
ファルマータ宮殿、書庫
ハルトマリーとスバルは、歴史に関する文献を読み漁っていた。
「…ざっと読んでみたけど、まぁこんなものかな?」
「伝説の武具の情報、まぁまぁ得られた感じだけど」
「まぁ仕方ないよ。所詮おとぎ話でしかない以上は」
「でも"天の笛"も狙っている以上、奴らより早く見つけなきゃならない」
「そうよね。それじゃあ、見落としが無いか、ちゃんと読み直しましょうか」
そう言って2人は文献を読み続けるのだった。
「…伝説の武具、"天の笛"、アルテミシアも何か隠している様子。ゼイン様にも報告せねば」
その陰でレシアンが覗き見している事にも気づかずに。
市街地、カフェ
カイトはシャーリーにパフェのアイスを掬ったスプーンを突き付けられていた。
「はい、カイト君、あーん!」
「…いや、僕もう子供じゃないんだから、自分で出来るって」
「いやいや、女の子とあーんくらい出来る様になっておくべきですよ、お兄ちゃん!彼女を持った時、これくらい普通になってきますから!」
「いや、だから…」
「あら、カイト達?」
「姉さん、アラタさん?」
来客したエミリアとアラタも同席。
そしてエミリアはレアチーズケーキ、アラタはガトーショコラを注文する。
「奇遇ね、こんな所で会うなんて」
「僕達は色々歩き回って休んでいる所。そう言う2人は?」
「私達もこの街の鍛冶屋で武具を見せてもらったり、お土産屋でユフィが気に入りそうな物を探したり、部屋のアンティークに良さそうな物を見繕ったりして、此処で一息を入れに来たの」
「まぁ俺も有意義な時間を過ごせたのは本当だ」
「あっ、アラタ。そのガトーショコラ、一口頂戴」
「あぁ、分かった」
「あーん」
「はいはい」
と、アラタはエミリアの口にガトーショコラを入れて食べさせる。
「美味いか?」
「うん、美味しい。はい、アラタも」
「あぁ、あーん…」
と、エミリアもアラタの口にレアチーズケーキを入れて食べさせる。
「美味しい?」
「うん、美味い」
「…そう言う事、平然と出来る辺り、2人は凄いな…」
「そうか?」
「別に普通だと思うけど?」
「これ、あれですよ。羞恥心のハードルが下がり始めた奴ですよ」
「交際あるあるだよね?一緒にいればいる程、段々と耐性が出来上がっていく奴」
「姉さんがこんな風に男の人とイチャイチャするだなんて、7年前までは想像出来なかったな…」
「2人共、折角だからこのまま5人で回らない?」
「私はいいけど、アラタは?」
「そうだな。特に2人切りでする事も無いし、一緒に回るか」
「OK!じゃあ行こう!」
こうして一同は会計を済ませて店を出るのだった。
カフェを出た一同は、街中を歩き回っていた。
「この後どうする?」
「そうだな…ん?あれは…」
カイトが視線を横に向けると、ローブをはだけさせた少女が軽薄な男達に絡まれていた。
「ちょっ、やめて下さい…!」
「いいじゃん、いいじゃん!俺らと遊ぼうよ~!」
「…ごめん、皆。ちょっと待ってて」
「カイト?」
そしてカイトが一気に駆け出し、男の1人の腕を掴む。
「失礼。見た所、貴方方が嫌がる彼女に絡んでいるみたいですが…」
「あ?何だテメェは?」
「テメェには関係ねぇだろうが!?」
「そうだ、引っ込んでろ!」
男の1人がカイトに殴り掛かろうとした所に、目の前に光の剣が落ちてきて、間に差し込まれた。
「カイト君に手を挙げる様な真似は許さないし、何より、嫌がる女の子を無理矢理連れ回す様な真似は関心しないな」
シャーリーが話しかけてすぐにエミリアとアラタが残りの2人に剣を突き付ける。
「…ひ、ひぃ~!」
「逃げろ~!」
「あっ!?おいこら、待て!」
その姿に恐怖した男達も逃げ去り、エミリアとアラタも剣を納める。
「…大丈夫だった?」
「あっ、はい!ありがとうございます!」
「すぐに女の子を助けに行くなんて、お姉ちゃん関心したぞ!」
「やめてよ、お姉ちゃん…」
「でも、あの様子じゃあまだ懲りて…」
「エミリアちゃん?」
「ん?」
と、エミリアは自分に声を掛けてきた、その白みがかった金髪のストレートロングと碧眼の可愛らしい顔立ちの少女に目を向ける。
「やっぱりエミリアちゃんだ!見ない間に本当に綺麗になったわね!」
「…えっと、貴方は?」
「ほら、私よ!リーゼロッテよ!」
「…あぁ!もしかして、リゼ!?」
「うふふ。お久しぶりですわね」
そしてエミリア達も、一旦裏の空き地へと移動する。
「エミリアちゃん、しばらく見ない間に、こんなに美人に育っちゃうだなんて、本当に羨ましいわ」
「そう言うリゼだって、私とは違う方向性で、お人形みたいに可愛らしいお姫様になったわね」
「あらあら、エミリアちゃんからもそう言われると嬉しいわ」
「エミリア、彼女とは知り合いなのか?」
「あぁ、ごめん。彼女は私の幼馴染にして、リリネット王国第2王女、リーゼロッテ・フォン・リリネットよ」
「改めまして、私はリリネット王国第2王女、リーゼロッテ・フォン・リリネットと申します。以後、お見知り置きを」
と、リーゼロッテも優雅にカーテシーをして挨拶をする。
「リリネット王国って、確かアルテミシア王国の隣の国だったな?」
「えぇ、それでお互い同盟国として友好的な関係を築いていて、私達も昔はよく一緒に遊んでたんだけど、7年前の事件のせいで、疎遠になっちゃって…」
「あの時は私も心配しましたわ。急にエミリアちゃんが城からいなくなったせいで、外出も制限される事になっちゃったし、それでこの7年間ずっと会えなくて、本当に寂しかったんですからね!」
「あはは、本当にごめんって…。でも大丈夫。今の私はSランク冒険者だし、強い彼氏や仲間達だっているから」
「そうですわね。でもエミリアちゃん、自分から戦場に立つ様な子じゃなかった筈ですわよね?それが急に冒険者になって、戦場に出る様になって、しかも恋人まで作るだなんて、エミリアちゃんも随分変わりましたわね?」
「(ギクッ!)あ、あぁ、心境の変化って奴よ!ほら、怖い思いをした以上、自衛の手段くらいは持つべきだし、私も年頃の女の子だもん!色恋とか言ったロマンにも憧れる様にもなるわよ!おほほほほ…」
(恐らく、前のエミリアとの違いを言ってるんだな…)
(前のエミリア様を知ってる人…。これはまずいかもしれないよ、姉さん)
「そう言うリゼこそ、何で1人で歩いてたの?」
「実は私も、1人で色々見て回りたくて。エミリアちゃんの話を聞いて、私も1人で自由に動き回れる様になりたいなと思って」
「そうだったの。でも、外にはあんな男達もいるから、迂闊な事をしちゃ駄目よ。ちゃんと自衛の手段くらい持っておかないと」
「…そうですわね。私も反省しました。以後、気を付けますわ」
「さっきみたいな事もあるし、私達と一緒に行きましょう」
「はい、そうさせて貰います」
こうして一同は、再び街中を歩き回る事となった。
それからしばらくしてファルマータ宮殿に戻り、それぞれの客室へ戻る事となった。
当然、リーゼロッテはお説教である。
そして夕方の広間の1室にオズワルドが入ると、先に入っていたエミリア達と今日の成果を話し合う。
「待たせたな」
「それでお父様、会議の方はどうでしたか?」
「そうだな。近況報告については、皆これと言った内容は話してなかった。それでこっちでも、"天の笛"が関与していると思わしき事例に、それとなく口に出してみたが、これについても反応は薄かった。が、フォルソスの方は一瞬顔を引きつらせた。あれは明らかに何か知っている証拠だ。他の国については本当に気にしてない素振りだったが、いくらかが表情を作るのが上手いだけかもしれん」
「ありがとうございます。後はこちらでも探りを入れておきます」
「私達も書庫で伝説の武具を調べた所、まぁまぁの成果だった」
「アタシもゼシカ王女に連れられて仕入れた裏情報、あちこちに奴らの仕業らしき形跡も発見された。"天の笛"の連中、色んな所で実験したり、人を攫ったりしているみたいだ」
「そう、そっちもご苦労様」
「さて、話も済んだ事だし、皆で食事にしよう」
「そうですね。私もユフィを呼んできます」
「母上は俺が呼びます」
こうして一同は、ここでお開きにして夕飯の時間へと移る事にした。
それから時が流れて入浴の時間となり、皆で大浴場に向かう事となった。
男湯の方は、それぞれの筋肉等を確かめ合っていた。
「カイト、お前も身体が引き締まってきたな」
「そう言う兄さんだって、結構仕上がってるって」
「アルベルトも王子でありながら、かなり身体を作っているな」
「勇者の血族でSランク冒険者のアラタに比べたら、まだまだかな」
「しかし国王様、貴方も年の割に、服の下は凄かったんですね?」
と、アラタはオズワルドの年季がありながらも引き締まった筋肉を見やる。
「いや~、これでも若い頃は前線にも出てて、今でも筋トレを欠かさずやってるからな。はっはっはっ!」
と、オズワルドもその威厳のある髭面で笑い飛ばした。
女湯の方でも、お互いで身体の魅せ合いっこをしていた。
「…やっぱりお前ら、揃いも揃ってデカくねぇ?アタシ、一応これでもDだし、ネムもCだぞ?」
「まぁ、そうだよね。俺もFカップはあるし」
「私は色々大きくて、それでIカップになっちゃったからね」
「その点、エミリアはHカップな上に、色々と優れたプロポーションの絶世の美少女だもんね」
「ちょっと、あんまりじろじろ見ないでくれる?」
「やっぱりお姉様は綺麗ですね」
「あらあら、若い子達で随分盛り上がってるわね~」
と、入って来たエルメシアの身体に皆が見入る事となった。
「ス、スイカレベルの爆乳…!?」
「しかも、3人の子持と思えないくらいの抜群のプロポーション…!?」
「ゆったりとしたドレスの下にこんな凶器が…!?元々のエミリアの姉さんかと思えるくらいの若々しさとも相まって何とも…!?」
「ネムちゃ~ん、大丈夫?意識はある?」
「シャーリーお姉ちゃんのFカップも霞むくらいですし、私のCカップじゃあ話になりませんよ…!」
「うん、大丈夫そうだね。後、私は気にしてないよ~」
「本当、人間の女って…」
と、風呂桶の中でゆったりしているフィーナも呆れていた。
こうして、アルテミシアの夜の入浴の時間はワイワイ過ぎていくのだった。
1日目終了。




