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ショボい魔法しかない異世界に召喚されて‥世界ってどう救えば良いのですか⁉  作者: ノーネアユミ
2章

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46/52

46 収穫祭

 (いそが)しくしているとあっという間に秋が過ぎ去る。



 そして良く晴れた秋の日、収穫祭が行われた。



「今年は異世界の方々の尽力(じんりょく)で、例年より豊富な収穫をあげられた。町のみなで喜びを分かち合おう」


 広場に集まった人には酒がふるまわれた。

 出店も集まり、肉や果物を売っている。音楽が演奏され歌が歌われた。



 今日のためにニシカワさんは骨で出汁を取っている。

 センカも野菜を切るのを手伝う。



「カップを持って来て下さい! 異世界のスープですよ」


 1杯につき小銅貨1枚のスープは、初めは売れなかった。

 しかし数人が飲めば後は勝手(かって)に宣伝してくれる。


「何だ、このうんめえ汁は」


 客は次から次へと現れ、大鍋はからっぽになった。


 スープが売り切れたから、異世界組の出店は閉店。

 センカは広場をぶらぶらした。

 いつもは勝手に出歩けない町だけど、今日は護衛なしで自由にさせてもらえる。


(広場から離れなければいいんだよね)


 さすがに路地裏(ろじうら)とかは危険すぎて禁止されていたが。



 センカはウキウキで屋台を見て回った。


 売られているのはいつもよりカラフルな商品。装飾品や調理済みの食べ物が売っているのは(めずら)しい。

 普段売られているのは食材とか道具ばっかりだから。


 異世界小説の定番、串焼(くしや)きも買ってみる。

 肉は固いし味も薄いが、独特のうまみがあった。



 にこやかに見て回っていたセンカの足が止まる。


 楽器を奏でて歌っていたのはエイナルだった。

 センカ以外の人と一緒にいる姿は初めて見る。


「ああ、素敵(すてき)ねぇ」

「あ、あの」


 うっとりしている女性をつかまえセンカはたずねる。


「あの人誰なんですか」

吟遊(ぎんゆう)詩人だよ、知らないのかい?」


 吟遊詩人、言葉は知っていたが見るのは初めてだ。


(やっと職業が分かった)


 エイナルの雰囲気が不思議だったのは詩人だからかもしれない。



 彼を見つめていると、目が合う。

 クスッと笑うエイナルに、女性たちから黄色い声が上がった。


(この世界のアイドルなんだな)


 センカは豊穣(ほうじょう)を祝う彼の歌声に聞きほれた。



 歌が終わり、エイナルにも酒がふるまわれていた。

 センカは近づく。


「久しぶり」

「うん久しぶり。ふふ、この姿で会うのは初めてかな」


 エイナルはいつもより着飾(きかざ)っている。


「そうだね、他の人と一緒にいるエイナル、初めて見たよ。吟遊詩人だったんだ」


「まあね。今日みたいな日はみんな僕が見えるから」


 彼の言葉は大勢の喧騒(けんそう)にまぎれ、ちゃんと聞き取れない。

 聞き返そうとしたセンカの腕が、後ろから引っぱられる。


「やっぱり女の子だ。お嬢さん、男の子みたいな恰好(かっこう)でどうしたんだい?」


 知らない男だ。珍しくナンパされたみたい。

 肩までしかない短い髪も、ズボンをはいていることも、この世界の女性にはありえないからだろう。


「この子は僕の連れなんだけど」


 腕を振りほどこうとしたら、エイナルに顔を寄せられてしまった。

 白くてきめ細かい肌がすぐそばにある。


「ちぇ」


 ナンパ君はすぐ引き下がる。


「君はかわいいからね、目をつけられちゃうんだよ」


 異性に「かわいい」なんて言われたら、センカの顔はまっ赤になってしまう。


「向こうまでおくる」


 知り合いが広場の中央に集まっていた。

 センカが向かうと、エイナルは手を振って人ごみに戻って行く。



「異世界の歌を聞かせて下され」


 周りからはやし立てられ、日本人組みは歌を歌うハメになったようだ。


「何歌う?」

「この雰囲気に合う歌知らねえよ」


 ちょっと戸惑ったけれど、八人は紅葉(もみじ)を歌った。

 日本っぽいし季節的には問題ないし。


「あーきのゆーうひーにーてーるうやーまもーみいじー♪」


 センカは歌詞を覚えているかと言えばあやふやだったけど、何とか歌いきる。


 それなりに楽しかった。


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