6-15
そこはとある倉庫だった。
埃っぽく、所狭しと使い古された木箱が詰まれている。
そこにアンドリューは立っていた。
全身を暗い色のマントで身を包んだ者――リリーシャ曰く女性――が二人。そしてさらに天馬騎士団と思しき男たちが二人。
アイリスたちは木箱の近くに隠れて、その様子を見張っていた。
「なーんか、密輸の取引っぽいカンジ」
リリーシャが古い木の臭いに顔をしかめている。
「月夜に紛れて密会――いかにも悪党って空気だね」
アクチェも同意していた。
「アンドリューは何かに巻き込まれているのよ。私たちで助けなくっちゃ」
アイリスは太ももに仕込んでいた短剣を抜いて身構える。今にも飛び出しそうな勢いだ。
その勢いを抑えたのはアクチェだった。
「落ち着くんだアイリス。万一何かあったとしても、捕縛するのはリリーシャの役目だ」
「えっ、あたし?」
「アイリスは謹慎中だし、僕は見ての通り虚弱体質だ。君なら飛び掛かれるだろう?」
しばし考えて、彼はこう続けた。
「それに――万が一君が殺されても、放って逃げればいい」
「あんたサイッテー」
「問題ない。ディオさんへの遺書は僕が書く」
「書くなオイ!」
「二人とも黙って!」
アイリスは揉めあう二人の口を手でふさいだ。リリーシャが暴れているがそれを力づくで制す。
アンドリューの前に男が現れたのだ。




