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The Tír na nÓg 〜ティル・ナ・ノーグ〜  作者: 佐藤つかさ
第二章 承
47/222

5-10

 ゾロのいる店舗エリアだけ人気がなかったので、そこだけ妙に浮いていた。

 そこにアイリスが気付き、近づいたというわけだ。

 

「こんなところで何やってるんですか?」

「いやー。御贔屓ごひいきにしてる貴族のヒトから「プルミエール来ない?」って誘われたから来てみたんだけどねぇ。正直こういうがっついたのってボクのキャラじゃないし? 正直メンドいなーって思ってたんだよねぇ。あ、腕輪買うー? 今なら安いヨー」

 

「…………」

 呆れるくらいのやる気のなさである。

 夜を照らす松明――しかもライトアップのために通常の三倍以上消費されている――の影響で、夜だというのに蒸し暑いくらいだが、気のせいかここだけ空気が常春とこはるっぽい気がする。

 こんな無気力さでよく、あのアクセサリーショップが潰れなかったものだ。

 

 それでも、知り合いに出会えたのは僥倖ぎょうこうだ。

 ダメもとでアンドリューに関する情報を引き出せないか探ってみる。

 

「ゾロさん。アンドリュー・ボルガンディアについて何か知りませんか?」

「アンディ? うん、知ってるよ?」

 

 驚くほどあっさりとゾロが答えてくれる。

 

「本当ですか?」

「うん。昔の飲み仲間」

 

 そうだよねえ、とゾロが奥にいた「誰か」に話題を投げかけた。

 どうやら、この店舗にいたのは二人だったらしい。

 

 

「あぁ、ぼくもここに来た時、懐かしい名前だと思ったよ」

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