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エルフは有性種であるといわれている。
この世で最も妖精に近い人種。
金糸のような髪に、とがった耳。
森を住処とし、槍と魔法を使いこなす神秘の一族。
その艶姿はまるで、可憐な花のようであると。
そう母から――今はもうこの世にいない――聞いていた。
いたのだけれど……。
「あんたがアイリスか?」
エルフがアイリスを見下ろしている。
比喩などではなく、本当に。
身長は優に290セルトマイス以上。エルフの平均的な身長をはるかに超えていた。
マネキンの海から、まるで麒麟の首か何かのように上半身がひょっこりと生えている。
しかもエルフは1人ではない。その数15人。
その15人に、アイリスは取り囲まれていた。
幼児に絡むヤンキーのような絵面である。正直こういう場でなければ泣き出したい。
隣でアクチェは素知らぬ顔で「怖いねえ」と軽口をたたいている。死ねばいいのに。
「で? 俺たち呼んだのはどういう要件だ?」
どうしよう。
下手にうそをついたら本気で殺されてしまいかねない。
だけど、アンドリューが殺されるかもしれないので見張ってるんですと言ったところで信じてもらえる保証はない。
ならば説明の仕方を変えればいい。
自分が上司に怒られて、謹慎を食らったけど捜査を続けていると説明することにした。
「分かりました。説明します」
「ああ。くだらなかったらぶち殺すぞ」
一通り説明して、アイリスは一拍置く。
「……以上が簡略版です」
エルフたちの反応は明白だった。
「なんて残酷なんだ」
「悲劇だ」




