第十九話 双子サキュバスの極上マッサージと魔王軍の機密情報
獣人国の首都はかつての活気を取り戻し歓喜の声に包まれていた。
広場には大勢の獣人たちが集まり僕たちの旅立ちを盛大に見送ってくれている。
「海斗様、我が国を救っていただいた御恩は決して忘れませんぞ。」
獣人王が深く頭を下げると周囲の民衆からも割れんばかりの歓声が上がった。
「アタシの国を助けてくれて本当にありがとうニャ。」
ショコラが僕の腕に抱きつきながら涙ぐんだ声で感謝を伝えてくる。
「気にしないで、またいつでも遊びに来よう。」
僕は彼女の頭を撫でてからグランドキャンピングカーの運転席へと乗り込んだ。
僕の【万物配送】によって生み出されたこの車は、異世界の悪路も立派な車輪で力強く走破できる頼もしい相棒だ。
日本で買いだめしていたわけではなく、このスキルのおかげでいつでも呼び出せるのが本当にありがたい。
大きく手を振る獣人たちに別れを告げ、僕たちは次なる目的地へ向けてアクセルを踏み込んだ。
日はすっかり落ちて夜の闇が周囲を包み込んでいる。
キャンピングカーを安全な平原に停め、僕は自室のキングサイズベッドで大きく伸びをした。
獣人国での激動の日々が一段落し、ようやくゆっくりと休める時間だ。
コンコンと控えめなノックの音が部屋に響いた。
「海斗様、起きていらっしゃいますか。」
「海斗、入ってもいいかしら。」
扉の向こうから聞こえてきたのは、すっかり僕に懐いた双子のサキュバス、カルミアとリリスの声だった。
「開いてるよ。」
僕が答えると、そっと扉が開き二人の艶やかな姿が目に飛び込んできた。
彼女たちは薄く透けるようなネグリジェ姿で、サキュバス特有の魅惑的なプロポーションを惜しげもなく晒している。
「夜分遅くにごめんなさいね。」
「でも私たち、海斗様に助けていただいた恩返しがしたくて来たのよ。」
カルミアが妖艶な笑みを浮かべながらベッドの端に腰掛けた。
「魔族秘伝の極上マッサージで、海斗の疲れをすっかり癒やしてあげるわ。」
リリスも反対側に座り込み、僕の腕に柔らかい胸を押し付けてくる。
僕は苦笑しながら【EP】を消費し、【万物配送】のウィンドウを展開した。
光の粒子と共に手の中に現れたのは、現代の高級サロンで使用される極上のアロマオイルだ。
「じゃあ、これを使ってくれるかな。」
僕がアロマオイルを手渡すと、二人は嬉しそうに目を輝かせた。
「まあ、なんて良い香りなのかしら。」
「さすが海斗様、これなら最高のご奉仕ができそうだわ。」
僕はうつ伏せになり、二人の柔らかな手が僕の背中に触れるのを感じた。
「んっ……すごく気持ちいいよ。」
サキュバスの指先には微弱な魔力が込められており、筋肉の芯から疲れが溶け出していくような不思議な感覚がある。
オイルの滑らかな感触と甘い香りが、僕の理性を少しずつ溶かしていく。
「ふふっ、喜んでもらえて嬉しいわ。」
「ところでカルミア、リリス、少し聞きたいことがあるんだ。」
僕はマッサージの心地よさに身を委ねながら、本題を切り出した。
「魔王城の正確な場所と、残る四天王の情報を教えてくれないかな。」
僕の問いかけに、カルミアの指先が少しだけ止まった。
「魔王城はここから北にある巨大な古代遺跡の奥底よ。」
「でもその手前には、厄介な罠が張り巡らされた広大なダンジョンがあるわ。」
リリスが姉の言葉を引き継ぐように口を開いた。
「そのダンジョンを支配しているのが、第三の四天王であるダークエルフなの。」
「彼女は私たち姉妹の親友でもあるんだけど、極度のオタク気質で陰湿な罠を作るのが大好きなのよ。」
オタク気質のダークエルフ。
異世界においてオタクという言葉が出てくるとは思わなかったが、何とも厄介そうな敵だ。
「そして魔王城の入り口を守っているのが、最後の四天王よ。」
「私たち幹部全員の師匠にあたる竜人族の女で、圧倒的な武力を誇る最大最強の敵だわ。」
カルミアが真剣な声で語るが、すぐにクスクスと笑い声を漏らした。
「でも師匠は最近、お肌のハリやプロポーションがたるんできたってすごく悩んでいたわね。」
「乙女の悩みは種族を問わず深刻なのよ。」
重要な機密情報をあっさりと暴露してしまう双子サキュバスは、完全に僕の陣営に染まりきっている。
「教えてくれてありがとう、すごく参考になったよ。」
「ふふっ、お礼は言葉だけじゃ足りないわよ。」
情報提供が終わると、二人のマッサージはだんだんと過激なスキンシップへと変化していった。
カルミアの豊かな双丘が僕の背中に密着し、リリスの細い指が僕の脇腹から下腹部へと際どく滑り降りてくる。
「海斗様、次は仰向けになってちょうだい。」
「私たちの愛で、全身をトロトロにしてあげるわ。」
言われるがままに仰向けになると、二人のサキュバスが僕の上に覆いかぶさってきた。
ほんのりと甘いフェロモンが充満し、健康的ながらも理性を激しく揺さぶる密着度に心臓が高鳴る。
「ちょ、ちょっと待って、これ以上は……。」
「遠慮しないで、海斗様の全部を私たちに委ねて……っ。」
カルミアの顔が近づき、その赤い瞳に魅入られそうになったその瞬間だった。
バンッという大きな音と共に、部屋の扉が勢いよく開け放たれた。
「ちょっと待ちなさい泥棒猫ども!」
「海斗くんを独り占めするなんて許しませんわ!」
激怒した沙織が純白のネグリジェ姿で乗り込んでくる。
その後ろには、由美さん、結衣、霞、セラフィナ、そしてショコラまでが勢揃いしていた。
「……抜け駆けは計算外。許容できないわ。」
「海斗くん、私にもマッサージさせてよね!」
「わらわも混ぜるのじゃ!」
「アタシのご主人様ニャ!」
ヒロインたちが次々とベッドに乱入し、静かだった夜の寝室は一瞬にしてドタバタの修羅場と化した。
「きゃああっ、何よあなたたち!」
「これは私たちの時間なんだから邪魔しないでよ!」
カルミアとリリスも対抗して僕にしがみつき、ベッドの上は美しい女性たちの香りと柔らかな肌で大混雑状態だ。
「みんな、落ち着いて!」
僕の悲鳴も虚しく、賑やかな夜は更けていく。
翌朝、騒がしい夜を乗り越えた僕たちは、キャンピングカーを北へと走らせていた。
ナビゲーションモニターには、古代遺跡らしき巨大な構造物の影が映し出されている。
「ここから先が、あのオタクなダークエルフの領域ね。」
由美さんがモニターを見つめながら眼鏡を押し上げた。
「どんな罠が来ても、僕たちの力で突破してみせよう。」
僕が力強く宣言すると、仲間たちも一斉に頷いた。
世界最大の物流国家建国への道のりは、まだまだ波乱に満ちている。
未知のダンジョンと新たな強敵が待ち受ける次の幕開けが、すぐ目の前に迫っていた。




