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石畳を踏み鳴らす音が止む。
アクチェが白線の前で立ち止まったので、アイリスもそれに倣った。
ここは――プルミエールの中心地。
風にあおられて、アクチェの髪がふわりと揺れる。
純白の髪。白。白は無の色。
無。虚無。
それは空。
大妖精ニーヴが司る空。
「気を付けるんだ。アイリス・リベルテ」
アクチェが囀る。まるで鳥のように。
「人間は、妖精が授けた魔法によって完成した。だとすれば、これから出会うのはその頂点だよ」
ここは――プルミエールの中心地。
広大な土地と資材を贅沢に費やした屋敷。所々に塗られた朱は、塗料を使える余裕と財がある証。
その富の上で胡坐をかいているのは、世界最高の魔法使い――アンドリュー・ボルガンディア。
容疑者にも加害者にもなりえる男。
闇に飛び込む覚悟があるか? アイリスにはある。
ドレスの白が影で濡れた。
「未来を見に行こう」
アイリスは歩を進め――白線を踏み越えた。




