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第一印象はか弱い少女だった。
長い睫毛。薄い唇。肩まで届いた白銀のセミロング。
触れれば折れそうな手足は、まるで繊細なガラス細工のように華奢だった。
「天馬騎士団にしては弱っちそうね」
第二印象は――びっくりした。
声は甘いが言葉は苦い。
矮躯な見た目にそぐわぬ魂の持ち主らしい。
胸元で結んだ深紅のリボンを揺らしながら、少女はアイリスに歩み寄る。
朝焼けの空を溶かしたような色をした双眸が、まっすぐにアイリスを見つめていた。
「…………」
どうしてだろう。彼女を見ていると、まるで自分の過去を見ているような気分になる。
少し、落ち着かない。
「落ち着かない?」
見透かしたような少女の声に、アイリスの心臓が跳ね上がる。
「どうして?」
「イラついてるんでしょ?」
「声おかしかった?」
「ジメチルトリスルフィドとアリルメルカプタン。心理的ストレスを感じたときに出てくる化学物質。それが体臭として、あたしの鼻に届いたの」
ほんのちょっぴりだけどね、と少女は付け加える。
「すごい嗅覚」
「目も耳もいいよ。ついでに言うと魔法使い」
「履歴書には書いてなかった」
ジョークで返すと、少女は意外にも好意的に微笑んでくれた。
「メルスタリオンを代表して、あんたに協力してあげる」
ぶっきらぼうな口調だが、その声色は柔らかい。
そして彼女はアイリスに手を差し伸べる。
どうやらそれは彼女なりの親愛の証らしい。
ならそれに応えなくっちゃ。
「初めまして、アイリスよ」
彼女の手に触れ、名前を明かす。
苗字は騎士団の父を隠すため、念のため伏せておく。
少女も倣い、アイリスの手を握り返してくれた。
「リリーシャよ。よろしく」
想像よりも、優しい握り方だった。
【ゲストキャラクター】
リリーシャ(Lilycia)
creator: ひかりごけさん
登場作品:僕らの誓い(https://ncode.syosetu.com/n5747s/)




