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The Tír na nÓg 〜ティル・ナ・ノーグ〜  作者: 佐藤つかさ
第二章 承
67/222

6-15

 そこはとある倉庫だった。

 

 埃っぽく、所狭しと使い古された木箱が詰まれている。

 そこにアンドリューは立っていた。

 全身を暗い色のマントで身を包んだ者――リリーシャ曰く女性――が二人。そしてさらに天馬騎士団と思しき男たちが二人。

 

 アイリスたちは木箱の近くに隠れて、その様子を見張っていた。

 

「なーんか、密輸の取引っぽいカンジ」

 リリーシャが古い木の臭いに顔をしかめている。

 

「月夜に紛れて密会――いかにも悪党って空気だね」

 アクチェも同意していた。

 

 

「アンドリューは何かに巻き込まれているのよ。私たちで助けなくっちゃ」

 

 

 アイリスは太ももに仕込んでいた短剣を抜いて身構える。今にも飛び出しそうな勢いだ。

 その勢いを抑えたのはアクチェだった。

 

「落ち着くんだアイリス。万一何かあったとしても、捕縛するのはリリーシャの役目だ」

「えっ、あたし?」

「アイリスは謹慎中だし、僕は見ての通り虚弱体質だ。君なら飛び掛かれるだろう?」


 しばし考えて、彼はこう続けた。

 

「それに――万が一君が殺されても、放って逃げればいい」

「あんたサイッテー」

「問題ない。ディオさんへの遺書は僕が書く」

「書くなオイ!」

「二人とも黙って!」

 

 アイリスは揉めあう二人の口を手でふさいだ。リリーシャが暴れているがそれを力づくで制す。

 アンドリューの前に男が現れたのだ。


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