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ゾロのいる店舗エリアだけ人気がなかったので、そこだけ妙に浮いていた。
そこにアイリスが気付き、近づいたというわけだ。
「こんなところで何やってるんですか?」
「いやー。御贔屓にしてる貴族のヒトから「プルミエール来ない?」って誘われたから来てみたんだけどねぇ。正直こういうがっついたのってボクのキャラじゃないし? 正直メンドいなーって思ってたんだよねぇ。あ、腕輪買うー? 今なら安いヨー」
「…………」
呆れるくらいのやる気のなさである。
夜を照らす松明――しかもライトアップのために通常の三倍以上消費されている――の影響で、夜だというのに蒸し暑いくらいだが、気のせいかここだけ空気が常春っぽい気がする。
こんな無気力さでよく、あのアクセサリーショップが潰れなかったものだ。
それでも、知り合いに出会えたのは僥倖だ。
ダメもとでアンドリューに関する情報を引き出せないか探ってみる。
「ゾロさん。アンドリュー・ボルガンディアについて何か知りませんか?」
「アンディ? うん、知ってるよ?」
驚くほどあっさりとゾロが答えてくれる。
「本当ですか?」
「うん。昔の飲み仲間」
そうだよねえ、とゾロが奥にいた「誰か」に話題を投げかけた。
どうやら、この店舗にいたのは二人だったらしい。
「あぁ、ぼくもここに来た時、懐かしい名前だと思ったよ」




