自己紹介
突然だが自己紹介をしよう。
俺の名前は高柳泉。名前から分かる通り、2026年2月28日まで日本で高校生をしていたただの一般人だ。
部活はしておらず、趣味という趣味もない。強いて言うなら自転車と電車で片道50分のところにある本屋で色々なジャンルの本を読み漁ることくらいしかない。高校を卒業した後もこれまでのように平々凡々な人生を歩んでいく。その瞬間がやってくるまでそう思っていた。
卒業式を終えた俺は、両親がわりにこれまで育ててくれた祖父母の家に帰っていた。その道中に中学から合わせて6年間何かとお世話になった神社がある。
『竜頭神社』。かつてこの地で多大なる信仰を集めていたらしいが、今ではその面影なんて一切感じないほどに廃れきっている。代わりに近所の子供たちにとって良いたまり場、遊び場と化していた。
高校卒業後、都会の大学に進学することが決まっていた俺はしばらくこの地に戻ることもないだろうと少しばかり寂しい気持ちを胸に、神社に続く長い長い、それは長すぎる階段を上り始めた。しかし上れど上れどいっこうにたどり着かない。それどころか上を見上げても階段の終わりまでの距離は変わらず、おかしいと思いながらも足を止めずに上り続ける。そして気が付いたときには…。
なんと見知らぬ地にやってきていたのだ。
肌で感じる兆候は一切なかった。あえて口にするならやはりあの長すぎる階段だろう。そしてそこからは早かった。
階段を上りきったところにあったのは崩れ落ちた建物らしきもの。それが竜頭神社でないことを確認した俺は、恐怖と混乱の中で転がり落ちる勢いで上ったばかりの階段を駆け下りた。そこで出会ったのがこの世界の命の恩人、聞いたことも無い海興王国という国の王子である高朱光様と、その御方が率いる一行だ。
色々と戸惑いまくる俺は朱光様と、その傍を守る老人に事情を説明した。するとまったくこちらの事情が理解できない老人は怪訝な表情で、一方で幼い朱光様は目をキラキラと輝かせながら俺の同行を許してしまったわけである。当然だが明らかに怪しい俺を他の一行の方々は大反発。俺だってこんな怪しい奴、そちら側だったら反対したはずだ。
しかし老人が他の人々を宥め、朱光様の決断が揺るがないものだと判断されて渋々認められた。
ただこの時の俺は何も分かっていなかったのだ。どうにか安全を確保できた俺が連れてこられたのは、腰を抜かすほど立派な都市の中心にある建物。所謂王宮と呼ばれる場所に連れていかれたのだから。
続いてこの世界の紹介をしよう。今現在理解している範囲でしか無いが、この地は海興王国という名の国家であるとのこと。国の歴史はかなり浅く、初代の国王が朱光様の父親である高白麗様という人物。俺に身の安全を約束してくださったあの御方だ。元はこの王宮よりももっと北の地を治めていた小領主であったらしいのだが、白麗様の父親の死後に勃発した高家の御家騒動とそれに関連した周辺諸領主の戦いに勝利した結果、たった数年で巨大な国を作るに至ったとのこと。それが現在の海興王国の前身である海興国の始まりだった。
そんな海興王国は太陽大陸の南部に位置しており、南には広大な海と交易によって栄えるいくつもの島々、東には数多の少数国家、北には大陸を東西に分断するようにそびえる山脈、西につい先日まで戦争状態にあった燕国がある。燕国とは国境部に位置する穀倉地帯を巡って長きにわたって争っているとのこと。
太陽大陸の一番栄えた地にはこの大陸を守護する帝なる人物がいるらしい。
ここまでのイメージでは日本と中国の歴史を足していくつかで割った感じなのだが、その両国の歴史の中でも太陽大陸や海興王国なんて国家は聞いたことが無い。
そこまで整理してようやく俺が入り込んだ世界は異世界なのだと確信することが出来たのだ。
果たして俺は元の世界に戻ることが出来るのか。そんな言い知れぬ不安に襲われながらも、王宮での居候生活を続けている。
あの一件がターニングポイントになるなんて、今の俺は知る由も無かった。
今投稿も最後までお付き合いしていただきありがとうございます。
次回投稿は未定です。更新をお待ちくださいm(_ _"m)




