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ダンスの始まりは、鎌の刃と短剣のそれとの接吻だった。
アイリスの刺突を、リリアーヌは鎌の反対側――柄尻で受け流し、すかさず斬撃のカウンターを振るう。
それをアイリスは肉食動物のような前傾姿勢で躱すと、転がって仰向けに体勢を変えて、足を鞭のようにしならせる。ブレイクダンスに近い動きだった。
跳ね上げた蹴りがリリアーヌの手から鎌を叩き落とす。
「……っ! 天馬騎士団はもっと型にはまっていると思っていましたが……」
「妹は自由な発想の持ち主なの」
「それは良い妹さんをお持ちで。――ですが!」
リリアーヌは虚空に両の手を伸ばすと、手のひらに吸い込まれたバラの花びらを握り締める。
次の瞬間には、リリアーヌは両手に鎌を二本携えていた。
「嘘っ!」
「わたくしは魔法使い。人間の物理法則にとらわれた考えはお捨てなさい!」
リリアーヌが鎌を二本放ると、それらはすさまじい回転を始め、大地をえぐり取る車輪のごとく疾走しながら、アイリスめがけて食らい掛かる!
「それならっ!」
アイリスは抵抗を辞める。迫る死を前にしながら、横にも後ろにも退かない。
それは傍から見れば彼女が結末を覚悟したように見えただろう。
だがまだ運命を受け入れるには――アイリス・リベルテはあまりにも若すぎた。




