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The Tír na nÓg 〜ティル・ナ・ノーグ〜  作者: 佐藤つかさ
第二章 承
58/222

6-6

「お嬢ちゃんの頼みなら何でも聞いてやるよ」

 上手くエルフと交渉できたようだ。人情家で助かった。

 

 殺されずに済んで、アイリスは安堵する。

 

「ありがとうございます」

「気にすんなって。お役所仕事は大変だよな。上司がアホでも命張らなきゃいけねえんだから」

 同情の色をもってエルフたちは話しかけてくれる。

 

 だけど次の言葉で、アイリスの心は凍り付いた。

 

「やっぱり人間ってロクな奴いないな」

 

 今、なんて?

 元第十師団の騎士をやっていたエルフの口から出た?

 

「あの……それってどういう意味ですか?」

 

 笑みを浮かべて――たぶん、引きつっていたであろう――アイリスは声を絞り出した。

 

「ん? あぁ、俺たち第十師団に居たんだよ。昔はティル・ナ・ノーグの外でキャンプ張って暮らしてたんだけど、その日暮らしだった俺たちを拾ってくれてさ。で、そこには俺たちより前から騎士やってた先輩がいたわけだ。それがみんな人間でさ。まぁあれだよ。いじめってやつ。偉っそーなあいつらの顔見るのが辛くて辞めちまったんだな。――以来、俺たちゃ人間を・・・挽肉に・・・したくてたまらねぇ・・・・・・・・・

 

 思い出しているのか、苦虫をかみつぶしているような――それでいて疲れているような笑みを浮かべて、エルフが肩をすくめていた。

 

 

 いじめ? 第十師団で?

 

 

 カーソンさんは?

 

 

 お父さんも関わってたの?

 

 

 ここでアイリスは、エルフの視線に気づく。

 名踏みするような目線の意味にアイリスは、全身の毛が逆立つような恐怖を感じずにはいられなかった。

 

 

 人間か・・・どうか・・・見定めているのだ・・・・・・・・

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