7-21
「ちょっとレーツェル。それどういうこと?」
「いやー、黒いドロドロが出てきた辺りでおかしいなーって思ってたんだよね。……あのごめんリリーシャ。アイアンクローはやめて。痛い痛い痛い。頭パーンってなっちゃう。僕の頭パーンってなっちゃう」
レーツェルの小さい頭を鷲掴みにして、指に込める力を強めていく。頭蓋が軋む音が聞こえてきそうだ。
「スイカみたいにカチ割られたくなかったら、説明して。でないと――」
「わかったわかったってば! ボーリョク反対!」
よく言うよ。そう思いながらリリーシャは、指先が赤くなってきたその手を離す。
痛む頭をさすりながら、レーツェルはぽつりぽつりと話し始めた。
「僕の呪い、ライ麦畑の首無し死体は精神干渉型なんだ。自殺願望を増大させて精神を徹底的に壊しちゃう。喉を掻っ切る自殺ショーが見られるって楽しみにしてたのに……」
「じゃあ目の前で起こってる悪夢はいったい何なのよ」
「僕の呪いは絶対だ。弾かれることなんて絶対に万に一つもあり得ない。だけどその一つが存在するのなら、きっと――」
「何よ?」
レーツェルはニタリと笑む。
そして自分の仮説をつまびらかに説明してみせた。
「アイリス・リベルテは最初っから呪われてるんだよ。僕らと出会うずっと前から」
いつ? 誰に?
闇が暗い翼を翻す。
その翼は、黒い鷲のような形をしていた。




