表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/25

手料理

 神社を出てすぐ、俺と籾ちゃんのお腹が鳴った。

「うーん、お腹すいたね」

 ちらっと昨日バイトしたメイド喫茶に目をやる。

 神社よりも遅くまでやっているのは、昨日体験済みだ。

「あ、でも、ここで食事は」

 俺は籾ちゃんの手を引いて、メイド喫茶のドアを開いた。

 すぐにまいちゃんがトコトコやってきて、

「お兄さんいらっしゃい~、籾ちゃんも一緒なんだ~」

 すぐに席に案内される。

 まいちゃんトレイを抱いて、

「ふふ~、籾ちゃんとデートですか~、写真を早苗ちゃんに転送しようかな~」

「まいちゃん、俺の敵?」

「ふふ~、優しくしてくれる人の味方です~」

 って、俺、籾ちゃんにちらっと目をやると、緊張の面持ちだ。

 どうかしたのかな?

 まいちゃんがお冷を取りにカウンターに戻ったのに、

「籾ちゃん、どうかしたの?」

「兄さんはご存じでは!」

「?」

「今、ここの店長は病気でいないんです」

「知ってるよ、昨日バイトしたから」

「店長の料理はいいんです、最高なんです」

「あー、だね、ケーキ、すごくうまい」

「その店長がいないんです」

「知ってる、だから料理はやめておけばって言ったよ」

「それなのに兄さんはここに食事に入ったんですよ」

 って、まいちゃんがお冷を持ってやって来る。

「まいは料理はダメなんです、わたくしもダメですが」

「ああ、そうなんだ、なんとなくわかるよ、米神荘の料理はひかりさんが全部やってるからね」

「だから……」

 籾ちゃんはまいちゃんに気を使ってか、しゃべるのをやめる。

 俺はグラスを置いたまいちゃんの手を捕まえて、

「お兄さん、どうしたんですか~」

 まいちゃんを強引に座らせると、俺はにやりと笑ってから、

「厨房借りるよ、俺のオムライス、食ってくれるよな」

「げっ!」

 籾ちゃんは嫌そうな顔をする。

「きゃーん、あたしアレ、食べてみたかったんです~」

 もう瞳が☆になってるまいちゃん。

「ど、どうしたの、まい!」

「お兄さんのオムライス、店長級なの~」

「そ、そうなのか!!」

 まず、ドアに「CLOSE」の札を下げてから厨房へ、

「一人前食べると家に帰ってからゴハン入らないからね、3人で分ければちょうどいいかなって」

「きゃーん、早くはやく~、お兄さんのオムライス~」

「まい、本当においしいのか?」

「お客さんにも~、好評だったよ~」

「客にも好評なのか!」

「ほら~、写真あるよ~」

 まいちゃんがスマホを出して、その画面を覗きこむ籾ちゃん。

 驚きの顔で俺を見ていた。

「兄さま、料理も出来るのですね!」

「俺、両親共働きだから、それくらい出来ないとね」

 って、急に頬を赤らめる籾ちゃん。

「ああ、わたくしの腐の部分がうずきます、料理の出来る男子が好きな男子の家で料理!」

 その男×男な妄想はすごい嫌だ。

 ああ、なんだろ、籾ちゃんが俺をうっとりした瞳で見つめている。

 まいちゃんの乙女の瞳は気分いいけど……

 籾ちゃんの腐女子妄想注視は嫌だな……

「あ、そうだ、これも食べてくれないかな?」

 俺、ちょっとここの店長さんにライバル意識。

 ケーキを作る時間はちょっとなかったんだけど、ホットケーキは余った材料でちゃちゃっと作っちゃったぜ。

 うん、今回のポイントは「生クリーム」。

 ここで食べたケーキの生クリームの味にどれだけ迫れるか!

 レシピはノートがあったのでマネできる。

 でも、あの味を出すためには、メモをマネするだけでは出来ないと思ってる、そんなもんだ。

 まいちゃんがオムライスを食べている間、籾ちゃんがホットケーキ。

「きゃーん、たまごふわふわでおいしい~」

「兄さんやりますね、ちょうどいい、絶妙な甘さです」

 って、二人はそれぞれ半分こするとバトンタッチ。

 まいちゃん完全に固まって、

「クリームの味~、すごいおいしいです~」

 籾ちゃん、オムライスを一口しただけで涙して、

「兄さん、どうしてこんなふわふわにできるんですか!」

 おお、なんかすごい好評でうれしい。

 でも、二人で全部食べちゃったぜ。

 俺、米神荘に戻るまでハラペコ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ