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同人誌 「慧音の頭突きの痛さが異常」

昨夜読んでから一晩経って学校に行って昼休みになって、そして今思い出しながら書いているので不明瞭な点が複数あるかと思いますが、ご了承ください。


【作品の詳細】

題名 慧音のずつきの痛さが異常

作者 六草

原作 上海アリス幻樂団

発行 ハコベラ

発行日 2012年05月27日

印刷 株式会社ポプルス

Pixiv ID 101945


【主な登場人物】

上白沢慧音

藤原妹紅

蓬莱山輝夜


【あらすじ】

輝夜と殺し合いをすることを叱る慧音が妹紅に頭突きする。そして、妹紅はなぜ慧音は私に構うんだと尋ねる。それに半ば逆ギレのように慧音は熱く反論をする。そこに愛が隠れている。

けれど輝夜に慧音を馬鹿にされてまた妹紅は殺し合いをしてしまう。

満月によりきもけーねと化した慧音は妹紅の殺し合いの理由を悟り、そこに感謝しつつも頭突きをして閉幕という流れ。


【感想】

各キャラの表情が豊かでかわいかった。百合すぎず淡白すぎず、故意な描写も少なく感情の表現が巧みであった。

また、「慧音が妹紅に頭突きをする理由」というのを宿題として妹紅に与えており、テーマの提供がかなり露骨でそれが難点とも捉えられるが、私にとっては話が整理できるので良いと思った。


【考察】

題名の「慧音のずつきの痛さが異常」というのが少し本題からズレているように感じた。

今回の話のテーマは「慧音が妹紅に頭突きをする理由」なのだ.その場合、「慧音の頭突きの理由は何?」とかでも良いのかなと思ったりもする.

しかしこの題名はかなり考えられていて、語呂の良さが格別であるし、内容を間接的に表しているため実際に読んでみて題名の通りの展開だなぁということもないので良いのかもしれない.


こう言ったものは多くの場合主要キャラクターだけで世界観が閉じてしまう問題が生まれがちである.今回で言えば妹紅と慧音の二人の関係性を描くあまり他キャラが登場せず、閉じた作品になってしまうということだ。逆に大勢のキャラクターを出すと、彼らが作者の代替となって物語を進める記号となる可能性が高くなり、キャラ性を重視した上で大勢のキャラクターで物語を進めるのはひどく難しい。


この作品では、主要キャラクター二人中心に物語は進めているが、他キャラも登場し、主にギャグやネタ的な役割をそれらははじめから持っている。それにより物語が途中でぶれたり、世界観が閉じたりもしていない。また、その中で蓬莱山輝夜が主要キャラクターと他キャラの中間の役割を持ち、世界観が単純になっていないことも良い点である。


また宿題として、「慧音が妹紅に頭突きをする理由」を提示しているのは単に話の整理の役目だけではない。同人誌は比較的短く、さらに二次創作の場合は世界観を再構成したりするよりかは、短い尺で人間性の機微を示すことが主要となってくる。

そんな中で、読後で何がこの同人誌では起きていたのか、というのが曖昧であればその同人誌に特異性を感じられず、数ある同じ作品の二次創作として処理されるだけになる。

そういう面で、「慧音が妹紅に頭突きをする理由」というのをテーマに持ってくることでこの同人誌の実態を端的に読者に突きつけているとも考えられ、この同人誌の特異性が保証されている。


以上がかなり抽象的な内容になる。

今から家に帰って、詳しくストーリーを読み返したいと思っている。


帰宅した.もう一度読み返した.


【考察2】

読み返して感じたことだが、やはりこの作品は短編として完成されている.初め、タイトルの通り慧音に妹紅が頭突きをされるところから始まる.非常にコミカルな冒頭で引きも強い.そしてその次に慧音による輝夜と妹紅の殺し合いへの苦情の読み上げが行われる.ここでは長めの文章を用意しているが、慧音は真面目に淡々と読み、妹紅は大袈裟に謝罪したりツッコミを入れたりしている.

この長めの苦情の文章をちゃんと載せていることが重要で、この長い苦情の文章が【考察1】でも言ったようにここでこの同人誌における幻想郷ひいては「もこけーね」の関係性がどんなものかの説明になっているのだ.作品のストーリーに厚みが生んでいるのだ.


また、第三者の意見を入れることでその話に真実味が生まれると言うのは民話伝承における典型的な手法だが、ここでも第三者の苦情という要素で正しく使われていると思う.

そしてその後の展開で、霊夢の貧乏性と昨夜の貧乳を妹紅のせいにした限界論理を慧音が真面目な顔をしながら披露する展開になっているおかげで、先ほどまでの苦情の読み上げだけで終わらず、最終的に妹紅によるツッコミで会話が一段落つけれている.

これにより、慧音が常に正しいことを言うだけの存在と化していないので、あくまでも慧音と妹紅が対等な立場であろうと言うことを示すことに成功している.

また、ここで霊夢や昨夜さんのシーンも少しだけ挿入したことで、「ここは幻想郷世界ですよ.」というのがより想像しやすくなっているし、先ほどの言葉を借りると作品のストーリーに厚みが出ているとも言える.


もしこのシーンで慧音が輝夜と妹紅の殺し合いへの苦情をただ読み上げるシーンだけだったのであれば、慧音が説教役、妹紅が受け身役と捉えられがちになるし、ただ二人が話しているだけの閉じた世界になっていただろう.


ここは話の最初と言うのもあって閉じた世界にしないことが重要であり、かつ慧音と妹紅の友達以上恋人未満の関係性の話なのでできるだけ対等な関係で物語を進めたいというのも重要であり、どちらも同時に成立させているのがこのシーンが特に優れていると感じた理由だ.


そして短編において重要な部分が実はまだ1つあるのだが、この作品はそれも描いているのだ.

それは何か?

話のテーマは「慧音が妹紅に頭突きをする理由」だが、なぜ頭突きをするのかといえば「妹紅は不死身で死なないけれど、それでも妹紅が痛がるのが嫌という慧音の個人的な気持ち.」さらに言えば「慧音のわがまま」であるというのが作品における答えであるが、実は肝心なところが一つ抜け忘れている.


それは、「なぜ、妹紅は慧音に注意されても殺し合いを続けるのか?」である.ここまで限定的でなくとも、殺し合いの様子であったり、どんなふうに始まってどういうふうに終わるのかは実際に見てみたいものである.


そうでないと、「殺し合いというけれど実際にどのレベルで殺し合っているの?」というように内容が非現実的なものゆえ、言葉としてしか登場しなかったのならば「殺し合い」という言葉自体に重みがなくなってしまう.机上の空論ほどではないが、読んでいても実感として来な苦なってしまう.


だからこの作品では中盤から殺し合いの相手である蓬莱山輝夜との邂逅から輝夜による挑発、そして事後まで描いている.これにより殺し合いへの読み手の解像度が一段と上がる.


ここは「当たり前でしょ.」と思われがちだが、案外抜けていることが多かったりする部分で、読者を置いてけぼりにしないという面では非常に重要な部分だと考えている.


【終わりに】

以上で【考察2】を終わろうと思います.

今度も同人誌を読むつもりです.氷菓は時間に余裕がある時にまたゆっくり観て書くつもりです.

次も東方の同人誌を読むつもりです.



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