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The Tír na nÓg 〜ティル・ナ・ノーグ〜  作者: 佐藤つかさ
第一章 起
25/222

3-4

 アイリスは、公園のベンチに腰を落ち着けていた。すっかり気力がしなびている。

 頭に大きな鉛が埋まっていて、うまく思考ができなかった。

 そういえば土着信仰においては魂は頭に宿ると言われている。故にヒトは頭で思考するのだと。“頭を悩ませる”“頭を抱える”といった言葉があるのはその証だ。

 

 では胸が痛むのは何故だ?

 この胸の苦しみは何なの?

 

 茨で締め付けられているようなこの感覚は――魂が頭に宿るというのなら、胸に宿っているのは、いったい何?

 

 少年を助けたという実績(レコード)を残せた。

 だけど騎士として残ったのは「あいつは人の命令を聞かない」という証言(レコード)だけだ。

 

 胸を押さえ、鉛が埋まった頭で考える。

 こう思わずにはいられなかった。

 

 

「どうしてもっとうまくできなかったんだ」

 

 

 アイリスはぞっとする。

 私は喋ってない。

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