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【魔法少女リリカルなのは】「第一話それは不思議な出会いなの?」

【登場人物】

高町なのは CV:田村ゆかり

月村すずか CV:清水愛

アリサ・バニングス CV:釘宮理恵

父 高町士郎

母 高町桃子

姉 高町美由希

兄 高町恭也


【あらすじ】

「誰か力を貸して…魔法の力を。」

冒頭、黒い影に少年が襲われてるシーンから物語は始まる。魔法陣を描き応戦するが、黒い影の猛攻に虚しく倒れる少年。「なのは」はそんな夢を見ていた。

「なんか、変な夢見ちゃった。」

その後、一人で起きたことを父 士郎に褒められ、なのはが食卓につくと優しい母がご飯をくれる。兄と姉を呼んで家族円満の朝を過ごす。父も母も兄も姉も凄い特技があって、少しだけ自分との距離を感じてしまう。

そして友達も自分よりしっかりしているのを実感してさらに、

「自分にできること、自分にしかできないこと。」

を考える「なのは」の前に、昨夜の夢に出てきた林が現れる。そして聞こえる呼び声を求めて走り、ついに傷ついたフェレットを見つける。先生にフェレットを治療してもらってから塾に行き、家に帰る。そして家族にフェレットを飼っても良いかと尋ねる。OKをもらう。そして眠ろうと布団についたその時、再び聞こえる呼び声。

気づけば一目散にフェレット目掛けて走る「なのは」。喋るフェレットと黒い影。そのまま「なのは」は魔法少女になって…


【感想】

まず最初に思ったのは、作画が2004年にしてはかなり良いということ。「フェレット飼っても良い?」のシーンと夜道を走るシーンの二つが特に緻密であると感じた。

一方で、平成後期の覇権アニメ群に比べると第一話での掴みが弱かったように思う。というのも、かなり個人的感想だけど、パロディ要素が多いような気がし、物語における大きな転換がなかったと感じたからだ。

具体的には、最初のシーンの黒い影が映画「もののけ姫」(1997年)に登場する祟り神に似ているという所だ。なので、もののけ姫のイメージが強い人は既視感を感じると思うし、私も最初はそう感じた。しかし、思い返せば「朝霧の巫女」(2002年)でもああ言った黒い影のような敵は登場していたし、「黒い影」はそこまで独自性のある存在ではなく一般的に考えられていたものなのかもしれないので、パロディ要素が多いと感じた私の直感は間違っていると今書きながら思っている。

後者の意見である、物語における大きな転換がなかったというのは後程話すのだが、この作品は日常の描写を意図的に重視していると感じたため、その考察が正しいのであれば、「日常多め=大きな転換少ない」というのになるのは当然だと思うし、問題点でもないと思う。

最後に私は変身シーンが特にかっこ良すぎるし、可愛いと思った。素直に「気合いが入っているな。」という感想である。また、その後の黒い影の威圧のシーンが子供騙しのようで、かなり緩急がついているのだと感じた。ちなみに最近の作品は緩急があまりなくどれも同じくらいの作画技術であるからこそ安定しているが、一方で超作画をあまり見れないというジレンマもある。


【考察】

まず私が最初に感じたこの作品の魅力について話したいと思う。

それは、魔法少女モノなのに普通の女の子が出ている所だ。説明が難しいが、日常からスタートし、その日常に深みがしっかりとある所。そこにまず私は驚いた。


後年の「魔法少女まどか☆マギカ」では、魔法少女になるまでの時間は長いし、母親の葛藤も描写されているが、日常の中でのまどかの内情はかなり少ないと言っても良い。魔法少女という存在とまどか自身の心との自問自答が多めで、普通に暮らしていたまどかが考えるはずの悩みなどの描写がほとんどないと私は思っているのだが、この「魔法少女リリカルなのは」では逆に、日常生活におけるささいな悩みなどをうまく魔法少女に結びつけていると感じた。まず、日常があってそこに魔法少女がある。だからこそ日常に深みがあると感じた。


また、「なんか、変な夢見ちゃった。」から始まる日常。そして家族構成の説明描写。この説明を「なのは」が行なっていることに実は大きな意味があるのではないかと私は考えている。

というのも、「なのは」は家族や友人に対して距離感を無意識にでも少し感じているはずなのだ。それが後半の展開でより強く描写されるのだが。

この家族説明を「なのは」自身が行うことで、説明している間の「なのは」の思いの丈が声のニュアンスでそのまま反映されているところが上手い。兄の凄いところを説明する時の声が少し妬けていたりなどの微妙な感情の推移を本当にうまく表現している。


また、自分は「説明する側」、そして家族みんなは「説明される側」という分離構造が自然と生まれるのだが、これによって「なのは」個人と家族との距離が少し開いていることを無自覚に私たちは感じてしまう。


もし、「なのは」自身も家族も別の誰かに説明されていたならば、「なのは」もこの家族の一員なのだという受け取り方をされるわけで、「なのは」が家族に対して少し妬いているのを表すことがこの説明描写では出来なくなってしまう。

なので、この家族設定を主人公がするというのはオーソドックスなのだが、このシーンでは更なる意味、「なのは」と家族との分離構造を持たせているのではないだろうか。


また、塾への近道で「なのは」がフェレットを見つけるシーンで重要な部分を私はあまり読み取れなかったが、実はフェレットが一度起き上がってから「なのは」の指を舐めるシーンは結構重要だと感じている。


「なのは」に対して懐いている描写でもあるが、私は別の意味もあると思った。

それは、少しシーンは飛ぶが、『眠りにつこうとした「なのは」が呼び声を聞きながら一度ベッドに倒れる』シーンと、先ほどの『フェレットが倒れる』シーンの構図が非常に似ている所だ。フェレットも力尽きて倒れたし、「なのは」も力尽きてベットに倒れた。この構図の一致が、フェレットと「なのは」の結びつけへを、セリフや展開だけでなく構図という観点でも補強していると感じたのだ。


【考察後半】


最後に二つ話したいことがある。

それは、父がペットをOKした理由と魔法少女になる際の呪文の内容についてである。


「ペットを飼っても良いか?」という「なのは」の問いかけにOKを出した父。家族も納得していたが、普通小学3年生が突発的にペットを飼いたいと言い出せば、たとえそれ相応の理由を「なのは」が持ってきていても、飲食店であるなどの理由をつけて止めるはずなのだが、止めなかった。普通なら止める流れなのに止めなかった。ここに何か面白い背景があるのではないかと思った。

「なのは」が自分と家族に少しだけ距離がある、もしくは自分に自信があまりないという感情を持っていたことを両親は必ず気づいているはずである。

というのも、小学3年生は感情が顔に出やすいのだから。「自分にできること、自分にしかできないこと。」を考える「なのは」への家族なりの思いやりだったのではないだろうか。


実際、第一話での「なのは」の個人的な悩みが、「自分にできること、自分にしかできないこと。」だったのだが、これを魔法少女になるということで払拭するのではなく、フェレットを自分で飼うという行動で払拭しているのだ。

つまるところ、魔法少女にならなければ、私は「自分にできること、自分にしかできないこと。」という悩みを解決できていなかったのではなく、魔法少女にならなくても、フェレットを自分で飼うことで、「自分にできること、自分にしかできないこと。」という悩みを解決できていたというのが重要なのだ。


この作品は、魔法少女という存在に頼っているのではなく、あくまで日常の中でも「なのは」は正しく成長できるが、たまたま魔法少女という使命であったり希望を彼女に背負わせてみたという構造になっているのではないだろうか。


だからこそ、私が最初の感想で言った言葉である、【「魔法少女リリカルなのは」は、魔法少女としての少女ではなく、日常生活に溶け込んだ少女が魔法少女になったよ、と感じた。】という感想が生まれるのだ。魔法少女である「なのは」の前に、普通の悩みを持つ少女としての「なのは」がいる。

魔法少女にならなくても成長できる「なのは」だけど、魔法少女になってより色んな事を知る。魔法少女が平凡な彼女の世界をより広げてくれる。

そんな思想が根本にあるのではないだろうか。



そして二つ目の呪文の言葉についてである。


「我、使命を受けし者なり。契約の元、その力を解き放て。風は空に。星は天に。そして不屈の心はこの胸に。この手に魔法を。レイジングハート。セットアウト」


「AはBに。」という文章構造が複数見られる。ちなみに、Aが具体物、Bが場所を表しているように読める。すると、「この手に魔法を。」だけ、「AはBに。」の構造を反対にした、「BにAを。」という構造になっている。

「手」が場所で「魔法」が具体物という捉え方ができるのだろうか。

けれど少なくとも、情報量が少なすぎるのでなんとも言えない。

手が魔法を使うのに主要な場所であるとするならば、なぜステッキがあるのだろうか…やはりこの呪文の真意は別にありそうである。


【総括】

初めて見ました。第一話をみた現状での考察となりますので、あくまでも個人の言葉だとして受け取って欲しいです。かなり面白かったので、時間が許す限りまた二話の考察を出そうと考えています。





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