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「お嬢ちゃんの頼みなら何でも聞いてやるよ」
上手くエルフと交渉できたようだ。人情家で助かった。
殺されずに済んで、アイリスは安堵する。
「ありがとうございます」
「気にすんなって。お役所仕事は大変だよな。上司がアホでも命張らなきゃいけねえんだから」
同情の色をもってエルフたちは話しかけてくれる。
だけど次の言葉で、アイリスの心は凍り付いた。
「やっぱり人間ってロクな奴いないな」
今、なんて?
元第十師団の騎士をやっていたエルフの口から出た?
「あの……それってどういう意味ですか?」
笑みを浮かべて――たぶん、引きつっていたであろう――アイリスは声を絞り出した。
「ん? あぁ、俺たち第十師団に居たんだよ。昔はティル・ナ・ノーグの外でキャンプ張って暮らしてたんだけど、その日暮らしだった俺たちを拾ってくれてさ。で、そこには俺たちより前から騎士やってた先輩がいたわけだ。それがみんな人間でさ。まぁあれだよ。いじめってやつ。偉っそーなあいつらの顔見るのが辛くて辞めちまったんだな。――以来、俺たちゃ人間を挽肉にしたくてたまらねぇ」
思い出しているのか、苦虫をかみつぶしているような――それでいて疲れているような笑みを浮かべて、エルフが肩をすくめていた。
いじめ? 第十師団で?
カーソンさんは?
お父さんも関わってたの?
ここでアイリスは、エルフの視線に気づく。
名踏みするような目線の意味にアイリスは、全身の毛が逆立つような恐怖を感じずにはいられなかった。
人間かどうか見定めているのだ。




