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天使と悪魔のダンスは熾烈なものだった。
青い槍と緑の剣が繰り出す執拗な攻撃を、リリーシャはかろうじて躱していき、躱しきれなかった分は短剣で捌いていく。
「しつっこい!」
リリーシャが練り上げた魔法の風が、辺り一帯を吹き荒れる。
窓があれば割れてしまいそうなほどの突風に、天使と悪魔は人の形を保ち切れずかき消えた。
残り香のようにただよう青と緑の火の粉が、リリーシャの美貌を照らす。
その様子を見てレーツェルは嬉しそうにつぶやいた。吊り上がった丸い目をしばたたかせながら。
「その目――まるで犬みたい。獲物をかみ殺す獣の目だ」
何が犬だ。
リリーシャに言わせれば、自分が犬ならレーツェルは猫だ。
猫は獲物を弄ぶ。とても残酷に。
「怖いから逃ぃーげよ、っと」
レーツェルも魔法を使って、足元に氷の柱を作り上げる。それはレーツェルを高く高く持ち上げて、リリーシャが決して届かぬ距離まで延びていった。
しかし忘れるなかれ。
リリーシャもまた、不可能を可能にする魔法使いなのだ。




