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The Tír na nÓg 〜ティル・ナ・ノーグ〜  作者: 佐藤つかさ
第二章 承
59/222

6-7

「そういえばお嬢ちゃん。あんた人種は何だい?」

 冷たい声でエルフが問いかける。

 返事次第では八つ裂きにされかねない殺気を放っている。

 

「お隣の彼氏は竜人ヴィーヴルだろ?」

「彼氏じゃないです!」

 

 食い気味にアイリスが否定すると、エルフは「そうか……ごめんな」と素直に謝ってくれた。

 

「で、お嬢ちゃんは何だい? ホビットか? それともノーム?」

 

 そんなに小さくないと抗議したいが、エルフの――それもかなり規格外な――高身長ではみんな同じくらいに見えるのだろう。

 あと、そこにこだわっている場合ではない。

 このままでは未来を変える前にアイリスの未来が終わってしまう。

 どうなる? レア? ミディアム? ウェルダン? それともいっそミンチにされちゃう?

 何としてでもそれだけは回避しなくてはならない。

 ちょうどいい言葉は何だ? 何だ? 何だ?

 

 必死の考えが、普段使われない脳内の神経回路同士をつなぎ、思わぬアイデアをひらめかせた。

 アイリスはその画期的なアイデアを口にしていた。

 

 

「サキュバスです」

 

 

 隣にいたアクチェが「何言ってんだコイツ」という顔をしていたのを、アイリスはこの後しばらく忘れることができなかった。

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