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「そういえばお嬢ちゃん。あんた人種は何だい?」
冷たい声でエルフが問いかける。
返事次第では八つ裂きにされかねない殺気を放っている。
「お隣の彼氏は竜人だろ?」
「彼氏じゃないです!」
食い気味にアイリスが否定すると、エルフは「そうか……ごめんな」と素直に謝ってくれた。
「で、お嬢ちゃんは何だい? ホビットか? それともノーム?」
そんなに小さくないと抗議したいが、エルフの――それもかなり規格外な――高身長ではみんな同じくらいに見えるのだろう。
あと、そこにこだわっている場合ではない。
このままでは未来を変える前にアイリスの未来が終わってしまう。
どうなる? レア? ミディアム? ウェルダン? それともいっそミンチにされちゃう?
何としてでもそれだけは回避しなくてはならない。
ちょうどいい言葉は何だ? 何だ? 何だ?
必死の考えが、普段使われない脳内の神経回路同士をつなぎ、思わぬアイデアをひらめかせた。
アイリスはその画期的なアイデアを口にしていた。
「サキュバスです」
隣にいたアクチェが「何言ってんだコイツ」という顔をしていたのを、アイリスはこの後しばらく忘れることができなかった。




