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The Tír na nÓg 〜ティル・ナ・ノーグ〜  作者: 佐藤つかさ
第二章 承
48/222

5-11

 その人は、とても不思議な人だった。

 膝元まで伸びた白に限りなく近しい小麦色の髪。海の浅瀬にも似た色の瞳。

 柔和な笑みは親しみを感じさせるが、奥まで踏み込めない「線」を感じる。

 

 そして、

 

 男のようにも女のようにも見える。

 二十代に見えるが、五十代と言われても納得してしまえる。

 肌の色素は奥まで透けて見えそうなくらい薄く、まるで幽霊のようでもあった。

 ヒトを捨てたのか、あるいはヒトという枠組みを超えてしまったのか。

 

 人非ざる者――ゆえにこの世で最も魔法使いに近しい存在。

 それがハーディティティ・クー。

 

 

「あの坊やが魔法使いのトップになっているなんて驚いたよ」

 ハーデティティの口調は快活というわけではない。低く無表情に、ぼそぼそとしゃべる。だけどそれが超然とした彼の雰囲気に合っていて、魅力的だった。

 

「だよねー、ボクも驚いたよ。ルーン語を何度も読み間違えてたあのアンディがサ」

「そうだね。前に氷の魔法を唱えようとして炎を出して」

「小屋一つ燃やしちゃったよねー。すごかったー」

 

 珍品ぞろいのアクセサリー店主と、俗世から身を切り離した風変わりな魔法使いが、昔話に花を咲かせている。

 どうやら意外なところに接点があったらしい。

 

 しかし、アイリスは思う。

 五十代間近のアンドリューを“坊や”と呼ぶこの人たちって――いくつなの?


【ゲストキャラクター】

ハーデティティ・クー(Hardytitty Coo)

creator: こいしるつこさん

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