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陽の光は浴びると健康に良いが、虫眼鏡で一点に絞ると紙すら燃やせる熱量となる。
実は同じ理屈を音でも再現できる。音も電磁波も厳密には同じ振動にすぎない。
高らかな歌声は極めればガラスだって割れるのだ。
音の持つ力を一点集中させて破壊力を上げる。それがフォノンメーザー砲なのだ。
信じられないことに、それはアイリス――によく似た闇――の喉から放たれたものだった。
「……歌ってるっていうの!?」
闇が歌うたびに、そこかしこが砕け散っていく。黒い茨の武器が弾け飛び、ライ麦畑の首無し死体の金属片が宙を舞う。爆発と金属の不協和音が不完全な水路を満たす。
「騒音公害甚だしいったら、ありゃしないっ!」
闇の狙いが、リリーシャに定められる。――本気で撃つ気だった。
だけどリリーシャに、防ぐような盾はない。
「こんにゃろ……っ」
リリーシャを中心に、風が地を疾り円を作る。その円はやがて天に延び柱となって吹き荒れた!
――それは竜巻だった。
直線運動であるフォノンメーザーと、回転運動である竜巻の風が激しくぶつかり、互いを削り合う。
だけどリリーシャには届かない。
風も音も本質は同じ。大気の振動だ。
気流による振動拡散で、超音波の威力を半減させているのである。
リリーシャは風の魔法にマナをさらに注ぎ込む。
そもそもどうしてこんなんことになったのか。アイリスに魔法をかけた張本人はすぐ隣にいた。
「これがあんたの力なの!? レーツェル!」
金髪の髪をツインテールに束ねている少女はクスリと笑う。
そして言った。
「……いやぁ、思ってたのと違うなぁ。……何アレ?」
…………オイ、今て言った?




