【魔法少女リリカルなのは】「第12話宿命が閉じる時なの」予想と感想と考察
【予想】
ここで書くのは私がこの12話のOPが始まる前の今回の話の予告映像のような46秒弱の冒頭を見て思ったことを書く部分である。
「なのは」が紡ぐ言葉と共に流れる映像たち。これを見て思ったことがある。
おそらくこうなるのではないかと言う展開の予想だ。聞いてほしい。
フェイトは時空管理局のベッドで休んでいる。その間に「なのは」はプレシアのいる城へ突入する。城の様々なトラップを抜けて進みプレシアの元まで辿り着くが、そこで破れてしまう。倒されそうになる寸前、フェイトが助けに来る。
ずっと前まで好いていた自分の母親を目の前にしてフェイトは動く。その原動力は裏切りへの復讐か親殺しの怒りか。いや恐らくそれらではない。寂しさ、だろう。
プレシアは悲しい人だった。
そばにいる「なのは」に若干心を開いて、母親に立ち向かうはずだ。
そして、母親がフェイトに対して甘い言葉を投げかけて命乞いをするが、それを振り切って自らの手で母親を下す。そう言う展開ではないだろうか。
その後どのようにしてフェイトが幸せになるのかはわからないけれど、多分12話はそう言う話なのではないだろうか。
そして13話。「なまえをよんで。」と言うのが題名。これにかんしてはずっと、「なのは」に心を許したフェイトがついに「なのは」の名前を呼ぶ、そういった意味だとばかり考えていた。しかしこれまでの展開から実は別の意味があるのだと思うようになった。
フェイトというのはプレシアが使ったアリシアの人造人間の実験コード番号だ。そうでない、もっと別の彼女本来を指す名前。目の前にいるフェイトの名前を"なのは"に呼んで欲しい、という意味なのではないだろうか。
なんせまだ12話のOP曲以降を全く見ていないのでただの妄想に過ぎないのだが、それでも今の感情を残しておきたいと考えた。
以上予想である。
【感想】
ん?
これはどう言う話だったのだ?という疑問が視聴後の私の頭を占めていた。と言うのもこの疑問とは全てフェイトに関することである。
【考察 ①病床でのフェイト】
最初、虚な目になっていたフェイトは病室に運ばれる。その後アルフが虚な目をしたフェイトに言う。
「すぐ帰って来るよ。」
「そんで全部終わったらゆっくりでいいからあたしの大好きなほんとのフェイトに戻ってね。」
「これからはフェイトの時間は全部フェイトの自由に使っていいんだから。」
魔法少女リリカルなのは第12話より
その後、すぐにフェイトの目は元に戻り独白が行われた。ここで疑問に思うことがある。
なぜアルフがいた時には虚ろだったのだろうか。アルフが去るとすぐに目を覚ましたのか。
どれだけ考えてもわからない。感想で示した困惑の理由の一つがこれである。
かなり無理矢理でもいいのであれば、アルフが去った後、かなりの時間が経ったが、その部分はカットされてしまったという理由。眠っている部分を流すわけにもいかないからと言うことで、結果的に間髪なしに目を覚ます展開になってしまったのかもしれないと言う推測だ。
また、アルフのセリフを読み取るとするならば、アルフは母親に仕えるフェイトを求めているのではなく、より自然な少女としてのフェイトを待ち望んでいるのかもしれない。それがアルフにとっての「ほんとのフェイト」なのだろう。
その後、フェイトの独白が流れる。
「母さんは最後まで私に微笑んでくれなかった。」
「私が生きていたいと思ったのは母さんに認めてもらいたかったからだ。」
「どんなに足りないと言われてもどんなに酷いことをされても。」
「だけど笑って欲しかった。」
「あんなにはっきりと捨てられた今でも、私、母さんに縋り付いている。」
魔法少女リリカルなのは
これは以前私の考察で考察していた内容の答えであり、ここも重要なので考えたい。
私の考察では、母親のためにいろいろなことをする理由は、フェイトは母親が好きであったから。その好きという感情はアリシアの記憶が原因。アリシアは母親に愛されていた。同様にアリシアも強く母親を愛していた。その記憶がフェイトにもあるからこそ、フェイトはどれだけ辛くても結局は母親の笑顔を見たい、と言うような思いになるのだろう、と。
その考察はあながち間違いではなかったようだ。
母さんに認めてもらうために辛くても頑張った。と言う発言の後に「だけど笑って欲しかった。」と言うのが続く。
正直、認められると言うのは自分が母親のそばにいて良い理由を作るためであるが、もっと本質的な思いは「笑って欲しかった。」なのだろう。
またこれは、プレシアがアリシアのことを褒めてフェイトを落とす時に用いた、「アリシアは笑ってくれた。」と言う悲痛の念と対比になっている。
【考察 1.5 病状のフェイト】
「生きていたいと思ったのは母さんに認めてもらいたかったからだ。」
「それ以外に生きる意味なんかないと思っていた。」
「それができなければ生きていけないんだと思っていた。」
魔法少女リリカルなのは第12話
この文章もまたフェイトの独白でつぶやかれる言葉である。
ここには、彼女が今まで生きてきた理由、生きることへの考えが如実に描かれているように思う。
先ほどと同様以上に母親への愛を感じられる。
「生きていたいと思ったのは母さんに認められたかったから」
というのは生きる理由でも生きる目的でもない。
生きていたいと思った理由である。つまり生きがい。より彼女の思いを透かしている。能動的に自分が思う、生きたい理由こそが母親に認められたかったから。恐ろしいほどに母親への愛が読み取れる。
しかしこれらの文章は全て過去形で語られている。つまり今までの自分。母親プレシアに断絶される前までの自分の考えなのだ。
そして"なのは"がフェイトに向けた言葉が反芻される。
「捨てればいいってわけじゃない。」
「逃げればいいってわけじゃ…もっとない。」
魔法少女リリカルなのは第12話
捨てると言うのは恐らく役目であったり責任というようなものであろう。逃げるというのも同じような言葉が当てはめられそうだ。
捨てるはそれを切り離す主導権が自分にあるというニュアンスがある。一方、逃げるというのは行動の主体は自分だが、そんな状況にしているのは他者という点で主導権が自分にはないというニュアンスがあるように思われる。
つまりここでは、
「逃げること、つまり自分に主導権がないまま終わるのは捨てることよりもやめるべきだ」
という言葉のように捉えられる。
そしてこの後、終盤でのフェイトによるプレシアへの問いかけの考察でこれがとても重要になってくる。
【考察② ほんとのわたし]
「私の私たちのすべてはまだ始まってもいない。」
これがこの後語られたフェイトの言葉である。誰かの言葉を反芻しているようだ。先ほどからの接続で行けば、"なのは"が言った言葉のようだが、私が忘れてしまったのも含めてそうであろうという所で押さえておきたい。
そしてこれに対してフェイトは、若干反発の意を示した。本当に始まってすらいなかったのかな、という軽い反発心だ。
フェイト自身はジュエルシード集めに際してもずっと必死に頑張ってきた。それがスタート地点にすら立っていなかったと言うのを認めたくないのも分かる。ただこの言葉における始まりというのは恐らく"なのは"とフェイトの関係だろうからまた少し違うのかもしれない。
その文脈で考えてみると、彼女自身はもうすでに"なのは"をある程度自分と関わっていたと考えていた、と言うことが推測できたりもする。
その後立ち上がったフェイトはバルディッシュを抱えてこう呟く。
「そうだよね。バルディッシュもずっと私のそばいいてくれたんだよね。」
「お前もこのまま終わるのなんて嫌だよね。」
「うまくできるかどうか分からないけど、一緒に頑張ろう。」
「私たちの全てはまだ始まってもいない。」
「だからほんとの自分を始めるために。」
「今までの自分を終わらせよう。」
魔法少女リリカルなのは第12話
これは先ほど否定的に捉えていた、「私たちのすべてはまだ始まってもいない。」という言葉の続きである。
「ほんとの自分」という言葉。これを始めるという目的のために「今までの自分」を終わらせる。
今まで生きたいと思えた理由やその他諸々の母親に関することをすべて終わらせ、ほんとの自分を勝ち得るという言葉の重みを誰が量り取れようか。
そしてこの後、"なのは"と合流したフェイトは「二人で一緒に戦おう。」という旨の発言をする。重要なのはもちろん「二人で」である。先ほどのフェイトの独白にも「バルディッシュはずっとそばにいてくれた」というのがある。ここではフェイトが一人ではないことを示しているのだと思われる。
孤独だったフェイトではもういない。孤独だったフェイトは過去の自分だ。新しい自分にはそんなものはない。それを自分から言っているのかもしれない。
【考察 ③成長と縋ることの対比】
フェイトが新しい自分になろうとして考え方も変わっていく中、何も変わらない人物がいる。そう、フェイトを作り出したプレシアだ。
フェイトが前を向いて孤独から抜け出した直後、眠るアリシアをじっと眺めて語りかけるプレシアが映る。過去から抜け出せず、過去の過ちをなかったことにさえしようと考えている彼女はフェイトと真逆の存在だ。この対比が両者の対比となっている部分をそれぞれより強く強調しているように思われる。
【考察 ④"なのは"とフェイト】
その後、以下のような描写が行われた。
"なのは"がフェイトに歩み寄る。
「私…その…うまく言えないけど。」
フェイトの手を取り顔をむき合わせる。
「頑張って。」
フェイトは目を瞑ってから目を開いて"なのは"を見て言う。
「ありがとう。」
魔法少女リリカルなのは第12話から
恐らくたとえ「ほんとの自分」に変わろうと思い行動していたとしても、"なのは"がそんな自分を受け入れてくれなければ難しかっただろう。
一緒に共闘したとはいえ、"なのは"が自分にいつまで愛想をつかせてくれるか分からない恐怖もあっただろう。
そんな中、"なのは"がフェイトに「頑張って。」と言う。その言葉にどれだけ勇気づけられたか。視聴しながら私自身も勇気づけられたほどである。フェイトにとってどれだけ心強かったか。
それからフェイトも"なのは"にしっかりと返答している。以前のフェイトでは考えられないことである。
本気でフェイトが「ほんとの自分」になろうとしているのが伝わってくる。
【考察 ⑤"なのは"とユーノ】
駆動路を守る大量の傀儡兵を前に、なのはを守ろうと前に出るユーノ。
なのははそんなユーノのもう一歩前に出て、ユーノへの感謝を伝える。
いつも一緒にいて、守っていてくれたこと。
背中がいつも温かいから、だから自分は戦えること。
魔法少女リリカルなのは公式ホームページ第12話
これも孤独ではないということを示しているように思われる。フェイトは自分は母親だけしか生きる意味がないと思っていたと言うことの反証のようなものとして、自分の周りにいてくれた様々なつながりを意識するようになった。
それに釣られたのか、"なのは"もユーノに対して繋がりを意識したような言葉を投げかけたのかもしれない。
また、"なのは"はユーノとのお別れがもうすぐ来るというのを直感で感じたからこそ、その感謝を伝えたかったのかもしれない。
【考察 ⑥フェイトとプレシア】
そして、たたずむプレシアのもとにフェイトが訪れ、自らの想いをこめた言葉をかける。
迷いを捨て、まっすぐに自分の意思を示して指しだされたフェイトの手を、だが、プレシアがとるとこはなかった。
プレシアは、自らが願った「ただひとつの幸せ」とともに、虚数空間へと落ちていった。
庭園は、崩壊を始めてゆく…。
魔法少女リリカルなのは公式ホームページ第12話
「あなたに言いたいことがあって来ました。」という言葉から始まったフェイトによる母親に向けた言葉。
それは先ほどの言葉に則っていると思われる。
「捨てればいいってわけじゃない。」
「逃げればいいってわけじゃ…もっとない。」
魔法少女リリカルなのは第12話
逃げないために主導権はあくまで自分のものとする。けれど捨てればいいってわけではない。このままプレシアを捕縛するだけではプレシアから逃げたことと同義だ。そうでない行動こそが対話だったのだろう。
きちんと自分の思いから逃げずに、自分が持つ母親への思いを単に捨てるだけではいけない。どれだけ難しく大変なことか。
「私はアリシア・テスタロッサではないのかもしれません。」
「あなたの作ったただの人形なのかもしれません。」
と言う言葉には自己の定義を大きく揺らす発言を受け入れる準備がすでにできていることを示す。そのような受け入れ難い事実を一度提示して、それから本音を言う。
「だけど、私は。フェイト・テスタロッサはあなたに生み出してもらって育ててもらったあなたの娘です。」
この言葉をプレシアが受け入れるとは誰にも思えない。故にこれはフェイト自身が思う自分の定義を言っただけなのだ。
そのことに対してプレシアはどう思ったのだろうか?
プレシア「今更あなたを娘と思えと?」
フェイト「あなたが、それを望むなら。」
「それを望むなら私は世界中の誰からもあなたを守る。」
「私はあなたの娘だからじゃない。あなたが私の母さんだから。」
プレシア「くだらないわ。」
魔法少女リリカルなのは第12話
ここに来てようやくフェイトの真意がわかったように思う。考察を書くまでは本当に全く意味がわからなかった。フェイトは「ほんとの自分」になろうとしている一方でなぜここまで母親に未だ依存しているのか、それが全くわかっていなかった。
しかし今ようやく気づいた。フェイトのこの発言がすべてを表している。
「あなたが、それを望むなら。」
「それを望むなら私は世界中の誰からもあなたを守る。」
「私はあなたの娘だからじゃない。あなたが私の母さんだから。」
魔法少女リリカルなのは第12話
これは母親に依存しているという意味ではない。母親に自分を娘だと思って欲しいという意味ではない。
ただ、あなたは私の母親である。それを言っているだけなのだ。
あなたが私の母親だから、あなたが私を娘と思うなら私はあなたを守る。
それは親子として当然の関係。
プレシアは逃げた。所詮、アリシアではないと言って、フェイトが自分の娘であるという事実から逃げてしまった。フェイトを捨ててしまった。
フェイトは逃げなかった。娘ではないと言われても逃げなかった。プレシアが自分の親であるという事実から逃げなかった。
あなたは私の母親だから私はあなたの笑う顔が見たいし、あなたが私を娘と思ってくれるのなら私はあなたを守る。
それは親子としての当然の関係。
たとえフェイトがアリシアでなかったとしても、娘であることに変わりはない。
いくら母親に拒絶されても、だからと言って今までのアリシアの記憶がなくなるわけではない。フェイトにとってプレシアが親であることに違いはない。
フェイトは母親にまだ未練を感じているのではない。
私はあなたの娘だ、と言わず、あなたは私の母親だ、と言った。
親子なのだ。そこに最後まで責任を持つ。親子であるということから逃げていない。
そこにフェイトの強さがある。
プレシアを突き放して、母親の束縛から逃げることもできる。
けれどそれをしなかった。それは逃げであり捨てることだから。
だから逃げずに捨てもしない行動を選んだ。
本当に強い。
そう思った




